胸がいっぱいになるくらい幸せな時間

Greenfields I'm in love #25

胸がいっぱいになるくらい幸せな時間

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.01.22

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#25

あけましておめでとうございます。

年明け最初の記事は、大好きなリアムの話をしたい!
リアムはヨークシャー出身で、確か出会ったこの頃は25歳くらい。きっかけは学校の日本のクラスにむけた茶道レッスンのお手伝いをした時で、すぐに仲良くなり、最近はしょっちゅう遊んでいるのだ。この前はリアムが習ってるアシュタンガヨガに一緒に行った。
アシュタンガヨガは、呼吸に合わせて太陽礼拝から始まる決まったポーズを順番にやっていくインド発のヨガだ。リアムに連れられて教室に入る。木造の室内はなんかすごく蒸し暑いけど、嫌な感じではない。お香がいっぱい焚かれていて、いい香りだし。

これがアシュタンガヨガの一連の流れ。



想像していたヨガ教室とは違って決まった時間帯やクラスがあるわけではなく、好きな時間に人がきて、自分のペースで、自分が習ったポーズまでヨガをする。先生はそれにアドバイスしたり、次の段階のポーズを教えたりしながら、みんなを見て回るのだ。ほとんど毎日開いていて、閉まっているのは満月の日だけ。
私もヨガの格好に着替えて、初めてなので先生に何ステップか一から教えてもらった。まずは目を閉じて胸式呼吸。静かな動きで簡単そうに見えて、結構体力を使う。気がつくと大量に汗をかいていてびっくり!
リアムを見ると、顔を真っ赤にしながら(頭を逆さにしたりしてるから)カエルのように体をくねらせてさまざまなポーズを取っていた。

一通りヨガのクラスが終わって、リアムの方も終わるまで仰向けになってボケっと天井を眺めていた。とても気持ちよかった。奥でリアムたちがみんなで何か歌っている。なんだかパワースポットみたいに、心が落ち着いて素敵な気分だ。シャワーを浴びてヨガ教室から出る前に、ミントの房をもらった。初めてのアシュタンガヨガは最高だった! 言うまでもなく、リアムがいなかったら行っていなかっただろう。



よくみるとここには私みたいに日本から来た人もいた!

リアムは俳優を目指していて(今もきっとまだ夢見てる)、ヨークシャーから一緒にロンドンへやってきた親友に、アクタースクールへ通うサムがいる。2人はいつも一緒で、とても仲良し。

ある日暇だったからリアムに連絡したら、ちょうどサムといるからおいで!と言ってくれた。ハムステッドヒースの池に泳ぎに行こうとしていたらしい。私は大急ぎで用意を済ませて、ヒースのすぐ近くにあるサムのお家へ向かった。3人のホームメイトと一緒に住んでいて、太陽の日差しが室内によく入る本当に本当に素敵なお家だった。

共用のリビングルーム。写真の奥にキッチンがある。



これは前に住んでいた人たちのお掃除当番表。小さく書かれているのが現在の住民。



お家を案内してもらった後、一緒にハムステッドヒースを散歩した。リアムとは何回かここへ来ていて、いつも楽しいからお気に入りの場所だ。ものすごく広い芝生の上で、たくさんの人が寝転がっている。中にはビキニを着ている人や、それどころか上半身裸の人もいるけど、当たり前のような顔をしてるから、違和感を感じているこっちが変なのかと思えてくる。実際そんなに珍しいことではないみたい。


さっきまでリアムが泳いでいた池の方まで行った。ヒースには池がたくさんあって、その中には泳いでいい池とダメな池がある。(ダメな方にもたくさんの人と犬がいた)池で泳ぐなんて、これもまた日本で育ったわたしからしたらちょっとびっくり! こうやって当たり前がどんどん変わっていくのは気持ちいい。

これは泳いでいい方の池。



さらに奥へ行けば、森林や丘がある。一応道はあるけどそんなに舗装されていない細い一本道で、今にも迷いそう。長い丸太が落ちてたり、登ってくれと言わんばかりに太く横に伸びた木があったり(違う日、ほんとにリアムと一緒に木に登って遊んだこともある!笑)、わたしはロンドンという大都会にいるのを忘れて、まるで郊外のど田舎へ来たような気持ちになる。一つの街で様々な空気が味わえるこんな特徴も、ロンドンが好きな理由の一つなんだ。

おうちに帰る前にスーパーで夜ごはんの買い物をして、暑い暑いとアイスを食べながら家路に着く。



さっきサッカー観戦していたホームメイトは彼氏と遊びに行ったし、アメリカ人のちょっとふくよかな女性のホームメイトともパーティへ出かけた。あとの1人は実家に帰っているらしい。料理を作りながら、2人の地元であるヨークシャーの発音で話してもらった。少し語気が強いから普段よりクールな感じに聞こえる。そのあともお願いしたらいろんな地方や国のアクセントを披露してくれて、どれも本当に上手くて面白かった。わたしは日本語の方言をこんなに使い分けられない!

夜ごはん、サムはベジタリアンだからお肉を使わないごはん。お肉がなくても、ボリューム満点ですごく美味しい。そういえば去年、マドリードで闘牛を見た時お肉をやめようかと思ったことを思い出した。結局そんなことはできず今に至るんだけど。





昼間に外で撮ったポラロイドは、どういうわけか真っ白になってしまった。“we are ghosts!” と書くリアム。



食後には、サムが持っていた、ジブリの『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』のDVDを観た。わたしは小さい頃からジブリが大好きだけど、『千と千尋の神隠し』は怖くて、今まで見たことがなかった。ロンドンで見られるなんて嬉しい。

たまに聞き取った日本語を連呼する2人が可愛かった。





ワインと映画のお供にブリオッシュのデザートまで作ってくれる2人。それだけでなく、この日は本当に暑かったのだけど、何度も冷凍庫に濡らしたタオルを入れては首に当ててくれて、わたしは感動しっぱなしだった。



最後に、この日サムが学校へ行っていた間リアムから教えてもらった、イギリスのロックバンド、Bombay Bicycle Clubの"So long, see you tomorrow"という曲を紹介したい。
明日会えるのに、明日なんてすぐなのに、長く感じてしまうというこの曲名からしてかわいい!
この人たちといると、何をしていても幸せな気持ちでいっぱいになって、「あー今日がロンドンに来てから1番楽しかった!」という気持ちがいつも更新される。1番楽しい日は何日あってもいいよね!


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