“クレッシオーニ”のレザーに魅せられて。

“クレッシオーニ”のレザーに魅せられて。

Contributed by anna magazine

People / 2017.11.29

ニュートラルな色合いで揃えられた、やわらかな風合いのレザーアクセサリー。決して主張しすぎることのない佇まいだけど、存在感は抜群。だからシンプルな格好にさらりとつけるのが、かっこいい。そんなロサンゼルス発のアクセサリーブランド「クレッシオーニ」のデザインを手がけるのは、アンドリア・クレッシオーニ。堂々としているのに、ふんわりとした陽気のようなあたたかい空気感の漂う彼女に会って、「なるほどこの人が作っているのか」と納得せざるを得なかった。ピルグリム サーフ+サプライで行われたカスタムオーダー会の初日を終えた彼女に、話を伺った。

“はっ”とするフェミニンさ。自然な風合いが魅力


「オールハンドメイドで作っているわ。レザーをカットして巻きつけるのも、ステッチを施すのも全部手作業。サドル製造に用いられるトラディショナルなテクニックを継承した、オリジナルな製法よ。レザーを濡らして、ブラス(真鍮)をそれで巻いて……アクセサリーにはあまり使われないテクニックかも。ナチュラルなプロセスで作られたベジタブルタンニンレザーを使っていたり。余計な加工が加えられていない分、自然な風合いが魅力よ。明るい色のものはこのイベントのために用意した新色。全て非加熱のやわらかなレザーよ」

昨年、初めてピルグリム サーフ+サプライとオーダーイベントをやったときに、初の試みで明るい色を取り入れてみたとか。「それまではもっとニュートラルな色合いのみだったけど、ヘリテージカラーをたくさん揃えたの。フォレストグリーンに、レッドやネイビー。今シーズンはさらにアーティスティックな色の組み合わせを楽しんでもらいたくて、ピンクやミントなどのフェミニンな色も用意したわ。みんながよりスペシャルなものをカスタムできるようにね!」







アクセサリーの脇に並べられていたのは、思わず売り物かと勘違いしてしまいそうなほど作り込まれたビジュアルのポストカードたち。「アンドリュー・リーっていう友達のフォトグラファーとコラボしているの。ロサンゼルスのモーホーク ジェネラル ストアで働いていたときに、好きなテイストが一緒で仲良くなったのよ。そのときから友達で、ルックブックはファーストコレクションからすべて彼に撮ってもらっているわ。これで10冊目くらい。全部フィルムで撮っていて、アンドリューは私のビジョンを最高な形で表現してくれるの。毎シーズンどこで撮影するのがいいか一緒に考えて、いろんな場所に行って撮影するのよ」

今シーズンは、フリンジタイプのネックレスと、ブラス(真鍮)に同色のレザーを巻き付けた大ぶりのピアスをイベントのために製作。「このフリンジのついたスタイルがニューアイテム。元からあるオーソドックスなモデルに仕上げる途中の状態を、そのままデザインにしたの。巻きつける際に、まずレザーに細かい切り込みを入れて、巻き終えたらその部分は切り落とすんだけど、これはその切り落とす前の状態。プロセスをクールなディテールとしてデザインで見せたような感じね。フリンジみたいで可愛いでしょ。このイヤリングも新しいアイテム。真鍮にアクセントとしてレザーを巻き付けたのよ」

自己流で表現するハンドメイドスタイル


アンドリアが最初にデザインを学んだのは、ニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザイン在学中のこと。シニア(4年生)のときにアクセサリーを作り始め、それからレザーワークの虜になったと言う。「数カ所での実習を経て、ハンドメイドアクセサリーのスキルを身につけたわ。今はそれを自己流で組み合わせて作っているの」



ブラス(真鍮)を使うのがアンドリアのスタイル。ひとつひとつハンマーで打ち、表面に細かな凹凸を作り、それが微妙な表情を出している。「アクセサリー以外のハンドバッグやベルトのメタルワークに関しては、ロサンゼルスのアーティザンにお願いしているわ。製作のほとんどをインハウスで自分でやっているけど、それ以外は距離の近い、ローカルの人たちにお願いしているの。あと、今回はメキシコのオアハカのアーティストともコラボして、手編みのパーム材を使ったシリーズを作ったわ」

普段、仕事であまり遠くに一緒に行くことはないけれど、今回の初来日はボーイフレンドのクリスと一緒。「日本ってとても素敵で大好き! インスピレーションにあふれていると思う。それから、みんな優しいわ。特に日本の女性は、みんなユニークさやオリジナルなスタイルを持っていて感心する。洋服の着こなし方とかにも、冒険心があると思う。重ね着も楽しむし、みんなすごくユニークでラブリーだと思うわ。今年は4月にメキシコのオアハカでトランクショーをやってきたの。ロサンゼルスに戻ってから、西海岸のエリアでポップアップショップをやったりもしたわ。オアハカで見つけた焼き物とかを展示したりもして、すごく楽しかった! これからもチャンスがあればもっとたくさんの場所に行ってみたいな。カリフォルニアでは、よくハイキングやキャンプに行くの。クリスと、フォトグラファーのアンドリューと彼のパートナーも一緒に、とかね。どこで撮影するか相談しあって、みんなで旅行がてら一緒に行くからいつもすごく楽しいわよ」

Photograph: Kyohei Yamamoto
Interview&Text: Ako Tsunematsu (MOUTH JOURNAL)


■取り扱い:ピルグリム サーフ+サプライ
http://www.beams.co.jp/news/686/

■HP
http://www.crescionicollection.com

■Instagram
https://www.instagram.com/crescioni_ca/

アンドリア・クレッシオーニ/子供の頃からデザインやアートの世界に魅了され、デザイナーとしてのスキルアップのためNYのアート系大学 パーソンズに入学。学生生活やレザー職人の下での経験を通し、伝統工芸やその手作業による工程に強く惹かれていきました。卒業後はペルーの織りや縫い物の組合で働き、このときペルーで過ごした時間が、シンプルであることや日々の生活と仕事のバランスの大切さなどの新たな観点を増やし、後に、生まれ育ったLAにて、自身のコレクションの制作をスタートするきっかけになりました。現在<crescioni>のコレクションは、LAのダウンタウン地区でアンドリアの手作業によって、メタルやハンドバッグはLAの優れた職人達の手によって生み出されています。アメリカ西部の自由や創造力が、アンドリアに大きな影響を与え、無限のインスピレーション元に。自身を解き放ち、新しいプロジェクトを創造する上で、砂漠でのハイキングやロードトリップは欠かすことのできない要素です。

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