夢を生きるサーフガール

Between the waves #2

夢を生きるサーフガール

Contributed by Miki Takatori

Trip / 2021.09.27

ひとつの場所に留まることが苦手で、さまざまな国を転々と旅してきた高取美樹さん。それぞれの場所で、暮らすように旅を続ける彼女が切り取る、何気なく、そして特別な瞬間。

#2

「Miki!」

海の中から明るい声で名前を呼ばれた。パドルしながら振り返ると鮮やかなピンクのロングボードに乗ったサーフガールがいた。



彼女と会うのはいつも海の中。キャッチアップの時間をわざわざ作らなくても自然と会えるのがバリの良いところ。最近どう? この間の怪我は治った? なんて他愛のない会話をしながらも、お互い良い波が来ると「この波乗ってくる!」と言って全力でパドルするのが私たちの日常。



彼女の名前はBeckie、シンガポールからバリに移住した笑顔がキュートな女の子。 
初めてベッキーと会ったのはクタリーフというサーフスポットでサーフィンした時のこと。
ここに行くにはボートに乗って5分ほど、そのボートで初めて会話したのが始まりだった。



バリに移住し、トロピカルライフを送っている人を見ると「どうやって成功したんだろう? どんなストーリーがあるんだろう?」 とついつい興味津々になってしまう。

ベッキーがバリに移住したのは2年前。初めてバリに来た2014年からサーフィンのためにバリに通い詰め大学卒業後、自分のやりたいように生きるためにバリ移住を決意。

自身でスイムウェア&サーフィンブランド“Haikini”を運営し、ガールズボスとして毎日奮闘している。

「卒業後、オフィスで働きたくないのは自分が一番分かってたしサーフトリップに行ったり自分の好きなことをできる自由が欲しかったの。有給2週間のホリデーだけじゃ全然物足りないわ! サーフィンにぴったりのビキニ、ワイプアウトしてもずれないビキニをずっと探してた。ビキニを作ることは私の天職だと思ってる」

ブランドを立ち上げて4年目、やっと軌道に乗ってきたという彼女だがこれまでに苦労したことも数え切れないほど。



「自分のブランドを持つことの大変な面はお金に関すること。ブランドを立ち上げる時に、
お母さんが2000ドルを貸してくれたんだけど、賄えたのは製作費用だけ。その他のマーケティングだったり、パッケージ、ウェブサイト作成、全ての費用を抑えてどうにか上手く回さないといけなかった。貸してもらった2000ドルを使い切ったら後は自分でどうにかしなきゃいけないって言われたわ。だから自分のブランドをサポートするために他の仕事もした」



優雅にロングボードを乗りこなすベッキー、実は以前ロングボードのシンガポール代表コンペティターとして試合に出場した経験もある。

サーフィンは自分のこと、人生のレッスンをたくさん教えてくれる。

「無理に何かをやろうとせず波がオファーしてくれるものを受け取るだけ。頭の中で考えすぎるのをやめて期待しないこと。そうすると、全てうまくいく。波と流れに乗ってフローしたとき、やっとハングファイブやノーズライドが出来る。だから無理矢理やり通そうとしないで流れに乗って。人生でも全く同じよね」と言うベッキー。

そんな彼女に夢を聞いてみた。
「今まさに夢の中を生きてるわ!5年前は、これが私の夢だったの。バリに住んでサーフィンをして自分のブランドを持ってシンガポール代表になれたらいいなって思ってた。全部叶ったから今は気軽に旅行にいける世界に戻って欲しい。色んな人に影響が出てるし、みんなに幸せに生きてほしいわ」。

サーフィンは人生そのもの、サーフィンがなかったらこんなに幸せな毎日を送ってないと言うベッキー。居心地の良い場所を抜け出して自分の信念に向かって突き進む。そんな彼女と過ごす時間は私にも多くのインスピレーションを与えてくれる。

彼女はまさに夢を生きるサーフガール。




Miki


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