世界のアートが集結! <br>「東京タワーアートフェア 2023」 #03

-INTERVIEWS-

世界のアートが集結!
「東京タワーアートフェア 2023」 #03

Tokyo Tower Art Fair 2023

Photo:Abiv Minoc
Interviews:Aco Hirai

Local / 2023.05.15

3/10~12、東京のランドマークとして知られる東京タワーで、グローバルに活躍するアーティストが一堂に会する「東京タワーアートフェア」が開催された。世界各国から集まった新進気鋭なアーティストのアートワークから、東京アートプライズの授賞式「東京アートナイト」の様子、気になるアーティストのインタビューをお届けします。


ここでは、会場で出会った気になるアーティストをピックアップ。
SHIRACO WORLDさん、鈴木美香さん、JAIME MONGEさん、KANG HUIさんのブースへお邪魔して、ちょっとだけお話を伺いました。
まずは、展示設営のため開館前から会場入りしていたSHIRACO WORLDさんをキャッチ。

SHIRACO WORLD / JAPAN




―アーティスト名のSHIRACO WORLDが印象的ですが、由来を教えてください。
「白子侑季(SHIRACO YUUKI)という名前なのですが、海外ではYUUKIと発音しづらいということで、SHIRACO WORLDという名前で活動しています。母の旧姓であるSHIRACOをもらいました。日本では、SHIRACO YUUKIでアートディレクターやデザイナーとしても活動しています」

―今回はどんな作品を展示していますか?
「自分の体のパーツを使って表現した作品で、「自分自身が唯一無二の作品」だと思っています。同じ鼻や口でも、みんなそれぞれ形が違っていて、それが個性だし、その個性を大事にしたいと思い、自分へのオマージュを作っています。自分が別の作品に生まれ変わったという感じです」

―発想がすごく面白いですね、この作風に至ったきっかけは?
「2014年に母が片胸を全摘することになったんです。その時にどんな形であっても自分の体を愛おしいと思えるようにしたいと思ったのがきっかけです。他にも色々なことが重なっているのですが、一番大きなきっかけになったのが母です」

―そうだったんですね、ということはお母様のために作った作品があるんですね。
「はい、母親の体を使った作品はあるんですが、誰かに見せるためではなく、自宅のリビングに飾っています。例えば、指が植物みたいに色んなところから生えていても変じゃないって思えるし、どんな形であっても、自分自身を愛せるように、この作品をきっかけにそう考えてもらえたらいいと思っています」



―素敵ですね、今回の展示はどんな気持ちで迎えましたか?
「これまでにもアートフェアに参加したことはありますが、その中でも今回はすごくインターナショナルな作家さんたちが集まっていると思います。色々な国の方々の反応を見るのも楽しみですし、その国それぞれの流行や生きた感覚など、国ごとのアートを感じられたらいいなと思っています」

―今回の展示では、手法を変えていくつかの作品が飾られていますね。
「元々はアナログで、自分で素材を作ってペタペタ貼るというコラージュをやっていたのですが、そこからインスタレーションに発展し、またデジタルグラフィックをやって・・・という感じ。ここ数年は絵の具に触りたくなったので、原点に戻るという意味でもデジタルと絵の具をミックスさせてミクストメディア作品を作っています。写真と絵の具のコントラストや不思議な質感が面白いですよね」

―3日間終えてみてどうですか?
「いろんな国の出展者の方々の作品を見れたり、お話を聞かせてもらえたりして、すごくいい刺激になりました。自分のお客さまだけでなく、他の作家さんの作品を見にきたお客様にも見てもらえて、いろんなご意見を頂けました」

【PROFILE】
●SHIRACO WORLD@shiraco_collection


続いて、アーティストでありながら、アルコールインクアートを広める活動にも尽力する鈴木美香さん。

MIKA SUZUKI/ JAPAN




―コンセプトを教えてください。
「コンセプトは私が見た景色を一度抽象的に色に落とし込んで、それをグラフィカルに組み立てて、スラッシュコラージュという作風に仕上げています」

―色味や質感がすごく美しい作品ですね。何で描かれていますか?
「これはアルコールインクアートと呼ばれるもので、アルコールインクに出会ったのは、以前キャンドルの資材を販売している会社で働いていた時です。アルコールインクは、キャンドルに着色する用途で日本に輸入されていたのですが、日本でその技法が流行らなかったのか、売れ残ることが多かったんです。そして、調べたところ、海外ではアルコールインクアートという抽象画を描くために使われているインクだということがわかりました。でも、日本ではまだその技法が広まっていなかったので、自分で自由に技術を研究していけそうだと思い、一般社会法人日本アルコールインクアート協会を立ち上げて、今はアルコールインクアートを広める活動をしています。

―すごいですね! この作風に至ったきっかけはありますか?
「元々大学は服飾科で、ファッションデザインを勉強していたので、手芸の技法でスラッシュキルトという布を何枚か重ね合わせて縫って、その間をカッターで切るというスラッシュキルトという技法から着想を得ました。アルコールインクアートは紙なのでこれを切ってみよう、貼ってみようという少し根気がいる作業を始めました」

―これ、何枚も貼り付けられているんですか?
「そうです、紙を短冊状にしてそれを貼っていく感じですね」

―コンセプトが「自分の見た景色」ということですが。
「海外旅行が好きなので、世界で見た日本にない独特の色合いだったり、何気ない日常だったりを表現しています。例えば、春の公園で午後3時ぐらいに見たお花や、夜9時32分ぐらいに見たネオン街。自分の見た景色を抽象的に落とし込んで、グラフィカルに組み立てる感じです」

