ミラノと私とMamma mia

Mamma mia! #1

ミラノと私とMamma mia

Contributed by Aco Hirai

Trip / 2020.03.24

イタリアに活動の拠点を移し、フリーのエディター・ライターとして活躍するAco Hiraiさんの連載「Mamma mia!」。よく笑い、よく泣き、よく怒り、よくテンパる、そんな彼女がイタリアで感じた何気ない日々の出来事をパーソナルな視点で綴っていきます。

#1

10年以上使い古した大きめのスーツケースに、
オールシーズンの洋服と日本の調味料をできる限り詰め込み羽田空港へ向かったのは、まだお正月気分が抜けない1月3日だった。
目的地はイタリア・ミラノだ。

ミラノでの生活が始まって1ヶ月半、大変だったことや楽しかったことはたくさんあったけど、なんと言っても一大イベント(あえてイベントと呼ばせてください)は、ミラノに着いて1週間後に指を骨折したこと。
まさに“Mamma mia”な出来事!!

翌日オススメされた病院へ向かったものの、
イタリアの病院は、院内のどこに受付があるのかわかりづらく、誰かに聞こうもスタッフの姿すら見当たらない。
病院の敷地内を数分彷徨い、ようやく受付に辿り着いた。

当時、イタリア語力が0.3%ぐらいだった私。
病院に行ったものの英語が話せるのはドクターだけで、
スタッフや看護師はイタリア語しか通じないため受付すらできなかった。
きっと痛みと心細さでひどい顔をしていたんだと思う。
近くにいた英語を話せるイタリア人の男性が通訳してくれた。

普段ならスマホ片手にグーグル先生に聞けばいいのだが、
まだスマホの契約もしていなかったので自力でどうにかするしかなかった。
悪戦苦闘しながらもなんとか受付を済ませると、左手に派手なリストバンドを付けられた。



そして、待合室で自分の番号を呼ばれ、
レントゲンを撮り、ドクターの診察を終えるまでなんと7時間。ヨーロッパは医療費がタダなので、病院で長時間待つのは普通らしい。待ちたくない人は、料金はかかるがプライベートの病院へ行くとのこと。
診断の結果、手術をすることに。
今まで骨折したことがないので分からないけど、
骨折で手術をするものか、と疑問にも思ったが
ドクターがその方が綺麗に治るというので、とりあえず言う通りにした。
手術方法は日本人医師の名前が付けられた“ISHIGURO テクニック”というもの。
病院が大の苦手な私。
「日本人が考案したテクニックだから安心してください」とドヤ顔で言われても、決して安定剤にはならなかった。
そして、イタリア語習得のために通い始めた学校も骨折のためしばらく休学。
術後、数日間は、激痛で何もする気になれなかった。
美味しそうな名前が付けられたパラチェタモーロというイタリアの鎮静剤を飲んでベッドの上で過ごした。

ベッドからの景色。ここは5F。日本でいうと6Fになる。



これがミラノのシンボル、DUOMO(ミラノ大聖堂)。



DUOMOを正面に見て左側にあるのが高級ブティックが立ち並ぶGalleria Milano。まるで芸術作品。歩いているだけで誇らしい気分にしてくれる。



そんなバタバタした日が終わり、落ち着いたのは1月末のこと。
今月は、ヴェネツィアカーニバルが開催されるということで、学校をサボってヴェネツィアへ。
ミラノの中心、MILANO CENTRALE駅から約3時間だ。
片道3時間なので、もちろん早朝出発。
行き方は色々あるが、コストと時間を考慮するとTRENITALIAという電車で行くのが一番良さそうだったので、チケットを購入し、コーヒーを買って電車に飛び乗る!
出発時刻の4分前だった。



ギリギリセーフ! と思いきや、
チケットを購入した後に駅構内にある機械にチケットを差し込み、搭乗手続きをしないといけないということに気づく。
乗務員が抜き打ちでチケットのチェックをしに来るので、
その時に乗車手続きをしていないと罰金を取られる可能性があるからだ。
外国人だしチケットさえ買っていれば多めに見てくれる?
駅員に乗車手続きができなかったことを伝えれば良いか?
一瞬のうちに色々な甘えが頭の中をよぎった。
そして、多めにみえもらえることを期待しながら近くにいた駅員に伝える。

が!!!!
ミラノの駅員はそんなに甘くなかった。
入り口付近にある機械まで走れ、後3分だ! と言われ、GRAZIEという言葉と共に猛ダッシュ!
なんとか無事に目的地、ヴェネツィアへ向かうことができた。
この電車を逃すと到着が2時間ほど遅れることになるから逃すわけにはいかなかった。



電車を乗り継ぎ、目的地、ヴェネツィアへ辿り着いた。
ここが水の都、ヴェネツィアか、と映画で見たヴェネツィアの風景を重ね合わせる。
街の中心地へ向かうにつれて、華やかなコスチュームに身を包んだマダム達の姿を目にする度、どんな世界が待ち受けているのか、と高鳴る胸を押さえきれなかった。
21歳の頃にとある雑誌で書いたヴェネツィアカーニバルの記事。
あの頃からずっとこのお祭りに来て見たかったからだ。











サン・マルコ寺院の周辺。カメラを向けると快くポーズを取ってくれる。



ゴンドラは乗って見たいと思ったけど、高いのでパス。
乗らないか、と聞いて来るけど、こんな時は笑顔で、「No,Grazie.」





177の島で成り立っているヴェネツィア。その街の一つ、ブルーノ島。
このカラフルな家が立ち並ぶ島へ行くには、ヴァポレットと言う水上バスを使う。





€25で購入したマスク。素材やデザインにもよるが安くて€3から。
でも、安いものは中国製。イタリア製は、マスクの裏にきちんとスタンプが押されているのでしっかりチェック!



ブルーノ島のトイレ。使用料はなんと€1.5。割高だ!
片道3時間と言うことで、帰りは現地を7時半頃出発。
電車を乗り継いで家に着いたのは、時計の針が深夜12時を回った頃。

来週は、いよいよミラノでファッションウィークがスタート。


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