中間地点へ旅をする

To Me, Somewhere in the World #5

中間地点へ旅をする

Contributed by Yoko

Trip / 2021.12.15

「世界一周がしたくて、思い切って会社をやめた」
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#5

つまらない日常に一石を投じたい、とよく思う。
だから今日は朝から電車に乗った。

目的地は中間地点。
私にとっては、真鶴(まなづる)だ。

葉山の日常。この先は海。

違う旅先で同じものを見かけると嬉しくなるのはなぜだろう。
地元のお気に入りのお店にあった本が、何百キロと離れた場所にも確かにあるという、日常の中の非日常。

三浦(神奈川)で見た本が釧路(北海道)にもあった時。
釧路(北海道)の本が長野にもあった時。
今いる場所で遠くで見たはずのものを見つけた時は、思わず周りを見渡して、誰かに伝えたくなるような嬉しさがある。

場所と場所をつなぐ何かを中間地点と呼ぶならば、
私にとってその一つは確かに真鶴(神奈川)だった。

葉山の日常。2年目は海開きがあって、一時期は賑やかだった。

葉山(神奈川)に住んでいた時から、気になっていた真鶴。
未だに訪れたことはないのだが、そこには夫婦が経営する「泊まれる出版社」があるという。

知ることになったきっかけは、葉山から1時間かけて通っていた三浦のお店(出版社/本屋/美容室)だ。
そのお店をSNSでフォローすると、そのつながりから真鶴にも同じような素敵な場所があると知る。

気になっていると、お気に入りのホテル系インフルエンサーが「おすすめの宿」として紹介していて。
そのような連鎖で、真鶴はずっと行ってみたい場所だった。

長野の日常。どこを見ても、先は、山。

時は流れて、海のまち・葉山から、山のまち・長野に越した。

松本(長野)に、本が読めるカフェとしておすすめしてもらったお店があるのだが、気に入って何度か訪れていて。
何度目かのタイミングで、そこで唐突に「真鶴フェア」が行われることを知る。
真鶴の出版社が松本のお店とつながりがあり、展示を行うようだ。

神奈川に居た時でさえ行けなかった場所が来る。
中間地点が向こうから近づいてくると知り、きっと行こうと決めたのだった。

松本へ進む電車から。

本来は明日行こうと思っていたのだけれど、やっぱり今日にしようと決めたのは朝4時。
なぜか早く目が冴えてしまって、朝一番の電車に乗った。

目的のお店に着き、いつも通りに珈琲をオーダー。
そしていつもそこにはない展示を確かに見た。
数々の絵と、文章と、空気。
そこには久しぶりの海の景色があった。

写真を見たわけでもなく、行ったこともない場所のはずなのだけれど、なぜか懐かしい感じがした。

材木座海岸・神奈川。

朝から目指した中間地点。
ショート・トリップだけれど、いつもより遠くへ来れた気がした。

海のそばで暮らした1年と3か月を想って、
まだ見ぬ真鶴の景色を想像したから。


中間地点のその先へ。
きっといつか、真鶴へ行こう。


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