The Garden Island

虹を見たかい!? 愛すべきカウアイ島2泊3日の旅

The Garden Island

Contributed by anna magazine

Trip / 2017.11.15

夢の島カウアイ。なぜならこの島はずーっと行きたいと思っていた場所だから。カウアイ島に行くとどうやらムーンボウが見えるらしい。

世界的にも雨が多いカウアイ島は、ハワイ諸島の中で最も虹が出る島として知られている。豊かな雨のおかげで、夜になっても虹が出る。そう思っていた。夜は太陽の光がないからレインボウじゃなくてムーンボウ。きっと白くてモヤッとした、なんとも幻想的な世界が広がっているんだ! それはオーロラのように、一度は見ておくべき風景のような気がしていた。オアフ島から飛行機で北へ1時間ほど。大好きなハワイアンエアラインに乗っていく。空から見える風景にカウアイ島への夢は膨らむ。きっと島に着いた途端に後光という名の大きな虹が差して、まるで映画の世界のように自分がキラキラと輝いてしまうかもしれない。そんなことを想像しながら島の玄関口であるリフエ空港に到着すると、レンタカー屋のお姉さんはいろんな言葉で話しかけてくれた。「Toyot a、Subaru、Honda~!」。「えっ?」。どうやらカウアイ島でも日本のクルマが有名らしい。しかも、島へ来る日本人は少なく、観光客のほとんどはアメリカ本土の寒い地域の人や、それ以外の国の人のよう。だから珍しいのか、CMと同じイントネーションで、何度も同じ言葉を発しながら、「でしょ? だって日本から来たんでしょ?Subaru~!」ととってもかわいい笑顔で話しかけてくれた。そうなの。でも私の名前はそれではないです、と少し寂しい思いになりながら、クルマに乗り込む。マイナーな自分に対し、カウアイ島の道はとてもわかりやすい。島を囲むように国道が走っていて、島の中心部には道がなく、それぞれの街へは海岸線を通って向かう。


まずはカウアイ島で最も有名なワイメア渓谷へ足を運んでみる。この場所は、青くて広々とした海岸線の空や海の色とは違い、赤褐色の岩の世界。数百万年前に海底火山が溶岩を噴出して作られた島だけに、想像以上に大きな野生の世界が広がっていた。しかも1カ月に1,000mmを超える雨が、長い間岩を浸食してきたので、岩肌がひだのようになっている。地球の裂け目のようなその姿が、太平洋のグランドキャニオンと称されるのもわかる。この周辺には20近くのトレッキングコースもあるみたい。

さて、カウアイ島では何が美味しいのかな? 少しお腹がすいてきたので、街へ向かって山道をぐるぐると下る。カウアイ島の大きさは、オアフ島とそれほど変わらないのに、島を走っているだけで、スケールの大きさを感じてしまう。それぞれの街は小さくて素朴なのに、ふとした瞬間に見える山肌や滝、海など、自然のすべてがドキドキするほど存在感抜群なのだ。その雄大な自然の姿から「庭園の島」という異名も付いているらしい。ちなみにカウアイ島では、“ヤシの木より高い建物は建ててはいけない”という法律もあるそう。なんだかかわいいね。


1時間弱のドライブの途中で素敵な街を発見! スリフトショップや小さな店が集まっている。でも少し到着時間が遅かったからか、まだ17時なのにどこも開いてない(カウアイ島の店は閉まるのが早い)。そんな中、唯一盛り上がりを見せていたのはサイミン食堂。ラーメンに似ているサイミンは、ハワイのローカル料理で、おもちゃみたいな色合いがなんとも楽しい。次々と訪れるお客さんを相手に、無愛想に食事を運ぶおばあちゃん達のふっくらした姿も愛らしくて、思わず笑ってしまった。寂れた田舎の風景のようにみえて、昔のハワイらしさが色濃く残るカウアイ島は、たくさんのハワイ好きを虜にしているというのも分かる。



ポリネシア人以外で、ハワイを最初に発見したキャプテン・クックが初めて訪れたのも実はカウアイ。200年以上前の話だけど、今の島の姿もそんなに変わらないんじゃないのかな。翌日に船で訪れた「ナ・パリ・コースト」を見た時にそう思った。船の上から見えるのは、切り立った崖や巨大な峰、人を寄せ付けないビーチ。海にはイルカの群れがいて、嬉しそうに船に寄ってきてはジャンプする。のんびりと泳ぐウミガメのさらに遠くには、クジラの姿まであった。この島のすごさは海から見る方がよくわかる。そんな場所でずっと暮らしていた先祖の言葉、ハワイ語には“自然”という意味の言葉が存在しない。なぜなら、自分=自然だから、分ける必要がないらしい。

奥深いハワイの歴史に頷いていると、「コケコッコー!」と、もうすっかり夕方なのにニワトリが鳴いている。カウアイ島には、人と同じくらい(?)ニワトリがいて、島のアイコンにもなっている。カウアイ生まれの食材が、ニワトリマークのことも多い。その姿は堂々としていて、空だって飛べる。気がつくと、時間の流れも感覚も普段と全く違うカウアイ島をすっかり好きになっていた。

さて、(個人的に)待ちに待った夜がやってきた。ムーンボウってどんな姿なんだろう。こんばんは! って突然出てくるのかな? アロハ! かな? まだ見ぬ姿を想像しながら、小高い場所にあるホテルのラナイから空を見上げてみる。何十年も憧れていたあの人に会えるような気持ち。ドキドキドキ。

「Good Morning~♪」

うっかり泊まったゲイホテルのオーナーさんの声で目を覚ます。あれ?「Aloha! 今日も一日楽しんで来てね」

チャーミングな笑顔に見送られ、クルマを走らせる。そっか、ムーンボウは出なかったんだ。でも、これでまたカウアイ島に行く機会ができた。旅の終わりを感じながら、ぼんやりと空を見上げると、小さいけど七色の虹が出ていた。Mahalo!


写真:田尾 沙織/文:菅 明美

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