anna magazine Vol.12

Vintage Surf Board

若き日の自分に思いを馳せる宝物。

Photograph: Mina Soma
Text: Maiko H. Izon

Trip / 2018.12.17



一昔前のクラシックなアイテムは、保存状態のよさや希少価値があれば、ヴィンテージアイテムとしてその類を愛してやまない人々に寵愛される。サーフィン発祥の地として知られるハワイでは、もちろん、世界でも指折りのヴィンテージ・サーフボードコレクターがいる。1970年代にハワイに移り住み、ノースショアのサーフタウン、ハレイワのアイコニック的サーフショップ「サーフンシー」を経営するジョー・グリーンさんもそのひとりである。



「僕のとっておきのコレクションをそろえておいたよ」。そう言って招かれたショップの裏側。ひとつひとつ丁寧に立てかけ、撮影させてもらう。







なぜ、そんなにもヴィンテージ・サーフボードに惹かれるのか聞いてみた。「25年前、たまたま近所の家の軒先に立てかけてあった古いサーフボードを見かけた。それが、僕がサーフィンを始めた12歳の頃に使っていたのと同じようなサーフボードですごく懐かしくってね。持ち主は、その大きくて重すぎる古いサーフボードを持て余していて、もっと簡単にサーフィンが楽しめるボードを探してたんだ。だから、僕が持っていた練習用のソフトボードと交換したんだよ。その頃は、ヴィンテージ・ボードの価値なんてそんなに注目されてなかったけど、僕にとってそのボードは、サーフィンを始めた子供時代を思い出させるすごいエキサイティングなボードだった。もちろん、そのボードを持ってサーフィンに行ってね。その頃乗っていた最新スタイルのボードとは全く違って、子供時代を思い出させる乗り心地に夢中になったんだ。それが、ヴィンテージ・ボードを集めるようになったきっかけなんだよ」。ヴィンテージという希少価値ではなく、自分の生きてきた時代を遡って感じられる特殊な高揚感を求めて。かつてボードに乗った持ち主や波、風景に思いを馳せながら、若き日の自分とまた会える特別な宝物だ。

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