True Feeling in Ireland #7
芸術の秋、文化的な夜
Contributed by Chika Hasebe
Trip / 2019.09.27
#7
家に帰るまでのバスの中が暇だから、日記を書こうと思う。
これまで散々私を悩ませてきた、うじうじして質問ができないという問題に、改善の兆しが見えてきた。正直に「わからないから、わかるまでちゃんと教えて」とはっきりと伝えられて、何回も同じ部分をわかるまで聞くことができたし、知識としてしっかりと英語が身についてきた気がする。
そして、放課後はお兄ちゃんと家の近くのショップまで散歩した。ドライブしている時よりも話を聞いてくれるから、私は散歩の方がどちらかといえば好き。運転中は、質問しているのにも関わらず、当たり前のように無視されるから話しかけにくいのだ。ペーパードライバーの私にも、集中している時に話せない気持ちは確かにわかるのだけど。
夜は、芸術の秋ということで“culture night”というイベントに参加した。この日だけは、シティにある美術館や博物館などが夜遅くまで無料開放されていて、様々なパフォーマンスやワークショップ、映画の上映会などが数多く開催されているのだ。1日限定という儚さもまたいい。
金曜日ということもあり、友達のKaiとEmilyと一緒にTorinity collegeにある科学博物館へ。この博物館ももちろん今日だけは遅くまで開館していて、ちびっこがたくさん遊びに来ていた。ここは大学の施設の一部なのに、展示のクオリティが高くて、さすが“ダブリンの東大”と呼ばれるだけあるなと勝手に感動。こんなところにあるのはまったく知らなかったので、連れてきてくれたKaiに感謝した。
その後は、ブックストア兼ギャラリーのような小さめの空間の中にぎゅっと様々な作品が凝縮されたスペースへ。ここもKaiが連れいってくれた場所。このあたりは有名なTemple barというお店がある繁華街のエリアで、細い道に入ると古着屋さんやバーなどちょっとディープなお店がたくさんある。歩く人もダブリンでは珍しくおしゃれな人ばかり。みんな自分の着たいものを着ていて、自分に自信があるというか、すごく楽しそうな人が多い。
ダブリンは、突然の大雨が多いこともあって、みんなフード付きパーカをなかなか手放せない。だから、ジャージでシティを歩いている人も当然のようにいる。気候や興味の薄さなどが相まって、とにかく服装に気を使う人が少ない気がする。だからこそtemple barエリアの人々は、全然違って見えたのかもしれない。ギャラリー自体は、アイルランドの歴史を写真に収めて展示していて、高校で日本史選択だった私はさっぱりわからなかった。とりあえずKaiの話を聞いていたけど、Emilyもさすがにここらの歴史は知らなかったようだ。終始kaiに圧倒されながら、私とEmillyはただただついて行くという構図だった。
その後はDolland & Co.へ。日本でいう紀伊国屋や成城石井のようなファンシーなグローサリーストアだ。Culture nightということで、国立印刷博物館のポップアップショップが開催されていた。無料で手刷り体験をさせてもらって、お土産がまたひとつ増えた。
そのあと、temple barの繁華街にも立ち寄った。いつものごとく混雑しすぎているので、中には入らなかった。この1ヶ月間散々通ったけど、写真を撮ったことがなかったので、記念にパシャり。
その後は半地下にある小さなpubでアイリッシュミュージックの生演奏を堪能。本当にケルト系の音楽って心から温まる音だ。ここでももちろん楽器の説明をKai先生がしてくれました。Kai先生なんでも知ってるな。今までケルト系の音楽とか無印良品のイメージがあったけど、スピーカーから聞こえてくるBGMと本場の国の本場の生演奏では、やっぱり大違いだ!
最後はすこし歩いて、野外のプロジェクションマッピングを見に行った。日本ではディズニーなどでよく使われているけど、まさかダブリンでも見られるとは思ってもいなかったのでびっくり。壁に映し出されたアートを見ながら、しんみりとした雰囲気で終了。
一緒に行ってくれた2人にとっても感謝。Kaiに至っては、自国の歴史などにとても詳しくて驚いてしまった。もし私がKaiの立場だったら、ちゃんと説明できるかわからない。そもそも、自分が日本の歴史についてそこまで知識があるかどうかも怪しい。別にその知識を使うか否か関係なく、自分の生まれ育った国について最低限の関心と知識を持つことはとても大切というか絶対に必要だと感じた。今日は、アイルランドのカルチャーにどっぷりと浸れた、充実の夜を過ごすことができた。
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Chika Hasebe
1998年生まれ。2023年5月よりロンドンに拠点を移し、報道記者の仕事に従事する一方、フリーライターとしてカルチャーについて発信もしている。