日常とは違うもの

Different life

日常とは違うもの

Photo & Text: 中山 恵美

Trip / 2022.01.29

Luke magazine special contents #4
今この時代に、僕たちが「旅」について、思うこと。


海外はもちろん国内さえも自由に移動することが難しくなって、どんどん曖昧になってしまった「旅」という行為の価値。 そんな時代だからこそ、僕たちは「旅」について改めて考えてみたい。旅の経験値の少ない、20 歳前後の若者たち10人が語る「旅」についての自由な考察。

私にとって旅はとても重要なもので、それはこの先もずっと変わらないと思う。

「旅」とだけ聞くと何か深いもののように聞こえるが、私が思うのはなんの変哲もない「旅行」である。それでも、「人生における必要なことリスト」なんてものがもしあったら、そこには必ず入れたいくらいには重要で大切なものだ。「旅と旅行の違い」を調べてみると細かいニュアンスが異なるようだが、ここでは旅行も立派な旅だという考えで進めていこうようと思う。

日常の生活は、どうしても毎日同じようなことの繰り返しになりがちだ。特に今は当たり前に生活できているこの状況が実は一番の幸せなんて思ってしまうし、そう思わないといけないのかもしれない。しかし、どうしても退屈に思えてしまう瞬間があって、違う何かが欲しくなる。私にとってそんな想いを叶えてくれるのが旅行なのだ。

普段見ない景色と違う空気感、さらに、その土地の美味しいものを食べられたらもっと最高だ。いつもと違う布団に入れば眠りにつくその瞬間まで幸せで、常に頭の中にあった考え事だって、この時だけはどこかに消え去っていく。普段の生活とは違うものを感じられるのだ。同じ時間の流れのはずなのに、自分の五感がすべて新鮮なものに変わったような気がして最高に気分が良い。しかも、帰ってきた後はなぜか今までよりもポジティブで少しだけ頑張れそうな気がするのだ。

それなのに、頻繁に旅行に行きたいかと聞かれると、「そうではないんだよな」なんて思ってしまう。贅沢な悩みだ。当たり前が積み重なった時に非日常的な行為が欲しいのであって、これが高い頻度になってしまうと何かが違うのだ。頭の中がそろそろパンクしそうだなって時に旅行に出られるのが理想である。要するに、旅行は私の一番のリフレッシュ方法なのだ。

実際、私の思う旅は観光・慰安目的である「旅行」に分類されるのだと思う。しかし、新たな経験を積むことができるのが「旅」の定義のひとつならば、違うものを見て違うものに触れる、その新鮮なものを得られる非日常を経験できる旅行だって立派な旅なのではないだろうか。

様々なことが起こり、多くの情報が耳にはいるようになった今、私たちは常に何かを考えている。だからこそ可能な範囲、可能な方法でかまわないから少しだけ普段の日常から離れてみることは私たちにとってとても大切なことなのではないだろうか。決して遠い場所ではなくても。



京都にある貴船神社の七夕飾り。


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