NYC2日目

About Time #16

NYC2日目

Contributed by Sho Mitsui

Trip / 2021.11.29

1年9ヶ月ぶりにアメリカに旅立った通訳・翻訳家&カルチャーコーディネーター兼英語教師の三井翔さん。著名人からアップカマーまで、アメリカ国内に謎のネットワークを持つ彼にしか見えない、コロナ禍以降のアメリカの「リアル」を毎週お届け。

#16

飛行機乗り過ごしのせいで、NYCを1日無駄にしてしまった。効率良く、機敏に動かないと!



まず、向かうは"cafe Integral"。正直、NYC最強のコーヒー屋さんだと思っている。
ニカラグア出身の親子がニカラグアのコーヒーに特化したカフェをやっているのだから、そもそも間違い無いのだ。ここでは以前、妹も個展を開いており、アートにも造詣が深い。
ここで、アダマリ(新進気鋭の美濃焼伝道師アダチ・マリ)のコーヒーカップやドリッパーをフィーチャーした個展をやったら絶対ウケると思った。



運良く(こんな事、滅多にない!)オーナーのHelviaとまさか息子ちゃんもいるとは! Helviaにマリちゃんのコーヒードリッパーを見せたら、めちゃくちゃ気に入って「まあ!素晴らしいわ!是非、個展を開いて頂戴!」とノリノリだ。
マリちゃん、NYC個展決まりましたよー!



元Supremeのクリエイティブ・ディレクターで現在は自身のブランドAwakeを手掛けるAngelo Baqueをはじめ多くの文化人、著名人が通う"cafe Integral"。お薦めだ。



カフェの真向かいには、安藤忠雄がデザインしたアパートがある。初めてIntegralに行った時はカフェもちょうど開いたばかりで、このアパートも目下建設中だった。
「安藤忠雄がアパートを設計したのはこれが初めてなの!アパートが完成したらきっとそこの居住者がお客様として来てくれると思うから、楽しみだわ!」と、当時Helviaが興奮気味に話していたのを思い出す。カフェは毎朝、人でいっぱいだ。全てはHelviaの予想通り!

さあ、急いでブルックリンに向かう。バンドやアーティストの物販関係の仕事のベテランであり、無類のジブリマニアである友達、Ryan Wapnerに会うためだ。



僕がアメリカにいる事をインスタで知って声をかけてくれた。こういう、呼びかけは本当に嬉しい。会いたいって思ってくれる友達とは僕だって会いたい。
Ryanお薦めの"Sey Cafe"で待ち合わせ。



何でも、彼女がこの辺りに住んでいるという事でよく訪れるんだとか。カフェ内は満席で人気の様子が伺える。さっきコーヒーを飲んだばかりだったが、また飲む。

「朝ご飯ゲットしに行こうぜ!」と、これまたRyanお気に入りのベーカリーへ。
彼はウィリアムズバーグのエキスパートっぽい。お薦めを次から次へと繰り出してくれる。



辿り着いたのは"Win Son Bakery"。ご飯はピザを食べたかったので、ペイストリーを食べるのはやめておき、キャラメルチョコチップクッキーをゲット。
巨大で、まるでご飯だw



お分かりいただけるだろうか? デカい。
こんなの食べたらお腹いっぱいになって、ピザ食べられないよwww



ベーカリーのレジの子のベストと髪の色のコンボが素敵だったので載せておく。
ウィリアムズバーグはやっぱりヒップでオシャレだ。感度の高い人達が集まっている。

さあ! ランチはウィリアムズバーグが誇るピザの名店"Roberta's"へ!!! このピザ屋は僕も大好きで、ニューヨークに来たら必ず足を運ぶ。
「Cliffも来るって言ってるから待とう!」と、Ryan。そう、Cliffも僕に「ニューヨークで会おうぜ!」と連絡をくれた。
Cliffはニューヨークのライブを専門にバンドやアーティストの物販を手掛けており、その界隈ではNYCの王と称されているそうだw 強い。
Cliffは世界中の不思議なロケーションで写真を撮るのが大好きで、映像監督のBrendanと日本に3週間位滞在して、物凄い写真を撮りまくっていた。彼等とは岐阜の養老天命反転地、金沢の21世紀美術館、京都の伏見稲荷神社、嵐山、そして今は亡き奈良のドリームランド跡の廃墟で僕のバンドのMVも撮影した。良い思い出だ。
因みに上記の日本各地はどれも彼等と初めて行った場所ばかり。海外からの旅行者から日本の事を学ぶ場面も良くある。



