アレックスと行く!LA散歩④

GET BACK YOUR "RAW" ! #12

アレックスと行く!LA散歩④

Contributed by ERI

Trip / 2020.11.19

モノにあふれる現代に疑問を持ち、着飾らない自然体でいるスタイルの美しさをアートを通してメッセージし続けているアーティストERIの連載GET BACK YOUR "RAW" ! アートにルールは無い。その壁をこえてゆけ! アーティストERIとしての生き方探しの記録 in ロサンゼルス。

#12

こんにちは!
今週も覗いてくださってありがとうございます!
11月ですねえ。
今年は夏が短かすぎました。
泣いていいですか?
いつも日焼けしてるんですけど、この時期はなぜか顔だけ白くなるんですよね。
なんでですかね。
顔だけ異常に新陳代謝が良いのでしょうか?



〜前回〜

アレックス「作り込みすぎてるね」

ERI …フリーズ。

〜〜〜

えっと、今なんとおっしゃいましたか?
え、作り込みすぎ?
その心は…………?????

内心、パニックになっていた。
作品に少し自信があったから。

アレックス「ERIは、絵でなにかを表そうとしすぎてるかもね。すごく色使いも綺麗だし、モチーフも可愛い」

ERI:うん

アレックス:でも足りないのは、情熱。感情の爆発。なにかを描こうとするな。アートは感情の爆発だからルールはない。筆とキャンバスを誰が使えと命令したのか? それは絶対なのか?

ERI:確かに。

アレックス:ERI、今日はせっかくだから、抽象画を一緒に描いてみようか。

ERI:うん!


少し肌寒かったので、ハーブティーと作業用の上着を用意してスタジオに入った。

中は、絵のためだけに存在している空間だった。

所狭しと過去の作品が並び、部屋の端にはワインセラー。
奥に進むと、PCの作業台ととってもゴージャスな水道…があった。



アレックス「ERI、ここにある画材はなんでも好きなように使って良いからね。もう、全部。メディウムは使ったことある? これを絵具に混ぜると新しい表現ができるようになるよ」

私は最初、正直なにをしたら良いのかわからなかった。
抽象画…とは?
感情をぶつける…。
メディウム?

とりあえず描き始めてみた。
使ったことのない材料、いつもと違うメーカーの絵具、使い古された筆。

わからないから、とにかく描いた。

モチーフを選ばず、なにかを描こうとしてた。

ここの流れは水っぽく、ここはこうして、ああして…。

もうね、ここの時点でダメだったんです。
結局描こうとしちゃっているから。

難しいですね。

今、その時の作品を見るとゾッとします。

あああ! なんて不細工な作品なんだ!!

って具合に。

それをみてアレックスは、「ちょっと見せてあげるね」と一言。

作業台をアレックスに代わり、余った絵具を見つめる彼。

なにをしだすかと思ったら…。

そこにあったコーヒーで絵具を溶き出した。

その絵具をヘラでキャンバスに一気に殴りつけた。

…その後が衝撃。

ガシャーーーーン!!!!!

キャンバスを床に叩きつけ、手で何回も叩いた。

アレックス「ERI、これだよ。ルールがないのがアートだし、もっと自由になってごらん。何か描こうととらわれなくて良い。偶然の産物が名作になることもある。考えすぎてるから、もっと心を開放してごらん」

あいた口が塞がらないとはこのことで、
私は今、なにを見たんだ????
と、びっくりしていた。

しかし、この体験がきっかけで自分の中のなにかが外れた。

誰かに見てもらうための絵が描きたいの?

お金欲しさに絵を描いているの?

評価が欲しいの?

違うよね。
好きで、好きで、仕方ないから描いているんだよね。

なにか訴えたい、伝えたいことがあるから描いているんだ。

私は、アーティスト。

心が自由になれた瞬間だった。



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