Greenfields I'm in love #55
ママ、ようこそロンドンへ!
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2022.01.07
#55
ずっと前から楽しみにしていた日がやってきた。日本に住むわたしのママがロンドンへ来てくれる。学校からバケーションを取り、1週間分の荷物をトランクに詰めて、ママがいるホテルへ。本当は空港へ迎えに行く予定だったのだけど、夜更かししたせいで寝坊しちゃったのだ。一足先にママがチェックインしたホテルのドアをノックする。ドアの向こうには、本当に本当にわたしのママがいた! ロンドンに、ママがいる。嬉しくて、ホッとして、ギュッとハグを交わした。
ママ、ようこそロンドンへ。来てくれて本当に嬉しい、ありがとう。
長旅を終えたばかりのママをゆっくりさせてあげたかったけど、今日はずっとずっと行きたかった場所がある。イーストロンドンで毎週日曜日に開かれる、コロンビアフラワーマーケット。今日は、彼女のロンドン滞在期間中最初で最後の日曜日。わたしと同じくお花が大好きな彼女と、ずっとここへ来たかった。
西から東へ、1時間かけてロンドンの街のど真ん中を横断する。ママにとって、学生時代のドイツ留学以来、20年と少し(ほんの少しだよ)ぶりの一人旅だ。Tubeの中で、ハプニングだらけだったここまでの経緯を話してくれた。なんでも、彼女のパスポートの顔写真の部分が少し折れていたせいで、出国の窓口でイギリスに着いても入れないかもと言われたみたい。そこから10時間以上のフライトの間、入国できずそのまま引き返すことになったらと気が気でなかったと嘆く。かわいそうなママ。
Old street駅に着いた。フラワーマーケットへ行く前に大好きなGloriaというレストランでブランチをいただく。こちらはわたしのお決まりコース! 今日もお店はとてつもなく可愛いし、思った通り、ママはGloriaをとても気に入った。
わたしのママ!
お水を入れる魚の瓶もかわいいでしょう。
お店を出るとき可愛い天使がお見送りしてくれた。
Gloriaから歩いて、フラワーマーケットへ。歩いている途中に、学校のお友達に遭遇。彼女はアート好きな韓国人。いつも、展示会の情報をおしえてくれるのだ。
フラワーマーケットについた。ロンドンの中でも、ここら辺にいる人たちのファッションが特に好き! 流行というより、本当に自分に合った服を着こなして、ファッションをとても自由に楽しんでいる感じがする。
気持ちよさそうに歌う女の子。
最近、フィルムカメラのフィルムをportraというちょっといいのに変えた。繊細な光の加減というか、ぼわーっとした空気感がすごく綺麗に写る。portraなら逆光でも光が素敵に撮れた。柔らかく包み込んでる感じがあってとてもいい。
ラベンダーのいい香りに、蜂のようにに吸い寄せられて歩いていくと、そこにはドライフラワーになったラベンダーの山があった。ラベンダーが大好き! 一束買っていくことにした。歩くたびにいい香りが鼻をくすぐって、すごくいい気分だ。
クリスマスらしいお花が増えてきた。
みんな、たくさんのお花を抱えている。
1本道のフラワーマーケットをママと往復した後は、学校に用事があったのでママに一緒についてきてもらった。時間はちょうどみんなのクラスが終わった頃。仲良しの友達にママを紹介した。ママは嬉しそうに、ちょっぴり恥ずかしそうに挨拶した。
大英博物館へ行ったり、コベントガーデンをうろちょろしたりしなから、可愛いお店があるたびに、たくさん寄り道して歩き回った。
そうそう、この日びっくりしたことは、ママが尋常じゃないくらい歩くのが遅いこと。合わせるのも難しいほど遅くて、せっかちなわたしはちょっと苦労した。
ママはのんびり屋さんだ。ていねいで、見ていたら可愛い。のんびり生きることは良いことだ。例えばママのお父さんであるわたしのじいじは、「のんびり生きなさい」といつも言う。焦ってすてきな瞬間を見過ごしてしまわないように、のんびり、ていねいに生きたい。
最後は大好きなハロッズの地下一階へ。デパ地下ってどこも楽しいけど、ハロッズはもはや別格だ。端から端までなんでも美味しそうに見えて、全部欲しくなってしまう。こんなの、魔法がかかっているに違いない。
今日は疲れたから、夜ごはんはここでお惣菜を買って帰り、ゆっくりホテルで過ごそう。
へとへとになって家路に着く。レイジーな私たちはベッドの上に食べ物を並べて乾杯した。私たち家族は旅行が好きでよく行っていたけれど、ママと2人旅は初めてだ。楽しそうにくしゃっと笑うママを見るたびに、私もうんと嬉しくなった。まだまだたくさん喋りたかったけど、疲れ果てたママはすぐに眠っちゃった。旅はまだ始まったばかり! いっぱい楽しいことをしよう。
続きはまた来週!
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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