“ネガティブ”を流してくれる銭湯。

My Favorite Things #4 / 銭湯

“ネガティブ”を流してくれる銭湯。

Photographer: Junsuke Obi
Writer: Aika Matsuzaki

By / 2021.02.17

「古くてチャーミングなもの」をキーワードに、
今回CREOLMEデザイナー兼ディレクター:工藤三咲さんがお話を聞いたのは
「銭湯」を偏愛する、小菅くみさん。
おじゃましたのは、
昭和25年から大崎の人々に愛されている銭湯「金春湯(こんぱるゆ)」さんです。





「銭湯に来ると、ネガティブな感情もポジティブに変わります」
と、銭湯への偏愛ぶりを語ってくださった小菅さん。
銭湯はもちろん、小菅さんの愛してやまないもの、それはサウナ。仕事の合間の銭湯&サウナに、パワーをもらう日々だそうです。
今回はそんな銭湯の“チャーミングな話”、たっぷりと聞いてきました。



工藤:小菅さんと「金春湯」さんの出会いは?
サウナを好きになってから、「ウチからアクセスがよくて、いいサウナってどこかない?」と、サウナ好きの友達によく聞いていたんです。それで「金春湯」さんの名前が出ることが多くて。気になって訪れてみたのがきっかけです。



工藤:とはいえ、家からだと電車に乗って行くわけですよね?普段から「電車の乗ってサウナへ」行ったりします?
はい。実は、すごくします(笑)。仕事の打ち合わせの場所が決まったら、まずその街のサウナや銭湯を検索。もはや、日課です。打ち合わせの場所が遠くでも、遠くに行くことが全然苦ではなくなりましたね。

工藤:銭湯に行くと、メイクもしなおさないとならない。わざわざ行くには、結構ハードルが高い気がしちゃいますが……。
わかります。かつては私もそうでした。でも、好きになってからはほぼ毎日行くので、もはや「お化粧しなおさなきゃ」という概念もなくなっちゃって(笑)。打ち合わせと打ち合わせの合間に銭湯へ行ったりもするので、髪ビショビショのノーメイク状態で打ち合わせに臨むこともあります。そこで会った人に「ネットと顔が違いますね」って言われたことも……(笑)。まあ、髪は結わえてしまえばいいし、今だとちょうどマスクが助かったりしていて(笑)。そういうことには、抵抗がなくなっちゃいましたね。それくらい、好き。



工藤:打ち合わせの合間に銭湯……。スゴいです。
そうですね(笑)。打ち合わせする人も、最近では分かってくれていて。「また茹でダコで来たね(笑)」なんて言われたり。すっぴんでも全然、平気になっちゃいましたね。

工藤:小菅さんは、とくにサウナが大好きとか。
そうなんです。まわりにサウナ好きが多くて、昔から「サウナに入ると、落ち込んだこととか忘れちゃうよ。きっと好きだから、行ってみたら?」と薦められることがよくあって。で、3〜4年前くらいかな、全部うまくいかない……というタイミングがあったときに、そういえばみんな「サウナで救われてる」って言ってたなぁ、と。で、実際に行ってみたら、悩んでたことが衝撃的に(!)どうでもよくなったんです。
サウナの効果は、落ち込んだときほど感じられます。そうなると、ストレスを感じても、もはやそれが反対の意味に捉えられるというか、「サウナにいったら、きっとめちゃすっきりしそう〜」って。ネガティブな気持ちを、ボジティブに変えてくれるんです。

工藤:それは、すごい。「金春湯」さんのサウナもやっぱりいいですか?
はい、とてもいいです! 私が好きなサウナ室のタイプが、暗くて静かで、みんなおしゃべりしない感じ。「金春湯」さんのサウナも、まさにそうです。だから自分と向き合えて、最高なんですよ。何も考えない、何もしない、というのに、とても適したサウナ室だと思います。テレビがあるサウナ室に自分の気持ちがマッチするときもあるんですけど、「テレビを観る」ということをしてしまうというか。もちろん、それが楽しいときもあるんですけど、希望としては何もしない時間を作りたいので、こういった空間がとてもありがたいです。木の香りもとってもいいし、水風呂も冷たくて最高。お風呂もいいし、流れる雰囲気もやさしい感じです。

工藤:グッズも販売されているとか?
Tシャツもたくさん種類があるし、サウナハットもかわいいんです。タオルやエプロンもあります。



工藤:クラフトビールも売られているんですね。
3代続いていらっしゃるから歴史はあるんですけど、若い人向けに、いろいろな新しい試みをされている銭湯さんだと思います。店主の角屋文隆さんがもともとエンジニアをされていたということもあるのか、SNSやネット配信なども盛ん。混雑状況がネットですぐわかるようになっていたり、お客さんに寄り添ってくれています。昔からのものを守りつつも、いまの時代にマッチさせていこうという工夫が、素晴らしいです。



工藤:「金春湯」さんでの、お気に入りの過ごし方は?
静かに、自分と向き合う時間をもつことですね。それと同時に人とのつながりや街のあたたかみも、すごく感じることができます。



