私はまだ知らない。

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私はまだ知らない。

Photo & Text: 滝澤 聖女

Trip / 2022.01.29

Luke magazine special contents #5
今この時代に、僕たちが「旅」について、思うこと。


海外はもちろん国内さえも自由に移動することが難しくなって、どんどん曖昧になってしまった「旅」という行為の価値。 そんな時代だからこそ、僕たちは「旅」について改めて考えてみたい。旅の経験値の少ない、20 歳前後の若者たち10人が語る「旅」についての自由な考察。

PM5:00。
「いらっしゃいませ、どうぞ」
「ナポリタン、並盛りで」

横浜生まれ。横浜育ち。一軒家に住む5人家族の長女。これといって趣味はない。特技もない。夢もない。私にはいったい、何があるのだろう。

私は、今年でハタチになりました。大人の仲間入りです。年齢的には大人になったけれど、中身はまだまだ子供のまま。たった20年しか生きていない私はまだまだ経験値が低く、知らないことがたくさんあると強く感じています。

今年の3月から、あるショッピングモールのフードコートで接客の仕事をしています。フードコートは、幅広い年齢層のお客様が利用する場所。お店のファンで通ってくれる愛想がいいおば様がいれば、お子様連れで「みんなでシェアして食べたい」というご家族もいるし、本当に食べることだけを目的として来店するサラリーマンもいらっしゃいます。私はお客様の求めていることを瞬時に察し、いつでもお客様ファーストの接客ができるように心がけています。接客業務を通して、自分には洞察力と、臨機応変な対応力があることに気づきました。

高校時代は接客をすることが怖くて、ファミレスでキッチン業務をしていました。ハタチになってから、自分の長所だけでなく、接客の楽しさや「人と関わる仕事が好きだ」ということに気づきました。コロナ禍でアルバイトがなかなか見つからず、「飲食店なら経験があるから」という理由で応募した仕事ですが、理由はどうであれ、勇気を持って一歩を踏み出すことで、新しい自分を開拓できたのだと思っています。

そんな風に、自分の可能性を見つけるために新たな世界へと一歩を踏み出す<自分探し>という行為も、ひとつの「旅」といえるのではないでしょうか。

そう、私は小さな旅に出たのです。

人生は旅の連続です。これから死ぬまでにいったい何回、旅に出るのでしょう。その度に経験値が上がり、段々と「自分」というものがハッキリと見えてくるのだと思うと、これからの旅がとても楽しみになります。「次はどんな旅に出ようか」って。

きっと旅に正しい答えなんてなくて、失敗も成功も両方あっていいと思うんです。人生に正解がないように、旅にも正解がない。私は何歳になっても冒険心を失うことなく、まだ知らない「私なりの答え」を探しに、人生という名の大きな旅を楽しみ続けたいと思っています。

文化服装学院からの景色。


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