Thailand / Mae Hong Son 後編

This Time Tomorrow #13

Thailand / Mae Hong Son 後編

Thailand / Mae Hong Son

Contributed by Natsumi Chiba

Trip / 2019.04.22

東南アジアでの旅を記録した千葉夏海さんの旅連載「This Time Tomorrow」。第13回は、タイ/メイホーソン後編です。旅先でのリアルな様子をお届けします!


「俺ロングネック見たいな。」
一緒に旅していた彼がそう言った。

ロングネックとは文字通り首長族のこと。みんな一度はテレビでみたことがあると思う。首にゴールドの首輪をいくつもはめて、恐ろしく首が長いあの女性たちだ。ミャンマーとの国境に位置したタイ北部のチェンマイ、チェンライ、メーホンソンに彼女たちの村がある。

小さい頃テレビで見て、本当に恐ろしくて大泣きしていたのを今でも覚えている。実際に首が長いのではなくて、肩が下がっているだけだと分かってはいても、大人になった今も少々恐怖感を覚えてる。少しドキドキしながら村へと向かった。

バイクから降りるとおじさんに「チケット!チケット!」と言われる。村に入るのに入場料が必要で250バーツ払った。(880円位。タイじゃ高級チケット!)

入り口から奥へ進むとお土産屋さんが並んでいて、それぞれの店に店番のような具合で一人ずつ彼女たちが立っていた。

いざご対面。



お店の前に私たちが来ると、彼女は私になんちゃって首長族になれる首輪をはめてくれて一緒に写真を撮ってくれた。

隣をみると楽器を持った女性。お年寄りになればなるほど首が長くなる。私達がカメラを向けると一曲演奏してくれた。

この写真をインスタグラムにポストしたら面白いことが起きた。



友達の旅好きなお姉ちゃんもこの女性と写真を撮ったというのだ。しかも8年前に、チェンライで。当時の写真も送ってくれて、確かに8年若い彼女だった。こんな偶然あるのか!

私が首長族の存在を知ったのは、確か小学校低学年くらいの時。そのあと何年も彼女たちの存在なんて思い出すこともなかったし、タイに居ることすら、ここに来るまで知らなかった。それまで私の生活はもちろん存在していて、記憶の片隅に追いやられ、忘れられていた彼女たちの生活もこのタイで存在していて、それが20年後以上に繋がった。大人になると世界の広さを知るけど、同時に小さくもできる。大人はどこにだって行けるから。

この村というより”首長お土産ストリート”という観光地化された中に観光物化された彼女たちが不思議で仕方なかった。ミャンマーからの難民(首長族はミャンマーにもいる)で彼女たちは国籍がないらしい。観光ビジネスのために連れてこられたなんて言ってる人もいて、’’こういう風に’’生きていくしかないのだと。実際本当のところはよく分からない。

「人間動物園」だと批判の声もあるみたいで、もしそれが本当だとしても、私たち観光客ができるのは入場料を払ってお土産を買うこと。それが彼らの助けになるのなら払う価値も、この場所に来る価値もあるんじゃないかなと私は思う。





この先もきっと、彼女たちはここでお土産をこしらえて、昼間は首輪をはめて観光客を出迎える。そして静まった夜には重く疲れた肩を休めてつつましく生きていくのだろう。かわいいこどもたちもいた村。みんなたくましく生きていってほしいなと思った。

To Be Continued.


BGM: / I'm Not Ashamed / Culture


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