北海道ロードトリップーコロナへの逆襲ー

Hit the Road #3

北海道ロードトリップーコロナへの逆襲ー

硫黄に誘われて

Contributed by Natsumi Chiba

Trip / 2020.10.23

東南アジアをはじめ世界中を旅してきたNatsumi Chibaさん。コロナ渦の中で、海外へ自由にいくことができない今、彼女が向かったのは北海道。Road tripをしながら雄大な北海道の大地を駆け巡るニューノーマルな旅の模様をお届けします。

#3

北海道の自然の豊かさは想像以上だった。見所がたくさんで3週間のロードトリップでは周りきれないくらい。それに加えてとにかく広い。私たちの感覚でいえば、富良野から“南”富良野までいくのに、せいぜい車で10分程度だろうと思っていると、40分、39kmを走る道のりで驚いた。

北海道に来てからやっていることといえば、どこかきれいな景色が見える場所やハイキング、登山が出来そうなところを目指してドライブ。途中の道の駅で安く野菜を買って休憩して調べ物。運動後の汗や疲れを温泉で流し、キャンプ場に着いてテントを張る(それか車中泊の準備)。そして、ご飯を作って食べて寝る、だ。

これが案外にも結構忙しくて、夜は大体ヘトヘトになって寝落ちする。こんな感じの生活を続けて、あらためて良さを知ったものがある。それは温泉。

北海道には無料の天然温泉がいくつかあって、個人的なおすすめは、知床国立公園にある羅臼町の「熊の湯」。45℃〜46℃のアッツアツのお湯なので、掛け湯をしてからでないと熱くて10分も入れない。「みなさんどちらから?」と話しかけてくれた地元のおばあちゃんや、はるばる2時間かけて熊の湯に入りに来た温泉マニアな道民のお姉さんと話をして、そういえば温泉でこんな風に誰かとコミュニケーションをとるのって初めてかもって思った。見知らぬ人と裸体で語り合うってよく考えると面白い。

ちなみに日本にある110の活火山のうち18箇所が北海道にあるらしくて、自然を楽しもうと思うなら火山の存在は欠かせないほど、私達はその恩恵を受けている。特に調べずに行った先にたまたま火山があるくらいに、意識せずとも自然と硫黄の香りに誘われていた。


阿寒摩周国立公園にあるつつじヶ原自然探勝路


森を抜けて歩いて行くとひらけた場所に出て、


硫黄山に出る。黄色の硫黄の結晶がかっこいい山。

あったかくて、たくさんのお湯に身体が包まれるとなんだか安心する。筋肉の緊張が解れて身体が軽くなって、肌を撫でるのは心地良い水の柔らかさだけ。お湯から上がるもくもくとした湯気も綺麗だし、露天風呂の縁に座って上半身に当たる風の冷たさも気持ちいい。

オーストラリアに居た時は1ドルで5分のシャワーを浴びていた時期があったけど、5分って意外に長くて私には長いくらいだ。確かにずっとシャワーだけで過ごしていたら湯船が恋しくはなったけど、無いなら無いでも平気だった。お風呂嫌いなドイツ人の友達に、湯船に浸かるなんて水の無駄だと言われたことがあって、彼の言うことは間違っているとは思わない。


日本百名山の活火山、雌阿寒岳。頂上に近づくにつれて硫黄の匂いが濃くなる。

それでもやっぱりお湯に浸かるという贅沢の限りを尽くしたいのは、温泉がもたらすリフレッシュ効果がやっぱり凄いのだと思う。仕事でストレスまみれのヘトヘトでも湯船に浸かっている間はほっとするし、冷えた手足がジンジンとする感覚は生きているって感じがして、身体をポカポカにして布団に入ると幸せ感マックス。『千と千尋の神隠し』では八百万の神様達が疲れを癒しに湯屋に来ていたし、猿もカピバラも温泉に入るくらいだ。人間から動物、神様までその効果は絶大。


津別峠から見た日本最大のカルデラ湖、屈斜路湖




湖畔にある砂湯キャンプ場では砂を掘ると温泉が湧き出て、自分で足湯を作ることも出来る。


温泉って日本のものだと思いがちだけど、その起源は紀元前500年位にギリシャで硫黄泉に入浴していたことが始まりと言われていて、あの有名なカラカラ浴場はローマ帝国時代に造られたものだし、温泉は時代や人種に関係なく人を魅了するのだと思う。

調べてみたら温泉に入ることで「転地効果」という心理的な効果が働くみたい。簡単に言うと、日常生活を離れた温泉地に行くことにより五感を刺激すると、自律神経が整ってストレスを解消して、精神疲労や病気に効果を発揮するらしい。

確かに温泉入った後ってどう考えてもイライラとかしないし、心がさっぱりして、浄化作用みたいなものを感じる。温泉であたたまった後はビールを飲んでとにかくまったりすることしか頭に浮かばないから、ひねくれ者とか世界中の悪い人たちを、とにかく毎日温泉に入らせたら世界は平和になるのかな?とにかく、ストレス解消したいと思っている人は、北海道に来て自然に触れて温泉に入りまくるのが絶対におすすめだ。


つづく


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