「個性」ってなんだ?

What is your color?

「個性」ってなんだ?

Photo&Text:森山愛理

People / 2022.12.16

Luke magazine special contents #8
今、僕たちが考える「個性」のこと。


多様な価値観に触れる機会が多い今、「個性」という言葉の捉え方もさまざまだ。自分を奮起させるポジティブな言葉にもなれば、時に自分を惑わせる言葉にもなる。今回は服飾専門学校で日々自分らしさと格闘する17名の学生が、「個性」について改めて考えてみた。10代と20代のはざまに生きる学生たちの素直な言葉たち。「個性」ってなんだっけ?




Like sun and moon
反射光



「それって〇〇の個性だよね!」

私はそう言われたことによって自分の個性を認識することが圧倒的に多いです。しかもそれが、自分の思ってもみないような部分に着目されることも少なくない。さらに思い返してみると、人によって言われて嬉しいと思うこととそうでないことを言われるなんてこと、皆さんも経験ありませんか?“個性だよね”ってそもそも褒め言葉なのか?とすら感じたこともあると思います。

ではそもそも個性って何なのでしょうか?



「月は太陽の光に反射して光って見えているだけで、自ら光ってるわけではない。」

小学校の頃、誰もが教わったことではないでしょうか。静かで真っ暗な世界をあんなにも明るく照らしているのは月でしかないのに、自ら光を放っていないなんて。田舎県で育った当時の私にはとても衝撃でした。無意識に月を眺める習慣があったのは、単純に綺麗だなと思う気持ちという他に、まだ理解するのには難しく、謎に包まれた存在に好奇心を抱いていたのは確かだったと思います。毎日形が違って見えるのは何故なんだろう。スーパームーンだと騒がれたり、日食という珍しい現象が起こったり。段々と謎が解けていくにつれてもっと月が好きになったことも覚えていますし、今も大好きです。



「そっちの満月は綺麗に見える?」

9月10日。個性とは何かという問いに頭を悩ませていたタイミングで、島根県にいる母からメッセージが届きました。やっぱり月は綺麗だな。とても神秘的でつい時間を忘れて見惚れてしまう。月を見ながら色んなことを思いました。個性って月に似ているなあ。個性って個人の話のはずなのに、筆頭に話した第三者からの言葉でいつも気付かされて発見する、そんな部分が「太陽光がないと姿を現さない月」と近しいものに感じたのです。
月そのものはいつだって丸い形をしているのに、一部分しか照らされないと三日月に見えるし、条件によれば全く見えない新月になる時もあります。いつだって私は私なのに、環境、人の見方によっては見えづらかったり、それによって生きづらかったりします。

__が強い、__が光る、__が輝く

私たちは月と違い、意志があります。動かない月と違って自ら太陽の光を求めにいくこと。環境を変えたり、見せ方を変えたり。だから個性という名詞には、月にはつくことのない、“生きる”という動詞がつくんじゃないかなって強く思います。私は正直、自分の個性を思い浮かべることができないけれど、自分には個性がないとは思っていません。自分が自分らしく生きられている実感がある今、個性を照らし、認めてくれる環境にいることの証明があるだけでとても嬉しいです。だから私は、自分らしくいさせてくれる恵まれた環境に感謝してこれからも生活していきたいと思います。


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