Mamma mia! #51

エスプレッソとイタリア人

Contributed by Aco Hirai

Trip / 2021.03.30

イタリアに活動の拠点を移し、フリーのエディター・ライターとして活躍するAco Hiraiさんの生活をパーソナルな視点で綴った連載「Mamma mia!」。すっかり日も長くなって陽気なイタリア人が外でおしゃべりしている姿を目にするようになったイタリア。それとは裏腹に状況は一向に良くならなさそう。今週もそんなイタリアからお届けします。

#51

車のラジオから流れてくるニュース。
イタリアのベネチア近くの街で、おじいちゃんがスーパーのチョコレートを盗んでしまったらしく、警察が呼ばれてスーパーへ駆けつけ、おじいちゃんに事情を聞いたところ、どうしてもそのチョコレートを孫に食べさせてあげたかったけどお金がなかったという。事情を理解した警察官は、おじいちゃんが盗んだというチョコレートの代金を代わりに支払い、おじいちゃんにチョコレートを渡したという。
なんだか朝からほっこりした。

そういうルールや決まりがどうとか、固い頭で考えない臨機応変なイタリア人の人柄ってすごく尊敬する。

さて、イタリア人やイタリアの文化について話したことがなかったので、今日はそんな話を。

イタリアに来てパンデッミックが起こって変わったことはたくさんあるけど、パンデミックに関係なく一番変わったことは、毎日エスプレッソを飲むようになったこと。

中でもお気に入りのメーカーKIMBOのコーヒー。



マルタ島に住んでいた時からイタリア人と遊びに行ってバーのカウンターでエスプレッソを飲むことはよくあったけど、朝からエスプレッソマシーンでエスプレッソを入れることってなかった。でも、今では毎朝淹れる濃厚なエスプレッソの香りと味が癖になってやめられない(笑)。完全に中毒だ。

学校の授業でもコーヒーの種類や文化について議題に上がることも多くて、イタリア人にとってエスプレッソがどれだけ彼らの生活に根付いているか知る機会がたくさんある。

近くに新しくできたバールは、エスプレッソにコーヒー豆のチョコレートが付いてくる。



エスプレッソって言っても
スタンダードなエスプレッソから、
エスプレッソをちょっと薄めたルンゴや
ちょっぴり濃い目のリストレット、
ミルクが入ったカフェマキアートに、
チョコレートが入った甘めのマロッキーニ。
それから、私の中では、バールに溜まっておしゃべりしているお年寄りが飲んでいるイメージ(完全に偏見です)があるコレットなんかがある。
コレットは、エスプレッソにグラッパやブランデーが入ったもので、どんな味か想像できないけど、オーダーしようとも思えないやつ。
私はもちろんスタンダードなエスプレッソが一番好き。

そして、びっくりするのがカプチーノに関する暗黙のルール。
イタリア人は11時以降カプチーノを飲まない。
カプチーノを飲むのは朝の11時までと決まっている。(たまに10時までと言うイタリア人もいる)
だから、ランチ後にイタリア人とカフェに入ってカプチーノなんかオーダーすると
「えっ、この時間にカプチーノを飲むの?」と面白がってからかってくる(笑)。
ミラノはイタリアイチ多国籍な都市なので、店員にまでびっくりされることはないけど、西へ行けば行くほど驚かれる。
それほどコーヒーに対する意識が高いのがイタリア人。

パンデミック前のイタリアの朝食。イタリア人はエスプレッソ、私はカプチーノ。



ちなみに、カウンターで立ったままエスプレッソを飲み干し、立ち去るのがイタリア流。

イタリア人の食へのこだわりの強さにもびっくりすることがたくさんあるのでまた次回お話できたらと。

夕方。気持ちがいい日差し。



春を感じる散歩途中。



うっかり焦がしてしまったルスティコ。



緑に囲まれた気持ちがいい歩道が続くここが最近の散歩コース。



英語と(多分)ギリシャ語。ギリシャ語は読めないので分からないけど。




では、今日はこのへんで。
また来週です。
おやすみなさい。


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