旅と五感の関係

Five senses

旅と五感の関係

Photo & Text: 三枝 美祝

Trip / 2022.01.29

Luke magazine special contents #8
今この時代に、僕たちが「旅」について、思うこと。


海外はもちろん国内さえも自由に移動することが難しくなって、どんどん曖昧になってしまった「旅」という行為の価値。 そんな時代だからこそ、僕たちは「旅」について改めて考えてみたい。旅の経験値の少ない、20 歳前後の若者たち10人が語る「旅」についての自由な考察。

「旅に出る時、何を楽しみに行く?」って聞かれたら。
観光地、グルメ、お土産…。きっと多くの人がそう答えると思います。もちろん私も旅行先の観光地やグルメ情報などを事前に調べますし、楽しみにしています。でも観光する他に、実はもうひとつ楽しみにしていることがあって、それは…。

「空!!」
「えっ?」ってなる人いますよね。

「いや、空は空。どこに行ったって一緒だよ!」って思うかもしれないですが、あらためて目を向けてみると、空って場所によって全然印象が違くて、とにかく魅力的なんです! そう、私の旅先での楽しみというのは「空を五感で感じること」なのです。

新宿の空

ビルがいっぱいで空をぜんぶ見渡すことができない。人の声や車の音が大きくて、夜もビルの明かりがあるから真っ暗にならないし、星は見えない。
でも! これはこれで好きなんです。
いつ見ても明かりがあるし、音も常に忙しくて、空気はきれいじゃないけど、ビルが空を邪魔している感じも、全部好きです。「人間らしさ」を感じられるというか...。

おばあちゃんの家から見える空

視界いっぱいに空が広がり、遮るものが何もない。朝は澄んだ空気、昼は雲と太陽、夜は星空。都会では味わえない空だと思いませんか?
街で見るよりずっと空を大きく感じられるし、とにかく空って広い!! 空もきれい、空気もきれいで、全身全霊で自然を感じられます。

フィリピンの空

撮影時刻は18時。
日本より明るくて、目一杯に広がるピンクと青のグラデーション。今はなかなか行くことのできない海外の空って、同じ空なのになぜだか全然違うように感じるんです。「空」も「匂い」も「音」も国によって全部違います。旅も空も、つまりは五感すべてが刺激されるものだと思うんです。

「旅の本当の価値って何だろう...?」
今回、旅の意味、価値について改めて考え直してみました。考えると難しいけれど、正解はなくて、「自分の五感そのものが感じたこと」が、旅の価値なんじゃないかなって思うんです。私は旅に出る時は「五感」で空を感じるのが好きです。そして、いつでも思い出せるようにその空を写真に収めます。それが私にとっての旅の本当の価値だと思います。

今はコロナウイルスの影響で国内さえも移動が難しい状況。五感を刺激する新しい空に出会うのは当分難しそうですね...。でも、普段見慣れている空も、改めて見てみたら全然違って感じるかもしれない! そう思ったらいつも見ている空を、じっくり見てみたくなってきた!

また自由に旅ができるようになるその日まで、旅先の空をより楽しめるように、「日常の空」をたくさん感じてみようと思います。


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