NYC最終日。そして帰国

About Time #20

NYC最終日。そして帰国

Contributed by Sho Mitsui

Trip / 2021.12.03

1年9ヶ月ぶりにアメリカに旅立った通訳・翻訳家&カルチャーコーディネーター兼英語教師の三井翔さん。著名人からアップカマーまで、アメリカ国内に謎のネットワークを持つ彼にしか見えない、コロナ禍以降のアメリカの「リアル」を毎週お届け。

#20

帰りのフライトは2:30pm JFK発。僕のairbnbがあるLES(Lower East Side)からJFK空港まではUBERで40分かそこらだが、前日にVannaから

「ニューヨークの交通事情は曜日と時間帯によって劇的に変わるから、十分に余裕を持って出た方が良いわ」

と言われた僕は10時過ぎにUBERを呼ぶ事にした。
ありがたい事に朝7:00〜オンライン英語レッスンが入っていたので、LAかNYCに飛んだ時の様に寝過ごすことも無く、清々しい朝だ。
最後の朝もやっぱりスタートはここ。



もちろんintegral! 今日はカプチーノに加え、朝ご飯にパン・オ・ショコラをチョイス。
いつもなら、テイクアウトで歩きながらせかせかと飲み食べしていたが(マンハッタンの朝は食べ歩きのオンパレードなので許して欲しいw)、今日は店内でゆっくりといただくことにした。
折角の最終日だし楽しまないと。残念ながら、Helviaも息子ちゃんにも会えなかったが、逆に初日に2人ともに会えたのは奇跡だったな。

airbnbに戻り忘れ物が無いか今一度確認する。妹からの「頼まれ」ものとお土産、更に自分で購入したもの、いただきもの全て含めたら来た時の倍位に荷物が膨れ上がっていた。結局、こちらで大サイズのスーツケースを昨日買ったばかりだ。初のダブルスーツケーストラベル。僕のairbnbの部屋は2階なので1回で荷物を運び出すのは不可能だ。

仕事柄、服を気前良く色々なブランドから貰う時もあれば、不思議と一着も頂かないこともある。貰う時は「服持って来なきゃ良かった」と思うし、それに学んで服を2着位しか持って行かない時に限って、逆にほとんど貰えなくて苦労したりもするw

なので、今回は一週間分の服を持って行き、それを2周着まわそうと考えていたのだが、正直こんなに服を持ってくる必要無かったな...
でもこればかりはその時々だから読みようがない。



airbnbの前でUBERを待っていたら、目の前に伝説的なグラフィティーアーティストMQのステッカーが貼られ狂ったポールを発見。こんなに目の前にあったのに今日になってやっと気づいた。そういえばairbnbのエントランスにも2枚ほどMQのステッカーが貼ってあったな。こういうわけだったのか。

MQのタグはどこかキュートで大好きだ。日本のストリートでも度々見かけることがある。

交通渋滞等は特に無く、割とすんなり空港に到着。コロナの事もあり、チェックインまで時間がかかるかな? と思いきや、やはり国際線で飛ぶ人は少ない様でこれまたすんなり、手続きが済んでしまった。



空港内には大きなクリスマスツリーが設置されていて、すっかりホリデームードが漂う。
売店でなんて事ないパニーニとコーヒーをゲットし、溜まり始めた仕事に取り掛かる。この待ち時間を潰すには打って付けだ。



しかし、繰り返しになるが、本当にあっという間の旅だった。旅立つ前は15日間のプランを立てる事すら大仕事のように思え、「なかなか長い出張だな」なんてセンチメントに浸ったりもしてみたが、振り返ってみると出来なかった事や、会えなかった人、やれば良かった事などいくらでも出てくる。でも、だからと言って、もっとアメリカに居れば良かったのか? と自問すると、答えは「否」だ。
前回も書いたと思うが、「もう少し居たかったなー」というタイミングで旅先を離れるのが、良い旅の思い出を作るカギだったりするのだ。

さて僕はコロナ禍中、仕事とはいえアメリカに旅立たせて貰ったラッキーな人間のうちの1人だ。アメリカの連中はもう日本に来たくて仕方がない様子だった。
日本語学校に入学し、学生ビザで日本に滞在しようと企てている連中すらいた。

そんな中、幸運にもアメリカのLAとNYCで合計15日間過ごして1番苦労したのが、マスクを着けるタイミングだった。日本での生活は言うまでもなく、外出時は常にマスク。カフェ、レストラン内でも飲食時以外、会話を楽しむ時は基本的にマスクを着けるのは皆様ご存知の通り。食べ物がまだ残っていても、お喋りに興じていると、「お客さま、お話の際はマスクのご着用を...」と指導されることもしばしば。

