To Me, Somewhere in the World #4
耳の記憶と愛と感謝
Contributed by Yoko
Trip / 2021.12.08
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。
#4
私は耳がきこえる。
そして音楽が好きだし、ずっと関わりがあった。
だから、思い出に音楽が連動する時がある。
感慨深い旅立ちの日も、帰る日も、何でもない日も、ここにいた。新千歳。
思い出すのは、
中3の卒業式で在校生が歌ってくれた時に初めて聴いて、本当にもう2度と戻れない学生生活を実感してみんなで号泣した、
レミオロメンの「3月9日」。
国内線だけれど久しぶりに国際線を思わせる仕様で、思わず写真を撮ってみた。
初めての海外、期待もあったけれど不安もあったオーストラリアで、ホームステイ先の最寄り駅から家までの本当に幅が広くて真っ直ぐな道で、エンドレスで聴いていた、
Superflyの「愛と感謝」。
オーストラリアで歩いていた、駅から家までの道。
学生時代、信じられないくらい辛いことがあった友人(おおよそ恋愛)と過ごした夜や、自分自身のそんな日(左に同じ)を思い出す、
竹内まりやの「元気を出して」。
コロナ後に本格デビューした運転、道東ドライブではいつもかけていて、“これからどうしよう?とりあえず楽しもう”のエンドレス思考をリピートして一人センチメンタル、
いきものがかりの「笑顔」。
葉山から長野へ引っ越すきっかけをくれた人がカラオケで歌っていて、うますぎて感動してそれから長野のまちを歩く時はずっと聴いている、
優里の「ドライフラワー」「かくれんぼ」(+最近は「ベテルギウス」)。
その他、たくさんのテレビドラマの主題歌やサントラを耳にすると、見ていた当時の思い出がよみがえる。学生生活、恋愛、家族のこと。旅したことも、もちろん。
機内から。たまに座る窓際。
音楽を耳にするだけで、特定のシーンが想像できたり、その時自分が何を考えていたかを思い出せたりする、そのトリップに時々感動する。
過去を振り返ってばかりの人間にはなりたくないけれど、そうやって時々思い出を振り返るのも悪くないと思ってる。センチメンタル野郎な気もするけれど。
旅のことを時々振り返るように、日々を振り返ることも悪くないと。
ホームステイ先の部屋。懐かしい。
海外に行きたいと思いながらも、二の足を踏んでしまう今。
「愛と感謝」を聴くと、オーストラリアの何もかも新しい景色や、初めての海外で奮闘した日々を思い出す。
Flinders Street(駅)の近くで行われていたフェスティバル。
語学学校で思った以上に話せなくてもどかしかったこと。
全然話せなかった英語が、ひとまず抵抗なしに話せるようになったこと。
シェアメイトとバーベキューをしたこと。
シェアハウスでバーベキュー&ホームパーティー。
絶対無理だと思っていたけれど、レストランのホールで接客するチャンスを活かせて、チップもいただいたこと。
滞在中に何度か経験した別れで、時に号泣したこと。
「愛と感謝」を一緒にアカペラで歌った、遠く離れた日本にいる友達のことを想って、もらった寄せ書きを見ながら、“頑張ろう”と思っていたこと。
メルボルン。ユーレカ側(エリア名忘れた)から。
音楽に連動して思い出す、そこで出会った人たちとの思い出、暮らしの記憶。
10年経ってしまった記憶の中にも、確かにあるもの。
“愛と感謝に生きよう”
“大切なものは忘れがちだけれど”
ーーSuperfly「愛と感謝」
カフェ天国メルボルン。マックスブレナーで友人と。
そんなことを考えながら筆が進まずにいた時、数年ぶりに中学の同級生と再会することに。
一緒に長野を旅した帰りに突然、彼女がある花を見て、母校の歌をワンフレーズ歌う。その記憶力に驚き思わず笑いつつ、でも自然と一緒に歌っていた。
歌いながら、少しだけ学生時代のことを思い出す。そして気づく。音の記憶は共有できることもあることに。
旅の終わりに一緒に笑って、やっぱりこの話をしようと思った。
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Yoko
長野在住、北海道出身。世界一周予定が新型コロナウイルスの影響で中止に。東京から葉山、長野へと拠点を移しつつ、国内外を自由に旅している。レバンガ北海道(#11)とアイスが好き。フリーランスのWebライター・編集者。