This Time Tomorrow #14
国境越え
Myanmar / Myawaddy
Contributed by Natsumi Chiba
Trip / 2019.06.11
タイ側の国境メーソートでトゥクトゥクを降り、出国スタンプを押してもらう。丸々1ヶ月滞在したタイに名残惜しさも感じながら、ミャンマーとの国境の橋を渡る。
じりじりした暑さでバックパックを背負う背中に汗が流れ、橋の先にミャンマーが見える。国境の街ミャワディ。橋を渡りきった途端、見るものすべてが今までとは全く違うオーラを放っていて驚いた。
舗装されていないデコボコの道路。肌が黒くこちらをじっと見つめてくる男の人たち。インド人もいるみたい。ほっぺたには何やら薄黄色のクリームのようなものが塗りたくられている。ふと女のひとに話しかけられる。
「どこいくの?」
物腰の柔らかいタイにすっかり慣れてしまっていた私は、ミャンマーが醸し出す独特な雰囲気に圧倒されてしまった。自分一人、周りにバックパッカーもいない。もうすぐ日も暮れようとしている。すこし恐怖感も覚えてた私は近くのホテルに早々と逃げ込んだ。
夜になるとスピーカーを通して大音量で聞こえてくる読経が不気味で仕方なかった。
ここミャワディーは国境にある街というだけで観光するようなものはない。ミャンマーの大都市ヤンゴンまではバスで12時間。一気にヤンゴンまでいくことも出来るし、途中経路でどこかの場所をはさんで時間をかけてヤンゴンまでいってもいい。私はミャワディーから4時間ほどにあるパアン(Hpa-An)にとりあえず行くことにした。
シャワーを浴びて身支度をし、パアンまでの行き方をフロントに聞いてみる。
「パアンに行きたいんだけど、バスは出てる?バス停はどこ?」と聞くと、私のバスという質問はスルーされ、「タクシー!タクシー!」とフロントのお姉さん達が言う。
「え?タクシーじゃなくて安く行けるバスとかでいいんだけど」と言ってる私をよそに明日の朝10時にピックアップがくることになった。
翌朝ロビーで待っているとタクシーがきた。タクシーといっても乗り合いのミニバンで、パアン方面に行きたい人を道端で拾いながら来ていたらしく約束より1時間遅れてきた。
ドライバーと助手席に座ってる男性ふたりでオーガナイズしていて彼らに英語は通じない。
先に乗っていたローカルの人にも話しかけてみたけど「ノーノー」と言われてしまった。
ドライバーのクティ(左)とクリ(右)
英語が通じないローカルのバスや電車に乗っているとき、他にバックパッカーが居ると安心する。何かあったら彼/彼女に聞こうとか話しかけてみたり、「このバスって○○に行くんだよね?」ってお互いに確認してみたりしてコミュニケーションをとる。そんな同じ旅人同士の隙間の小さな時間が結構好きだったりする。
どうなることやらとミニバンの真ん中の席に腰をおろし、車のなかに居る無数の蚊を手で払いながらデコボコの道を走り始めた。
しばらく走ると右手にローカルのおじさんとHpa-Anと書かれたホワイトボードを持った女性が親指を立てて一緒に立っていた。
「あ!バックパッカーだ!とめて!彼女を乗せて!」と心のなかで叫んでいた。
To Be Continued.
BGM: A Good Hearted Melody / Augustus Pablo
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Natsumi Chiba
神奈川県茅ヶ崎在住。20歳のときにいったオーストラリア留学がきっかけで旅にハマる。最近はジャンクのフィルムカメラで写真を撮り始める。好きな音楽はレゲエなど。