FACE Vol.1

Contributed by anna magazine

People / jan.10.2018



anna magazineの初期の頃から数多く誌面のイラストを制作してくれているイラストレーターのFACEさん。脱力感のある「ゆるさ」が特徴的な手描きのイラストは、少しの毒を含んでいながらどこか温もりがあります。さまざまな媒体で活躍し、いろんな人とのコラボレーションも精力的に行う氏に、イラストレーターとしての原点を聞いてみました。

TRIP/旅と創作スタイル
数年前のアメリカ旅が、今のスタイルの原点。

―FACEさんの考える「旅」ってなんですか?

“旅”という言葉から僕がイメージするのは、バックパッカー的な旅。そういった放浪的な「旅」にまだ挑戦したことがありません。ただ、家族旅行でアメリカを横断する旅行など、小さい頃から海外の文化に触れる機会はかなりありました。最近の旅はというと、代々木上原のセレクトショップ『SUPPLY TOKYO』がオーストラリアでポップアップストアをオープンするということで、そこにイラストを展示した時の旅が印象的でした。「グラフィックデザイナーのSHINKNOWNSUKEさんとユニットを組んで展示をしてみない?」と『SUPPLY TOKYO』の人に誘われて、面白そうだから参加させてもったんです。それがきっかけで、6月にも同じメンバーで、1〜2週間かけてヨーロッパを旅して回りました。“旅がインスピレーションのもと”というと大げさなのかもしれませんが、そうやって海外の文化に触れることで、新しい創作のスタイルが見えてきたりすることもありますね。街の雰囲気や色合いだったり、そこで暮らす人たちの生活だったり、ふと立ち寄った本屋だったり、面白い発見があって刺激になるんです。けどまぁ、何かヒントを探そうというより、遊びに近い感覚で回っていますけどね。

―FACEさんがイラストで描かれているキャラクターにも、そういった海外での経験がベースになっていたりしますか?

もともと、僕の描くキャラには「平和ボケした日本人」というテーマがありました。それは、アメリカ同時多発テロの9.11事件が起きた1年後に、ワールドトレードセンターの跡地であるグランドゼロに行ったことがきっかけで生まれたテーマです。日本でずっと暮らしてきた僕は、戦争の怖さをちゃんと理解できていないんだなとグランドゼロに行って感じたんです。あったはずの建物がなくなっていたり、壊れた骨組みで十字架が作られていたり、人の生と死を身近に感じるものがそこにはあって、すごい衝撃を受けました。だから、あのキャラは僕のように平和ボケしている日本人へのアティテュードなんです。平和な場所で暮らしている僕たちがよく理解できていない、戦争の怖さや生死についてなどを表現しています。けれど、辛辣な意味だけでなく、温もりのある作品を描きたかった。昔から描いている今のキャラクターは、グランドゼロに行って僕自身が感じたこと、そしてイラストを見た人が幸せな気分になれるもの、この2つの要素を感じられるキャッチーなイラストを制作したくて誕生したんです。

―FACEさんが描くキャラには目にも特徴がありますが、どういう経緯があってあの特徴的な目を描くようになったのですか?

グランドゼロに行った経験とは別なのですが、僕は目を×(バツマーク)にしたグラフィティアートで有名なアメリカ出身のストリートアーティストKAWSが好きで、初めてその作品を見たときに衝撃を受けました。目を×という記号で表現してしまう、その発想が斬新で一度見ただけで忘れられず、僕も彼のような印象に残るイラストを制作したいと思ったんです。それで考えついたのが、僕の代表作のひとつである目と目の距離が近い顔のイラストです。キャッチーさがあって、見た人にインパクトを与えたい。それを追求していった結果が、あの「目」だったんです。



プロフィール
FACEさん
今の時代のCGの「誰にでもできる冷たさ」に疑問を持ち、 2014年から「自分にしか出来ない温かさ」を求め、本格的に手描きのイラストを始める。 雑誌などの挿絵をはじめ、様々な媒体とコラボレーションを行っている。ファッションブランドとの関わりは深く、最近ではNIGO®氏の関わるプロジェクトのイラストを定期的に提供しており、HUMAN MADE®のイラストも担当してる。また海外での活動も増えてきており、SNEEZE MAGAZINEにイラスト提供、Avi Goldのブランドの手伝いをしている。

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