留学したかった

えもーしょん 大人篇 #52

留学したかった

2016~/カイト・大人

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.08.18

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#52
「留学したかった」
(2016~/カイト・大人)

バイトをしているせいで

なかなか、絵描きとして成功しないんだ!

と、考えたボクは

バイトを辞めて、ニート生活をスタートさせた。

案の定、家賃を滞納し

携帯は、強制解約。

電気が止まると

ガスも止まった。

それでも、「明日には、絵が売れる!」

と、折れそうな心を必死な支えていた。

そんな、ある日

友人に、次は水道が止まるから

気をつけた方がいいと言われ

急いで家に帰ると

自分の住んでいるアパートが

井戸水を使っている事が発覚。

なんと!

水道代がタダだったのだ。

これのおかげで、少し気が楽になったボクは

やっぱり最低限バイトはしよう。

と、決意した。

まずは、履歴書を書かないと。

と、家にあった昔のあまりの

履歴書をささっと書いた。

「あ、証明写真」

そう、履歴書には証明写真が必要。

しかし、証明写真を撮るお金がないボクは

アプリで履歴書を作れることを知る。

そして、初めて自撮りをし

アプリで履歴書を作成。

コンビニで10円支払いプリント。

そして、そのコンビニで面接を受けた。

が、タトゥーが入っている人は雇えないと言われ不採用に。

「あぁ、そうだ、忘れてた」

タトゥーが入っていると

意外と、働けないところが多い。

次に、面接を受けたファミレスでも見事に不採用

次に受けた、ピザのデリバリーのバイトも

新聞配達も、警備員のバイトも、スーパーのレジも

全部、不採用。

「タトゥーが入っいなかったらねー」

と、言われ散々な目に。

「やばいなぁ」

と、スーパーの面接が終わり

スーパーの中にある

〇ム〇ムバーガーで

1番安いハンバーガーを食べる事に。

「これください」

と、レジでお金を渡す

お釣りと、レシートを受け取ると

店員さんの腕に、ゴリゴリの入れ墨が入っていた。

ここは、OKなのか?

と、レジの横のバイト募集に目が行く

「あの、タトゥー入っていても大丈夫ですか?」

と、店員さんに聞く

「あー、ここほとんどお客さんも来ないし変なのじゃなければ全然OKよ」

と、言われたので

持っていた、履歴書をハンバーガーを受け取る際に渡した。

テーブルでハンバーガーを食べていると

先程の、店員さんがやってきて

「君、採用」と、一言。

なんと、ひょんなことから

ついに、ボクは職を得た。

「明日から来れる?」

と、言われたボクは

「もちろん!」

と、答え

嬉しくなり、家に帰ると

残りのお金を持って

「今日はお祝い!」

と、スーパーで好きなお惣菜を全部買った。

バイトのお給料が翌月払いとは

考えずに…。

お惣菜を全部食べ終わったあと

これまでにない、罪悪感がこみ上げてきた。

お金が、ボクの胃袋に入り

トイレへと流れていくのか…

少し悲しくなって

このままだと、ダークサイドへ落ちそう…

早めに寝た方がいい。

そう思い、アラームもかけず

寝てしまった。


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