ヤンキーの彼女はかわいい。

えもーしょん 中学生篇 #3

ヤンキーの彼女はかわいい。

2010〜2013 /カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2019.12.11

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#3 「ヤンキーの彼女はかわいい」
(2010〜2013/カイト・中学生)

「制服のカラーが首に当たって
めちゃ痛い……。」

シャツの襟と学ランのカラーで
制服に殺されそうなボク。

本当、学校に慣れない。

ボクだけ、違う時間が流れていて
みんなの時間について行けない。。。

算数が数学へ名前が変わったよ。
何が違うのか、わからない。

社会の授業が、地理と歴史になったよ。
社会って何かよくわからいけどさ。

それに
みんなの筆箱が、何か大人になってる……

妙にオシャレぶってるぞ?

「髪の毛も、なんかワックスつけちゃって
なんだよ、シーブリーズってさ」

女子も女子だ。

妙に女感が出てきた。

悔しいけど、ちょっと可愛いし
お姉さんって感じ。

独り言が止まらないし、なんだか
落ち着かない。

これが、思春期ってやつか…?

それに、気がつくと女の子ばかり見てしまう。

机の列の、一番前の席の女の子

名前は確か、かなちゃん。かな多分。

可愛いなあの子。

妄想が膨らむ…。

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ピーピーピーピー

AM7:00
目覚まし時計の音で目がさめる

重たい体に、暖かい布団。

一度、布団から出るものの
寒すぎて避難する。

「あと5分」

勝手に声が出る。

布団にくるまり、携帯を開くと

メールが1件。

かなからだ。

「おはよう!今日は学校、行く?
もし行くなら、一緒に行こう?
7:30にかいとの家に迎えに行くね🥰」

「???!!!!!!!!!」
びっくりしすぎて
メールを3度見するボク。

携帯の上の時間は
7:20

寝すぎた!!!!!と
焦りながら
寒さなんて、忘れて
ベットを飛び出す。

部屋のドアにかけられた
紺ブレに、オックスの白シャツ

ネイビーとイエローのストライプの
ネクタイを
綺麗に、少しルーズに締めて

サッとパーマのかかった髪に
ヘアオイルを塗って

お母さんが、作ってくれた
ハムチーズサンドを口にくわえながら
玄関へ向かう。

ローファーを履こうとすると

ピーンポーンと
インターホンが鳴った

リビングから
「かいと〜!かなちゃん来たよ〜!」
とお母さん。

「お母さん、ありがとう!
行ってきます!」とボク

玄関を開けると
眩しいほどに光る太陽
青い空

朝日のフレアに照らされる
ボクの大好きな、かな。

少し、茶色の髪に
少し茶色い瞳。

心が満たされる。

いろんな意味で、最高の朝ごはん。

はぁ。

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ため息と同時に

妄想が解ける。

ボクの目の前でヤンキーとイチャイチャする

かなちゃん。

「ダメだよ、そんな男」
と目で訴えるボク

現実は、甘くない。

ヤンキーの彼女は大抵、可愛い。

いつの時代もそうだと

パパが言っていた。

くそっ。


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