たべて、みて、かんじて

Greenfields I'm in love #13

たべて、みて、かんじて

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2020.07.31

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#13

ロンドンには、日本食屋がたくさんある。「日本食を食べないと死ぬ!」というほどには日本食が恋しくなかったけど(もちろん日本食は大好き)、そんなわたしでもちょっと気になるラーメン屋さんがあった。

福岡発で、ロンドンに三軒ある「金田屋」というラーメンレストランだ。いつも外まで人が並んでいて、とにかく美味しいらしい。私は放課後、韓国人のクラスメイトのクレアと一緒に金田屋にむかった! コベントガーデンの店舗へは、学校から5分くらいでいけるのだ。

よくお喋りはしていたけど遊ぶのは初めてだった。クレアは英語がすごく上手で、おまけに可愛くてものすごく優しい。一つ年下だけど、わたしよりずっとしっかりしている。この日から、2人でよく遊ぶようになった。
金田屋に着いてみると、今日は全然混んでなかった! 「ラッキー!」そう言って店内に入って、1番ベーシックな豚骨ラーメンを注文。物価が高いロンドンだから、ラーメンも2000円くらいする。

久しぶりの日本食。写っていないけど外国で出てくるお箸は、いつも太くて使いにくい。



美味しかった! もう少し詳しく、そして正直にいえば、とっても普通のラーメンだった。そりゃそうだ、というような見たまんまの味。外国にいながら日本の味を楽しめるという意味ではいいかも。

クレアは今日、3時から学校のアクティビティに参加すると言っていた。学校では毎日、なにかしら放課後に遊べるプログラムがあって、その日はスローンスクエアにある現代美術館、サーチギャラリーへ行く日だった。サーチギャラリーは、前々から行ってみたいと思っていて(ビデオグラファーの友達のもっさんもお気に入りの場所)、クレアも誘ってくれたので、私も行くことにした!
学校へ戻って、ジェームズ(私たちのクラスの先生であり、アクティビティの責任者でもある忙しい先生)に今日のアクティビティに参加したいと言うと、ちょうどあと1枠残っていた! 思い返すとわたしとクレアが一緒にいると、いつも2人にとって「ちょっとした良いこと」がある。そんな事があるたびに顔を見合わせて、「まただ!」と笑った。
サーチギャラリーは、コンテンポラリーアートをメインとしたコンパクトだけどすごく雰囲気が良い美術館! 有名作家だけではなく、世界各国の若手アーティストのアートまで取り扱う。

Jenny Watsonの作品。少女や馬がテーマとなった作品が多くて、こんなふうに素材を使ってコラージュされてる。





Tillman Kaiserの作品。素朴な色味のペイントに切り貼りされた人の顔や目が特徴的で、なんだか吸い込まれる。



Tom Howseの作品。チェスター出身らしい。彼の絵には、オブジェクトによく見たら顔が沢山描かれていて可愛かった。この写真は、その絵の前にいた女性とすごく雰囲気が合っていたからお気に入り。



Florence Hutchingの作品、彼女もケント出身のイギリス人。驚いたのは、たった一つしか歳が変わらない事。彼女の作品は、カラフルだけどちょっぴり落ち着いた色味が可愛かった。



建物自体もすごく素敵で、中は吹き抜けのスペースもあって、光の入り具合も綺麗だった。





さらに、美術館の醍醐味でもあるグッズショップもすごく充実していた! 私は美術館のグッズショップが大好きだ。可愛いポストカードはもちろん、細々した雑貨がたくさんあっって、わたしの好きなイタリアのアートマガジン「トイレットペーパー」のグッズも。

同じ週の土曜日は、月に一度行われるKILO SALEのためにブリクストンにあるpop brixtonへ。ブリクストンはアフリカ、カリブ系の人々が多く住む活気のある多文化地域で、あの有名なデビットボウイの出身地! pop brixtonは、そんなブリクストンの地域活性化のために作られたコミュニティスペースで、コンテナを使って建てられている。隅々に植えられた椰子の木や、派手な色合いで塗られた壁が、ブリクストンの街並みとよく馴染んでいた。ここでは様々なショップ、ストリートフードやカフェ、バーなんかがコンテナに分けられ、所狭しと並んでいる。土曜日だからたくさんの人で賑わっていて、若者からお年寄り、家族連れまで客層は様々だった。御目当てのKILO SALEはイベントスペースを使って行われていて、大量のビンテージの洋服がラックにかかっていた。値札はついていない。キロ(重さ)で測るのが、このビンテージセールの面白いところなのだ。

キロセールはこんなかんじ。



試着室がないからみんなその辺で試着する!(笑)



調べてみたらpop brixtonはサステナブルな建築で作られ、地域活性化だけではなく、小さい規模のお店や企業にスペースを提供してスタートアップを手掛けたり、厳しい家庭環境で育った人、犯罪歴のある人などに社会に出るためのサポートをしたり、本当にさまざまな活動を通して、全体に活性化をもたらしているのだとか。

殆どなにも知らないで遊びにいった自分が少し恥ずかしくなる。そんな多様なサポートがなされている背景が分からないくらい、ただただ活気のある今時のアミューズメントパークのようだった。
みんなが楽しい娯楽を追求しながら、地域社会にも大きく貢献した活動がなされているなんて、本当に素敵な事だなと思う。次行った時は、もっと注意深くみてみよう。前回は気付かなかった面白いものが、きっとたくさん見つかるはず。


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