てな感じでCliffとの思い出を頭の中で思い巡らせていたら、Cliff登場!
ピザの名店Roberta'sは外観もグラフィティーだらけで、日本でいう所の外観がちょっと汚くて怪しげなラーメン屋的な。ラーメン屋もピザ屋も綺麗過ぎるよりはこれ位がちょうど良かったりする。



マルゲリータを注文。マルゲリータは醤油ラーメン的なノリだと思っている。マルゲリータがその店のスタンダード。因みに僕の中で塩ラーメンはマリナーラだ。マリナーラが美味い店のピザはどれでも美味い。が、僕はチーズが大好きなので、結局マルゲリータを選ぶ。Roberta'sのマルゲリータは最強だ。マジで美味い。ソースとチーズの塩梅がちょうど良く、焼かれたバジルの香りが後追いして来る。たまらない。

あんなに大きなクッキーを食べたのに、ペロっと1枚平らげてしまったw

僕はピザ屋のマーチを買うのが好きだ。美味しいピザ屋のマーチは下手したらSupremeのTシャツとかより欲しかったりする。日本では大体手に入らないから。

マーチブースへ行くと、

「ごめんな。マーチはコロナ以降オンラインでしか売ってないんだ」

と店員さん。マジかよー... Roberta'sのマーチはバラエティに富んでいてカッコいいんだが...

すると、さっき対応してくれた店員が外に出て来て、

「なあ、君ひょっとしてRyan Scott Grahamの友達じゃない?」



ええ?!

Ryanのこと知ってるの??? っていうか、何で偶然?!

「インスタで君の事見た気がしたんだよ!声かけて良かったw 買ってきなよ!俺はストアマネージャーなんだ!」

うわーーーやば過ぎる! Roberta'sのストアマネージャーと友達になってしまった!!!!



オフィスに連れて行ってくれて、マーチを買わせてくれた! ありがとうTrent!
オンラインではもう売り切れている、Roberta's特製の料理本とポケteeをゲット!

「また来なよ!ピザご馳走するからさ!」

マジか! 絶対戻ってくる!!! と思ったが、今回の旅ではRoberta'sに戻れなかった...

テキーラショットまで振る舞ってもらい、僕はPojoとの待ち合わせに遅れぬようダッシュで向かう!



Pojoはアメリカ人の中でもかなり珍しい、時間にめっちゃ正確な子。コーディネートも素敵。さすが、インフルエンサー。初めて会ったのだが、妹の仲介という事もあり直ぐに打ち解け、妹からの預かり物を渡し、Pojoからも妹からの頼まれ物を受け取った。

「折角だから、カフェでも行く?」

となり、Pojoがお薦めのヴィーガンドーナッツ屋さんに!



「ここのドーナッツはどれもすごく美味しいの!好きなの一つずつ選んで、分けましょ!」

パンプキンをPojoが、クッキーアンドクリームを僕が選ぶ。ヴィーガン系のスイーツは大抵好きじゃない。まず、甘くない。「スイーツじゃないじゃん!」って思うことが多い。が、ここのは普通に美味しかった。流石Pojo。知っている。

Pojoは多様なSNSを駆使し、ネット上で活躍しているクリエイティブだ。面白いし、もっと彼女の事を知りたくなったので、インタビューをする事にした。なので、Pojoの特別編もお楽しみに!

