About Time #33
interview: Ryan Scott Graham
Contributed by Sho Mitsui
Trip / 2022.01.04
#33
いや、本当は#33が最終回になるはずで、もうその最終回は書き終えている。自分的にも「いやー書き切ったなー!」感MAXで一仕事終えた気分でいた所に、この"About Time"をGoogle翻訳で全エピソード読んでくれているというハードコアリーダー兼、僕の親友Ryan Scott Graham(ライアン・スコット・グラァム - 個人的に「グラハム」って発音は違うと思ってる)から「おい!俺の新しいバンド"Pile of Love"についてのインタビューもしてくれよ!」とインスタ上でDMが届いたのだ。Ryanには本当にお世話になっている。人生を変えて貰っていると言っても良いかも。昔、僕がやっていたAlternative Medicineというバンドでは、1曲フィーチャーで参加して貰ったし、
2017年にはAlternative MedicineとRyanのソロプロジェクトSpeak Lowで一緒に日本ツアーを行った。
そんな彼からの依頼は断れる訳がない。今回のLAの旅でもRyanさんにはめちゃくちゃお世話になったし。と、いう訳で、皆さん! RSGのおかげで、エクストラ・エピソードが読めますよ! アメリカで大人気のポップパンクバンドState Champsでベースを弾き、自身のソロプロジェクトSpeak Lowではギターボーカルを務めるRyan Scott Grahamが新たに始めたPile of Loveに迫りたい。
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"Pile of Love"(以下POL)はコロナ禍で生まれたバンドなんだ。友達同士、音楽好きが集まって作曲したのさ。最初はただの思いつき風ジャムセッションだったんだけど、めっちゃ良い曲が沢山出来たから、アルバムを作ることにしたんだ! バンドメンバーはギターリストにNick Cogan(drug church)とRyan Scott Graham (State Champs) 、ベーシストがKevin Geyer(The Story So Far)、ドラマーが Chris Villeneuve(Drug Church)、でヴォーカリストがMorgan Foster(Mobin’s Child)だよ。
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アツい。メンバーがアツ過ぎる。ほぼ、インディー界のスーパーバンドじゃん! そんなミュージシャンな彼等にとってコロナ禍はとてつもなく辛かった時期ではないだろうか。Ryanさんはどうやって2020〜2021年を乗り切ったのだろうか?
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コロナ禍はマジでキツかったよ。俺は作曲家としてのチャンスを掴みにLAに引っ越したからさ。人々が、面と向かって会いたがらなくなってしまって、セッションの機会も激減してしまった。言うまでもなく、POLはコロナのおかげで結成した様なものだから、その点は良かったけれど、本当に苦しかったね。ツアーはリスケされたり、キャンセルになっちゃったり。ライブやフェスの雰囲気もコロナ以降ガラリと変わってしまった。そして、旅 -特に海外- はほぼ不可能じゃん? 収束を願ってるけど、新変異種が出て来たから、この先どうなることやら。
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そうかぁ...やっぱりRyanさんも大変だったんだな、コロナ禍。でも、それがキッカケで生まれたPOLが大人気になっちゃえば、プラマイゼロなはず!(いや、プラスでしかない!)そんなPOLは取り敢えず、クッソカッコ良いわけだが、各メンバーがそれぞれ所属しているバンドに似ても似つかない。もちろん、似ていたらやる意味も無いから、似ていなくて当然なのだが、一体何にどう影響されてこの音楽が生まれたのか気になった。
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POLは主に90年代の音楽に影響を受けているんだ。Teenage Fanclub、Pavement、 Bell and Sebastian、Heatmiser/Elliott Smith、Guided By Voices、The Lemonheads - 挙げ始めたらキリがないよw 俺達は全員オルタナティヴロックやシューゲイズの大ファンだから、それらの類のジャンルに現代風のヒネリを加えたのさ。良い曲でありさえすれば、何に影響を受けたかなんて、さほど重要ではないさ! でも、俺たちが何を聴いているのか知りたい人はSpotifyで"Pile of Songs"ってプレイリストを毎週木曜日に更新してるから聴いてみてね!
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ところで、このPOLって素晴らしいミュージシャン同士の遊びプロジェクトなの? それともガチバンド? その辺どーなのよ? 気になるよねぇ。
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さっきも言った通り、POLは友達と遊び半分で始めたバンドなんだけど、すごく誇りに思えるアルバムを作れたから、真剣に活動はして行くつもりだよ。もちろんガチでやっていくのは難しいと思う。みんな、それぞれのバンドもあるからさ。でも、良いツアーやフェスに誘われたら絶対参加したいね! もう既に、次のリリース予定も立ってるんだ。
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なんか、ロックは死んだって言われてるし、実際メジャーシーンでは死んでるし、でも良いロックの曲っていうのは今もどこかで毎日生まれていて、リリースされていて、POLのアルバムもその内の1枚だ。下手したら何かの拍子にブレイクするチャンスだって余裕であると思う。ところで、3つのバンドに同時並行で参加しているRyanさん。忙しくない??? それ、どうやってるの?
