「さよなら、僕のマンハッタン」

TYPE OF MOVIE-映画を観る男と女-#1

「さよなら、僕のマンハッタン」

Illustration:TOMIMURACOTA

People / may.10.2018

同じ映画を観ているのに、男と女で楽しみ方が全く違うことがある。印象に残っているシーンも、心に刺さったセリフも、劇中の曲に対する評価も違う。それなのに、意外と同じ場面で一緒に涙を流していたりして……。コンテナー初の映画レビュー企画「TYPE OF MOVIE」では、そんな男と女の感性の違いにフォーカスを当てながら、今注目の映画を紹介していきます!

【今回の映画】
「さよなら、僕のマンハッタン」
「(500)日のサマー」「gifted/ギフテッド」「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのマーク・ウェブ監督が描いた青春ドラマ。人生に迷走する主人公が、さまざまな人と出会いながら、“本当の自分”の姿を求めて模索していく。サイモン&ガーファンクルやボブ・ディランなどの楽曲を取り入れた劇中曲も注目の作品。

【映画を観た男と女】
(24歳)/SF作品以外はなんでも観る、雑食系な映画ファン。けど、どちらかというと、映画より三度の飯の方が好き。そして、三度の飯と同じくらいサウナが好きな、やる気、元気、根気が持ち味の体育会系男子。

(25歳)/好きな映画のジャンルは、伝記やヒューマンストーリー。マーク・ウェブ監督の前作品「(500)日のサマー」は大好きな作品のひとつ。編集者として、日々邁進し続ける女子。

【男と女の映画レビュー】
Q.印象に残っているところは?
/序盤の主人公と父親の愛人ジョアンナとの会話の部分。彼女が「人はいつも無意識に行動をしてしまうものよ」と言ったシーン。その後のストーリー展開に大きく通じる、意味深な一言だった。最後まで、ニューヨークの綺麗な街並みやお店など印象的なシーンはいくつもあったけれど、なんだかんだ最初のこの場面が一番印象的。

/「トーマスは現代のNYだ。危険もなく、救済もない。居心地はいいが退屈」というセリフ。まさに現代特有の恋愛傾向!なんて思いました。安定志向なのはどこでも一緒なんだな、なんて。

Q.お気に入りの劇中曲は?
/Lou Reedの「Perfect Day」。Lou Reedは、ニューヨークを体現するアーティストのひとり。僕の大好きな映画「トレインスポッティング」でも使用されていたこの曲がお気に入り。

/Bob Dylanの「Visions of Johanna」。トーマスのママやパパが言うところの「ソウルを失っていないNY」って、こういう時代のことなんだろうな〜と聴きながら考えました。

Q.あなたが思う、この映画のベストアクター賞は誰?
/ジョアンナ(ケイト・ベッキンセール)。色気が尋常じゃない!知的でセクシー。その美貌に最後まで魅了される。一見ふしだらな女性のようだが、知的で誠実な面を所々に垣間見ることができる。

/ミミ(カーシー・クレモンズ)。登場シーンをピークに、どんどん薄くなっていく存在感! しかし私は魅力的になってくトーマスに気付いて惹かれちゃうかわいい女の子役って、重要だとおもいます!

Q.主人公のトーマス、あなたにはどう写った?
/最初の印象は、うだつの上がらなそうなニューヨークで暮らす平凡な若者。奥手でピュアな少年だったトーマスが、エンディングでは、キリッとした大人の印象に。ある女性との出会いがこんなにも人を成長させるなんて思いもしなかった。魅力的なジョアンナに惹かれるのはとても共感してしまいましたが、僕だったら絶対に行動には移しません。トーマスは一歩先をいっていますね。また、学んだことは、嘘は必ずバレるということ。

/トーマスの誘い方や話す内容や態度が、まさに「居心地はいいけど退屈」。それからW.Fジェラルドやジョハンナとの出会いを通して、退屈で居心地のいいだけの男でなくなっていくところが爽快で気持ちいい! よくやったトーマス!

Q.「さよなら、僕のマンハッタン」にキャッチコピーをつけるなら?
/「ニューヨーク版・羅生門」。序盤から中盤にかけて、鬱屈とした状況に辟易している一人の若者が迷い、もがいているところ、ある出会いによって、これまでの自分の中で変化が生まれるところがとても似ていると思いました。

/①危険もなく救済もない人生にさよならしたいあなたへ。②「居心地はいいけど退屈」ーこんなセリフを人生で一度でも言われたことのある人必見! ③息苦しさからの脱却という、大人への通過儀礼を控えた全ボーイズに贈るビタースウィートな物語。

【そして、3人目(男)の映画レビュー】
「さよなら、僕のマンハッタン」の主人公は“今”をくすぶっている青年。この主人公に対して、男は自分自身を投影し“一人の男性”の物語を観てしまう。一方、女の場合はそこから一歩引いて、物語全体の成り行きを捉えて映画を観ている。主人公はさまざまな人にひっかき回され、時にはひっかき回し、不器用ながらも人生の機微とでもいうのだろうか、数奇な運命に自ら足を踏み入れていく。愛おしくもあり、浅はかでもある、その愚直な姿が男心には響いてくるのだろう。この映画の見どころは、そういった“男心のやるせさな”の描写力だ。それが、劇中に流れるフォーク、ロック、ジャズのリズムに乗せて、痛切に伝わってくる。また、主人公の周りにいる大人たちの言葉も、それぞれ個性があって面白い。青年を諭すように発せられる彼らの人生の教訓は、核心をついている。観ている者の胸も、少しチクッと突っついてくるような辛辣な言葉だ。男なら共感しながら観てしまうし、女なら男心を客観的に捉えながら観ることができる『さよなら、僕のマンハッタン』。ぜひ、男女で一緒に鑑賞するのがおすすめ。鑑賞後にお互いの感想を語り合えば、きっと面白い発見があるはずだ。


「さよなら、僕のマンハッタン」
公開日:2018年4月14日(土)
監督:マーク・ウェブ
脚本:アラン・ローブ
出演:カラム・ターナー、ケイト・ベッキンセール、ピアース・ブロスナン、シンシア・ニクソン、ジェフ・ブリッジス、カーシー・クレモンズ
原題:The Only Living Boy in New York
© 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
http://www.longride.jp/olb-movie/

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