工藤:駅からちょっと遠いのも、逆にいいですね。ちょっと立ち寄るというより、ゆっくり時間をもとうという人が集まる気がします。
知らない街の銭湯へ行くときに、知らない街の商店街を通るのが楽しみのひとつでもあります。帰り道にお肉屋さんでコロッケ買って帰ったり。



工藤:銭湯って、街の中にありますもんね。
主にその街の人が来る場所だし、人となりみたいに、その “街となり”みたいなものが現れる場所だと思います。どこの銭湯も、その街のよさが滲み出ていますよね。そんな違いを発見するのも、楽しい。街の人と銭湯って、とても近い存在だと思います。



工藤:小菅さんが銭湯ビギナーに送る「沼にひきずりこむ」言葉ってありますか?(笑)
一番オススメするポイントとしては、携帯から離れられること。メールとか、LINEとか。1時間半くらいゆっくり入るその間は、携帯を見ない。それを忙しい毎日の合間に作ることで、心と頭に余裕が持てる気がします。

工藤:確かに「何もしない時間」って、一日のなかであまりないかも……。
そういう「無になる時間」で、悩みもふきとんじゃう。根本的には解決しなくても、自分の気持ちを「ま、いっか」と、もっていけるんです。大きいお風呂にぼうっと入って「ふぅ〜」ってなると、「ま、いっか」って、なる。

工藤:なんだか、行きたくなりました!
よかった(笑)! すごい、いいですよ。気持ちの切り替えができるから。



工藤:銭湯やサウナでつい気になる“フェチポイント”は?
水風呂の温度ですかね。低ければ低い方がいいという人がサウナ好きには多いんですけど、私は低すぎない水温が好きです。あとは銭湯全体でいうと、やっぱり、お客さんの雰囲気とかですかね。番台におばあちゃんがいると、ほっこりします。

工藤:ひとっ風呂浴びた後に、行きたいところは?
サウナ室でアイデアが浮かぶことも多いので、すぐ作品に反映したくなって、急いで家に帰ります(笑)。忘れないうちにすぐ下絵を描いておこう、と。とくにアイデアが浮かばないときは、その街の商店街をぶらぶらして、夕方になって商店街が“湧いてきている”感じをみて帰るのも、好きです。

工藤:最後に……「古くてチャーミングなもの」の魅力を教えてください。
お風呂って、辿れば江戸時代からの娯楽だったりします。それって、すごいロマンを感じます。「江戸時代のみなさん、令和の時代でも、私、銭湯好きですよ〜!」と、声を大にして言いたいくらい(笑)。時代が変わっても人々に愛されるものは、絶対いいものだから。そういうのが、“大魅力”ですね!



「いつの時代も日本人の生活に変わらずある感じが、ヘンな言い方かもしれないけど……カッコいい!」と、銭湯のチャーミングさについて、熱く語ってくださった小菅さん。銭湯でほっこりして、サウナで整う。そのシンプルな行動が、忙しい日々を過ごす身体をマインドフルネスに軌道修正してくれるんですね。

小菅くみ/1982年東京都生まれ、刺繍作家。刺繍ブランド「EHEHE(エヘヘ)」の刺繍を中心とした作品を製作。人物や動物の些細な表情までを刺繍で表現する、繊細で洗練されたデザインが人気。「ほぼ日刊イトイ新聞」から発売するジャムのレシピ監修なども行う。同時に「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格を取得しているほどの銭湯・サウナ好きでもある。
ID:@kumikosuge

金春湯
住所:東京都品川区大崎3-18-8
TEL:03-3492-4150
営業時間:月〜土・祝 15:30〜24:00/日 10:00〜24:00 ※最終入場 23:30
定休日:火曜




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他にもこのお店!



1. アクア東中野(東中野)
「炭酸泉、シルク風呂、露天風呂があり、しっかりと熱めのサウナも魅力。
水風呂も冷たく設置されてるのですが、ここの楽しみは何と言っても露天エリアにあるプール。裸のままプールで泳げます。そして全浴槽、シャワーが軟水の為、お風呂上がりの肌触りに驚かされます。近くに美味しいもつ焼きやがあってそこに寄って帰るのも魅力のひとつです」(小菅さん)



アクア東中野
東京都中野区東中野4-9-22
TEL:03-5330-1126
営業時間:15:00~24:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)

2. 黄金湯(錦糸町)
「創業88年の老舗銭湯が今年8月にリニューアルオープン。総合プロデュースヒロコレッジ(HIROCOLEDGE)の高橋理子氏、内装設計を『ブルーボトルコーヒー』の店舗などを手掛けてきたスキーマ建築計画の長坂常氏が、壁画は『きょうの猫村さん』の作者ほしよりこ氏という豪華面々が担当し、おしゃれでとても現代的な銭湯に生まれ変わりました。お風呂もサウナも綺麗で気持ち良く、湯上りにクラフトビールを飲める番台バーもあり、ゆっくり過ごすことができます」(小菅さん)


Photograph credit : Yurika Kono


黄金湯
東京都墨田区太平4-14-6 金澤マンション1F
TEL: 03-3622-5009
営業時間: 平日・日祝 : 10:00〜24:30、土曜日 : 15:00〜24:30
定休日: 第二・第四月曜日


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