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(State Champs)
(Speak Low)
(POL)
3つバンドを掛け持つのは結構大変だけど、音楽的にどれも全然違うから、アイディアを選別するのはさほど難しくないかな。State Champsはアップテンポで明るい感じ。Speak Lowは所謂エモい感じで、POLではもっと実験的になれるというか。頭の中に鳴っている音を全て表現する機会があるっていうのは俺にとってはとても大切なんだ。だから、バンドの掛け持ちは楽しいよ。良い曲が書けて、「あれ?ステチャンに合わないな」って思っても他の2つのバンドのどちらかに振る事が出来るしね。今じゃ、ギターを持って作曲する時は常に己との戦いさ。でも、それが俺は好きなんだよね。
それぞれのバンドで別パートを担うのは、自分の作曲プロセスにも確実に影響が出るね。ステチャンでベースを弾くのは楽しいよ。気楽にステージ上で踊れるしねw 3つのバンドの中で1番負担が少ないから、ステージ上でダイナミックに動けるんだ。Speak Lowは歌いながらギターを弾かなきゃいけないから、3つの中では1番負担と責任がデカいよね。一番緊張するよ。POLでギターをひたすら弾くのはめっちゃ楽しい。どこまでも創造力豊かに表現出来るし。でも、結構難しい事してるから、集中力を要すね。POLでは自分のギター技術をフルに活かしたいんだ。
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今はやっぱり1番新しいプロジェクトのPOLが一番楽しいのかもねRyanさん。そんなPOLの作曲プロセスってどんな感じだったんだろか?
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作曲過程はめちゃくちゃ楽しかったし、テンアゲだったよ。誰からの期待も何も無いから、全くストレス無く出来たしね。喧嘩も全くしなかった。曲はただ、降って来たって感じで、だからこそ「ヤバい曲が書けてるな」って実感が湧いたんだ。毎週土曜日に練習スタジオを借りて、毎週1曲ずつ書いていたんだよ!
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因みに2022年にPOLのツアーの予定はあるんだろうか? その内日本ツアーとか???
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ツアーの予定は今の所無いんだ。でも、良いツアーのオファーがあれば100%乗りたいし、夏には何かみんなにお知らせ出来たら良いな!
日本ツアーが出来たら最高だよ。Shoは俺がどれだけ日本が好きか知ってるだろ? 90年代ロックは日本でもアツいから、俺たちの音楽も通用すると思うんだよね!
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因みにRyanさんって何でそんなに日本好きなの???(2014年〜2019年までRyanは6年連続で日本に来ている)
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(2014年、日本で初めてState Champsのベーシストとしてステージに立ったRyanさん)
俺が初めて日本に行ったのは2014年なんだけど、子供の頃からポケモンやアニメ等日本のカルチャーに興味があったんだ。実際に訪れて、ぶっ飛んだよ。建物、食べ物、ファッション、全てが刺激的だった! 何故、日本に恋したのか明確な理由を述べるのは難しいけれど、日本という国が僕にインスピレーションをくれるから、かな。何度も日本を訪れて、東京以外の県にも足を運んで友達を沢山作ってからというもの、僕は日本に忠誠を誓ったんだ。世界中で一番好きな場所さ。大親友のShoも住んでいるしねwww
(2016年にRyanと一緒に訪れた、直島・豊島)
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おい! Ryan!「www」は余計だろ! でも、本当にRyanは僕の大親友なのだ。そんな、大親友Ryanの新しいバンドのPOLの中で僕が1番好きな曲は"The Ride"なのだが、Ryanのお気に入りはどの曲なのだろうか?
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"The Ride"はNickと俺が最初に書いた曲なんだ! 嬉しいな! 俺のお気に入りは"Sacred Patience"だね! 絶好のフェス曲だと思うんだよね。いつか、大勢の人達の前で披露したいと思ってるよ!
日本のみんな! いつも俺の曲を聴いてくれてありがとう! 日本語の勉強をこれからも続けるよ。最近サボっててごめんね(汗)。でも、じきにめっちゃ上手くなるからさ。
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急遽決まったRyan Scott Grahamのインタビューはいかがだっただろうか? State Champsのベーシストとしての彼を知っている人々は多くいるとは思うが、これを機に是非、彼の新バンドPile of Loveのアルバム"Pile of Love"を聴いてみて欲しい。そこには、コロナ禍の中に希望の光を見出そうとするミュージシャン達のインスピレーションが爆発した珠玉の10曲が詰まっているのだ。
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Sho Mitsui
元英語教師、現カルチャーコーディネーター。チャンネル登録者121万人越えのYoutuber、PDRさんと一緒に隔週で放送している「痛いおじさんズPodcast」が大好評。いつかはプロPodcasterとして生きていくことを夢見つつ、世界中のセレブにご飯を食べさせて貰いながら、どうにかこうにか息をしている。
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