一方アメリカはLA、NYCで違いはあれど1番大切なのは「場の空気を読む事」だった。

今年アメリカで勃発したAsian hateの事もあり、マスクを外して歩いたり、店内にいると

「おい!Asianがマスク無しで何やってんだ!」

みたいなことを言われたら堪らないと思い、当初マスクは着けっぱなしにしておくのが安全策であろう、と考えていた。

ところが、LAのストリートではマスクを着けてない人々も沢山いる。店の中では同然マスクはマストなのだが、食事になったら最後、食べ終わってもマスクは外しっぱなし。

NYCだと、街中でマスクを着けながら歩いている人が多かったし、地下鉄はほぼみんなマスク、店内だって当然ずっとマスクだ(ご飯の時は割とフリーにマスクを外していたが)。

ただ、イベントでのマスク着用率はかなり低かった。それはマリちゃんのポップアップにしろComplex ConにしろNeck Deepのライブにしろ変わらなかった。

"ワクチン接種済みだし、検査は陰性だし。何故マスクを着ける必要がある?"

非常にアメリカ的だ。

僕は結構臆病だったりするから、コロナをもらって帰国出来なくなるくらいだったらずっとマスクを着けていたい派なのだが、友達といると

「どうした?Shoマスク外しなよ」

って言われるシーンが多々あった。これには2つの可能性があって

「Shoお前俺がコロナ持ってると思ってるのか?」

って思われてるパターンと

「Shoお前コロナ実は持ってきてるわけ?さっきからずっとマスクしてるけど」

と思われているパターンだ。

どちらにしろギスギスしてしまう。そう。アメリカでは近しい仲間同士で会う時はほぼ誰もマスクをしていなかった。

こんな調子なので、場面によりマスクのon/offのタイミングに何より気を遣った。

もう一つ気を遣ったのは、ハグだ。

アメリカでは親しい仲はとりあえず、ハイファイブからのブローハグだ。

でも僕はAsian。しかも日本から来たばかり。どうすれば良いのか正直戸惑った。

ハイファイブも断ったら気まず過ぎるし、かといってこちらからハイファイブしにいって、手をすっと引かれたら悲しいし、物凄い罪悪感にかられる。

なので、友達と最初に会う時はいつも彼らの「手」に注目していた。彼らの手の動きがハイファイブのモーションに入った瞬間、僕もハイファイブを繰り出す。
初めて会う人達にはもう、一律フィストバンプをする事にした。そうすれば間違いない。その場で打ち解けられれば、さよならする頃にはハイファイブからのブローハグをするに決まってる。
最初は慎重にいこう。格闘家ばりの神経の研ぎ澄まし加減だ。逐一、会う人々の手のモーションを確認していた。

ハイファイブの次に問題なのが、先程も述べたとおり、ハグだ。ハイファイブの後にハグをするかどうかも、念入りに相手の手のモーションを観察する必要がある。

ハイファイブを交わした後、そのまま彼らの手が僕の体の方にスライドして来たと知覚したその瞬間、僕も彼らを抱きしめに入るのだ。

これからハッピーな会話を送れるかは、この0.0数秒の出来事がカギと言っても過言ではない。

この辺りのフィジカルな挨拶にはとても気を遣ったわけです。

というのも、日本在住の海外の方を紹介された時に握手を拒否された経験があるから。あの、こちらから手を差し伸べているのに、すっと手をしまわれる瞬間、如何ともし難い胸の痛みに苛まれ、以来コロナ禍以降のハンドシェイク、ハイファイブ、ハグ事情には細心の注意を払っていた。

アメリカでは顔見知りの友達は友達。マスクもいらないしフィジカルコンタクトだってなんのその。

だから、コロナが日本よりも蔓延しちゃっているのかもしれないけれど、メンタル的にはすごい幸福感で満たされていたなぁ〜

...なんて事を飛行機の中、中央の4席を独占し行きの飛行機以上に贅沢なエコノミーファーストクラス状態で考えていたら、いつの間にか羽田に着いていた。



お陰で機内で片付けようと思っていた翻訳の大仕事は隔離中に自宅でやるハメになりそうだorz

Thank you LA.

Thank you NYC.

You were both very, very good to me.

It was, indeed, ABOUT TIME!



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