Shibuya Town

Shibuya Town

Contributed by anna magazine

Local / 2017.10.27

Containerの地元は渋谷区松濤。最近では”奥渋”と呼ばれている地域です。この場所にはおしゃれなセレクトショップも新しい携帯のブックストアも世界初進出のノルウェーコーヒーショップも並びます。そのいっぽうで、一歩裏通りに入れば老舗の酒屋兼立ち飲み屋があったり、地元で60年以上愛され続けるパン屋さんがあったり。新しいカルチャーと古き良き風景が同居している、不思議なエリアでもあります。

この数年でグッと外国人観光客の数が増え、人通りも多くなってきたけれど、数世代にわたってこの場所に住み続けている人たちがいて、ずっとここが地元の人たちがいて、ここで商売を営んでいる人たちがいて、15年間ずっとこの場所で働き続けている私たちがいる。そしてそんな私たちは、”奥渋”を紹介する最新のガイドブックには載らない、でも、とってもおいしい魚屋さんや定食屋さんやお蕎麦屋さんを知っていて、その場所を誰よりも愛しているのです。

いわゆる”地元”の行きつけは、キラキラしたフレッシュな魅力には乏しいかもしれません。例えば、自分の地元に友だちが遠くから訪ねてきたら、「せっかくだから特別なものを」という気持ちで、流行りのレストランやメディアで取り上げられていた場所へ案内しがちです。

けれど結局は、自分が毎日通っている”いつもの”定食屋さんの”いつもの”ごはんが一番おいしくて、友だちにも喜んでもらえる……。そんなことが多々あります。

私たち地元の人間が通い続ける、ただそれだけの事実で、その場所にはとても素晴らしい価値があることが証明されているのです。日常的に通いたいと思える場所があるということは、それだけ、そのお店や場所が提供している商品やサービスに魅力があり、お客さんを気持ち良く通い続けさせるだけの明らかな理由があるからです。

自分たちの日常を形成する場所、自分たちが人生の長い時間を過ごし続ける場所、もし一度外に出たとしても「またここに戻ってきたい」と思える場所、久しぶりに会ったとしても昔と同じように心地よい時間を過ごせる仲間のいる場所、それが”地元”。毎日過ごしているからこそ、その本当の価値に気づかずに見過ごしてしまっている風景があるかもしれません。だとしたら、こんなにもったいないことはありません!

だからContainerでは、それぞれの”地元”を取り上げます。自分たちが毎日を送っている場所は、こんなにも素敵。ガイドブックには載らなくたって、大切な人におすすめしたい場所がたくさんある。そのことに気づいたら、自分がいまを過ごしている場所がきっと特別な場所に思えるはず。そしていつも変わらずそこにある、”地元”をもっともっと好きになれるでしょう。

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