「カオル(僕の妹)にもギフトを買いたいわ!」とPojo。



「このクロワッサンのランプが良いんじゃ無いかしら?面白くない?向こうの食パンのも気になるけど」

確かに、可愛いし面白い。妹はフードスタイリストなので喜びそうだ。分かってるねーPojo。

「レストラン、クラブ、バーとかでお薦め知りたかったら何でも聞いてね!」

いや、Pojoに聞けば間違いない場所を教えてくれそうだ! そう確信しつつ、ここでお別れ。
さて、次に向かうは友達のKumasiがやっている"Good Company!"なのだが、ここでKumasiから、

「俺、今LAにいるんだよね」との連絡が。えー。超残念...
Good Co.はNYC最高のチルスポットだと思っている。何もする事がない日とか、ただKumasiと話しをしにお店行ったりすることも良くあった。すごく居心地が良いのだ。
アメリカ国内外のポップアップもよく開催していて、最近ではSage Elsesserが店前でライブしつつ、隣のWilliamsburg Pizzaがケータリングするブロックパーティーが盛り上がっていた。CarrotsやVerdy君、minnano等も過去にここでポップアップを行なっている。

とりあえず足を運ぶ。やっぱり好きだなここの雰囲気。



置いてある服は自身のレーベルGood Co.からKumasiのプライベートレーベルFull-Court Pressをはじめ、ストアが厳選したブランドばかり。
zineも豊富だし、店内に飾ってあるアート作品もEric Elms, Cali Thornhii Dewitt, Peter Sutherland等、センスの良さが見て取れる。

日本にも同じ様な品揃えの店は増えて来ていて、"ここでしか見られないもの"というのは正直少ない。ことアパレルに関してはそうだ。ここのものはアメリカの方が安いし、日本のものはあっちの方が安い。

だからこそ、大事なのは空気感とか雰囲気とか体験、経験だと思う。Good Companyのtシャツは日本でも全然買えるけど、このストアで買うからこそ思い出に深く刻まれずっと捨てられずに着ちゃったりするのだ。

さて、移動だ。



ここは面白いカフェだった。"paint n' pour"というバー? カフェ? で、キャンバスに絵の具で絵を描きながら飲める良い感じの場所。人もパンパンで楽しそうだった。行けば良かったな...

更に進むと...



Procellだ。ProcellはNYCが誇るブティックビンテージストア。古着ブームの現在、感度が高く、他とは一線を画したいオシャレさんはここで買い物をするんじゃないかな?
値段もとにかく、プレミアム。だけど、こういうビンテージストアもいまや日本にごまんとある。アメリカものはアメリカのビンテージストアで買うのが気分だ。Supremeもリファレンスの為にアイテムをここで沢山買うそうだ。

遊戯王のtシャツが大切そうに飾られてる辺り、何に価値を見出すかって本当にそのストアによって異なる。だから、古着屋に大金を出す時はそのストアのバイイングセンスにお金を出しているわけだ。奥深い。けど、僕は高い古着屋はあんまり好きじゃない。だったら、新品をずっと使い続け、自分でビンテージにしたいタイプだ。でも、やっぱり旅は経験、体験。Procellでも買い物をしてしまったw



お次はSupremeのバワリー店!!! ラファイエットから移ってから初めて訪れる!!! めっちゃ興奮! ここもRoberta'sみたいでタグだらけ! カッコいい!
商品はLA店と大して変わらないだろうが、元教え子から探し物を頼まれたので(元先生に頼み事をしちゃう辺り、大胆で嫌いじゃないw)並んで店内に入る。



店内のMark Gonzalesのスカルプチャーは各Supremeの名物だったりするけど、ここのは渋谷店同様スフィンクスっぽいが、ピースサインが愛くるしい。
残念ながら、探し物はここには売ってなかった。冷静に考えると、アメリカの方が全然安いから、もっとドカ買いしてくれば良かったわSupreme。

さて! 次の店が大本命中の本命! 10月17日にオープンしたばかりのFucking Awesome NYC店!
今回Jason Dillにはどうしてもインタビューしたくて、ドキドキしながらLA店のドアを叩いたが、「DillはNYCにいるよ」と言われてからというもの、来る事を心待ちにしていた。



LAとはまた違った外観も、どこかDillを感じられる雰囲気。

ボードのインスタレーションとDillのコラージュはLAストアとも通ずる。すごくクリーンでいい感じだ。



商品の在庫はNYC店の方が豊富だった。スタッフもみんな良い奴ら。ストアteeを黒白両方購入して、本題を切り出す。

「日本のContainerっていうオンラインマガジンのライターなんだけど、DillにこのNYC店と彼のアートについて取材したいんだ」

「Oh〜!!! Dillならつい先日LAに帰っちゃったよー」

まじかーーーーーー! 残念過ぎる! 何という行き違い! 前回はLAでたまたま2回も会えて、取材もガッツリ出来たのに!(ちなみにそのインタビューはコロナのせいで使われなかった...)