―全ての作品タイトルに時間が入っているんですね。
「具体的な時間が入ることによって、その時の情景が想像しやすくなると思って入れてます。例えば、夜9時だから外はもう暗いかな、とか」

―日本アルコールインクアート協会ではどのような活動をしているのですか?
「アルコールインクアートを広める為に、企業とタイアップをしたり、生徒にアルコールインクアートの描き方を教えたり、講師を育てたりしています。アルコールインクアートをより多くの人に知ってもらい、この先も技術を残していけるような活動をしています」

―なるほど。
「生徒さんもこの2、3年ですごく増えてきていると感じています。アルコールインクアートという名前はまだまだ浸透していないので、もっと広められたら良いと思っています。最近では、テレビ番組で扱ってくれる機会が増えました」

【PROFILE】
鈴木美香 / MIKA SUZUKI@peppermint_candle


そして、今回が日本で初めてのエキシビションという、スペインのJAIME MONGEさん。


JAIME MONGE / SPAIN




―コンセプトを教えてください。
「今回展示しているものは「Human Landscape(人間の風景)」で、風景とその周りの人々です。人々は風景を作ります。空間の一種の 3D 解釈も同様で、風景を作り出すのは人なのです」

―すごく素敵な作品ですね、インスピレーションは何ですか?
「もともと建築家として働いていたので、自分が訪れた場所や自分が作った場所、経験からインスピレーションを得ています。空間や状況すべて、私が経験したもの、または私が以前にデザインしたものです」



ー日本での展示は初めてですか?
「初めてのアジアで、初めての日本でのエキシビションです。ヨーロッパと違って日本は新しいマーケットで、とてもいい経験なので、色々学んでいきたいと思っています」

【PROFILE】
JAIME MONGE@jaime_monge


最後にお話を伺ったのは、俳優やモデルとして活動しつつ、アーティスト業にも力を入れる韓国から参加のKANG HUIさん。

KANG HUI / KOREA




―コンセプトを教えてください。
「僕の絵には、スマイルボーイというシグネチャーキャラクターが描かれています。彼はいつも笑っていますが、心の中では悲しんだり、苦しんだりしています。彼は自分自身でもあり、社会の中の人々でもあります。外から見えるものとは違った、内面で起きている感情を表現しています。僕自身、芸能活動をしている中で大衆の前に立つことが多いので、そこで見せる顔とは違うことが内面で起きているということを表現しています。自分だけではなく、社会にいる人々の感情も代弁しています」

―なるほど。今回展示した作品について教えてください。
「デビュー(写真左)という作品は、大衆の前に出るときに感じたドキドキ感やワクワク感を表現しています。アーティスト活動を始める時に、一番最初に描いた作品でもあったので、「デビュー」というタイトルを付けました。スリラーという作品(写真右)は、イギリスで展示会をやった時に用意したもの。幼い頃からマイケル・ジャクソンが好きだったので、自分が「スリラー」のPVを撮るとしたら、と想像しながら描いた作品です」

―俳優になる前からアーティスト活動を?
「母が画家で、実家がギャラリーということもあり、幼い頃からアートに囲まれて育ってきたのでアートが身近でした」

―俳優をやりながらアーティスト活動は大変ですよね。
「芸能の仕事が終わってから合間に作品制作をしているので、今は俳優との時間の両立が一番難しいです」

―今後の目標はありますか?
「アーティスト活動で得られるものもたくさんあると感じているので、俳優業だけでなくて、アーティスト活動と両立していきたいです。マルチタレントのような多彩な人になりたいですね」

―3日間終えてみてどうでしたか?
「以前は母の展示会で東京に来たのですが、今回は自分の展示会で来ることができて光栄に思っています。東京タワーという日本を代表する場所で展示ができて嬉しいです」

【PROFILE】
KANG HUI@kanghui_


そして、3日間を終えたところで、本イベントのディレクター、Natal Vallvéに話を聞いてみた。



―今回の展覧会のメッセージや目的は何ですか?
「世界中の新進気鋭のアーティストやギャラリーの作品を紹介し、宣伝することです。このフェアは、アーティストやギャラリーが作品を展示し、バイヤーやコレクターと繋がり、グローバルなアートコミュニティで露出するためのプラットフォームを提供することを目的としています。さらに、アーティスト、ギャラリー、キュレーター、アート愛好家たちのための交流の場でもあります。また、訪問者にとっては、エキサイティングで新たなアーティストを発見できるでしょう。本アートフェアは、アート界における包括性、革新性、コラボレーションの1つです」

―アートフェアを終えて反響はどうでしたか?
「皆さんの反応はとてもよく、来場者やアート評論家からとてもポジティブなフィードバックを頂きました。また、受賞式の「東京アートナイト」にもたくさんの方が出席してくれました。アーティストやギャラリー、更にビジターたちにポジティブな成果をもたらし成功しました」

―来年も開催予定ですか?
「はい、東京タワーで2024年エディションの準備を進めています。皆さんにも近いうちに日程をお知らせできると思います。東京アートプライズのセカンドエディションと新たなハイライトを盛り込む予定です」

―ありがとうございます。来年の開催も楽しみですね。



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【TOKYO TOWER ART FAIR】
HP:www.tokyotowerartfair.com
IG:@tokyotowerartfair


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