Greenfields I'm in love #50

偏愛家族

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.10.08

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#50

ホームステイ先のホストマザー、カトリンはドイツ人だ。実は、わたしのママも、そのお父さんであるじいじも、ドイツでの学生生活を送っている。何かドイツとは縁があるのかもしれない。わたし自身行ったことはないのだけど。
ベルリンに4年以上住んでいたじいじはわたしが小さな時から、分厚くてカビ臭いアルバムを見せながら、ドイツの話をよくしてくれていた。早く行ってみたい。

じいじのアルバム。

カトリンが住んでいたのは、ママがかつて住んでいたところからほど近い、田舎のあたりにあった。その実家はワイナリー、また親戚にはビューワリーもいるおかげで、ロンドンの家からお酒が絶えることはない。ドイツへ帰る時はいつも車を使って、帰りに車にぎちぎちにお酒を積んで帰るのがお決まりなんだって。わたしのお部屋の隣にあるミュージックルームに、山のようなお酒のストックがあるのだ。よく食卓で話が弾み、とうとうキッチンにあるお酒が切れたとき、ミュージックルームから好きなお酒を取ってきなさいと言われたものだ。

この日はスペインのバスク地方からお客さんが来た日!

このおうちで美味しいのはお酒だけではなかった。
カトリンは料理がほんっっとうに上手で、バラエティに富んでいた。ステイ中、同じものが出てきたことはなかったような気がする。



このパンプキンスープ、本当に美味しかった!

この日はラム。イギリスではラムにミントソースをつける文化がある。

ごはんはもちろん、カトリンはおやつもよく作っていたからおうちはいつもいい香りが漂ってわたしを空腹にした。たまに一緒に作ってレシピを教わった。

“Rote Grütze”というドイツの伝統的なベリーソース。


また、ルームメイトも総入れ替えした。ルイーザはスコットランドへ、インターンを終えたグレイスは母国イタリアへ帰った。入れ替わりに入っていたのが、ファビオ。10個以上歳の離れた彼だったけど、とっても仲良くなった。
彼はグレイスと同じイタリア人。障害を持った子供たちの教育をするボランティアでロンドンへやってきた。
彼との初めての夕食で、何をしてる人なの? と聞いたわたしに、彼はニコニコしながら腕を組むように重ねた。右腕にはHIP 左上にはHOPと書いてある。彼はミュージシャンなのだ!
絵も描くし、陽気で、そして同時にセンシティブで、アーティスト気質の彼。おしゃべりが大好きで、世界一フレンドリーだ。
彼とわたしはいい意味で性格が全然違った。それに、わたしの持論なのだけど、イタリアと日本のカルチャーギャップは他の国より大きい感じがあった。彼との生活で感じる"違い"は絶えなかった。それは嫌な意味ではなく、なんでこうするんだろう、なんでそう考えるんだろうと、わたしの好奇心をくすぐったし、その度に彼とたっくさんおしゃべりし、2人して、その違いを楽しんだ。彼との出会いのおかげで、何かの"違い"に対して今もわたしは嫌悪感もなく、新しい価値観を知って、理解し、また違いの中に共通点を見つけることに大きな喜びや楽しみを感じるようになった。
夕食後もずーっとおしゃべりして、時間を持て余す日もあれば、たまに夜ごはん食べようと呼んでも来ないで、「今日までにやらなきゃやばい」とか言って昨日一人で飲みに出かけた時道で知り合ったアーティストとその場(トンネル)で撮った自分のミュージックビデオの編集に夜な夜な没頭していたり、ファビオはちょっと変わってて、面白い。

また、ホストファザーのウィルは意外な趣味を持っていた。
それは石。ある日夕食中日本の話になり、わたしの地元、神戸が石で有名なことを知っていて、驚いたのが彼の石好きを知ったきっかけ。

石の話がはじまると、彼は奥へ消え、石をたくさん持ってきた。それまで気づかなかったけど、この家、よく見たらあらゆるところに石が置かれている(または転がっている)。

彼の石コレクション。

酔っ払った彼は、その後も何回も奥へ消え、新しい石を手にまた戻って、それらがどれだけすごいものなのか、石への愛を語った。気付いたら何時間にも及んで、気づけば机は石で山盛りになっていた。

わたしもファビオも楽しくて何時間も飽きずに話を聞いた。キラキラした宝石みたいな石だけではなく、そこらへんにありそうな地味な色をした石も、彼に言わせてみればとっても魅力的なものだった。

仕事にするのはなかなか難しくて、石は趣味にしたんだって。

前に住んでいたルイーザたちをはじめ、偶然にも色んな趣味や、知識を持った人が集まったこのお家は、これまで目もつけていなかった色んなものについて、またその愛について知れる最高の場所だった。
こうして、何かに長けていたり、偏愛と言ってもいいほど熱中するものがある人たちに、それについて教えてもらうのは、その人を知り、知らなかった魅了を知れる。わたしにとって最も楽しい時間かもしれない。



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