まあ、仕方ない! 今回は縁が無かった! 日本に来て欲しい!(正直、FAストアが日本にできる日は近いと思ってる)

さあ、先を急ごう!



Dillへのインタビューが実現しなかったので、完全に本日のメインイベントとなったNeal Brennanのワンマン、スタンダップコメディーショウ。Nealと知り合ったのは確か2017年。Twitter上で友達に紹介されて、NealからDMが来た。

「初めて日本に行くんだけど、案内してくれるか?」

ブルーチェックがアカウントに付いていたから有名人なのは容易に想像出来た。プロのコメディアンと会うのは彼が初めてで、Nealと知り合って初めてDave Chapelleという現存する最高のコメディアンを知ったし、Chappelle's Showの存在も知った。彼がいなければ、きっと僕がNetflixに加入する事は無かったし、こんなにスタンダップコメディーにのめり込む事は無かっただろう。

Neal Brennanは現在NYCで3ヶ月連続のワンマン公演を行っている。新しいNetflixスペシャルを収録すべく、NYCで繰り返しライブを重ねて、いよいよ本番はLAで撮影するそうだ。



ライティングがカッコいい。このパープルっぽい照明の中パフォーマンスをし、終始バンバン笑いを取っていた。Neal Brennanは白人コメディアンにも関わらず、黒人のオーディエンスを集める事が出来る数少ないパフォーマー。それもこれも、彼がアフリカンアメリカンコミュニティーを大切にし、Daveと共に"Half Baked"というカルト映画と"Chapelle's Show"という伝説的なお笑い番組を創り上げたからだ。



NealはYaecaのシャツが大好きで、彼に会う時は必ずYaecaのシャツを差し入れる事にしている。
シャツに付いているサイドポケットがとにかく好きらしく、

「シャツにサイドポケットがついてるなんて、信じられない!日本は天才だ!」

って以前言ってたw

なので、そのYaecaのシャツを渡したく、連絡したら出て来てくれたのでパシャリ!

一人旅はなかなか友達とのツーショットが撮れない。だからこういう写真はとても貴重だ。
ファンや知り合いが他にも外で待っていたので、あまりお邪魔したら悪いかなーと、帰ろうとすると

「しばらくNYCにいるなら連絡しろよ!」

とNeal。

お。じゃあ取材するかー! Nealのソロインタビューもお楽しみに!

帰るとなったらお腹が減った。シアターからは歩ける距離だったので、ついでに「あそこ」に寄ろう!



僕がNYCで1番、1番、いっちばーーーーん大好きなピザ屋"Prince St. Pizza"だ。
去年? なんだかオーナー親子がアジア人が書いたYELPのレビューかなんかに差別的な返答をしたとかで炎上して、Ryanから

「Shoもうプリンスで食べれないじゃんw」

みたいにからかわれた事があったが、アジア人の自分からすると確かに笑い事じゃないし、人種差別に対しては断固反対だ。

だか、美味しいピザに罪は無いし、オーナー親子がピザを作っている訳ではないし、そもそも彼等はもうオーナー職を退いている。

食べたって良いだろう...



もうアメリカではこの風景が定番。小さい店では店内飲食を一切禁止にして、外に簡易テーブルを設け、人々はそこで食事をするのだ。
ご覧いただきたい。夜11時を過ぎていたが、行列も絶えず大盛況ぶり。日本でいう所の行列の出来るラーメン屋的な存在。



ここで食べるべきはこのSpring Spicy aka Pepperoni Square!!!!
この小さくて分厚いペパロニと油の甘み、Fra diavoloソースの辛味、そしてグニングニンのモッツァレラチーズ。最強過ぎる。美味し過ぎる。明日死ぬとしたら食べたいピザ。これ。日本ではぜーーーーーったい食べられない味だ。最低あと一回は食べたい。


お腹も一杯になったところでairbnbに到着。濃厚なNYC2日目はあっという間に過ぎていった。


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