Life is a journey #13
至高の蕎麦『吉村製麺所 深山そば』
Contributed by Daijiro Inaba
Trip / 2022.01.06
#13
すっかり冬になりましたね。Life is a journeyは半年ぶり。『HITOTABI』、『SPOTABI』の連載も始まっているので、是非ご覧くださいね!
葉山住民は11月までビーサン。
ある日の葉山公園。
親戚の紹介で日本一の蕎麦と出会った。
先に言っておくと、今日紹介する蕎麦はほんと誰にも教えたくなかった。我が家のとっておきとして、自宅に遊び来てくれた人にだけ振舞ってた。
でもどうしても、書いておきたい出来事があった。今回は僕が愛してやまない蕎麦との出逢いと生産者の想いを綴る。
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1.至高の蕎麦との出逢い
2.吉村製麺所インタビュー
3.倍うまい
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1.至高の蕎麦との出逢い
家で蕎麦は食べますか?
僕はずっと素麺派で、一人暮らしの時は箱で素麺買って食べてた。さっと食べられるし、簡単だし、何しても大体うまいし、常備してた。そんな僕だけど、ある日親戚の家でお蕎麦をいただいたら、もうびっくりするほど美味しくて。そこからは我が家に常備するものは素麺から蕎麦に変わった。
深山そばは、「吉村製麺所」という所で作られている。なんと、注文は電話かFAXのみ。この手間がまたたまらない。ずっと好きで好きで常備していたけど、ある日一通のお便りが来て、「しばらくの間閉業する」とのこと。
コロナの影響かな、本当にショックを受けた。
家でそばを食べない生活が続いたある日、また1通のお便りが。
「営業再開」
目にした瞬間に電話帳に登録している吉村製麺所に電話した。そうしてまた、無事に深山蕎麦生活が再開した。
すぐに注文した深山そば 8キロ。
深山そばとの再会。嬉しすぎて、泣きそうになりながら食べた。休業前と変わらぬ美味しさで、感謝の気持ちが止まらなくて、久々の一杯を堪能した直後に吉村製麺所に電話していた。
「本当においしい、再開してくれてありがとうございます。感謝を伝えたくて、電話しました」と伝えたら、後継者の男性の方が静かな口調で、会話をしてくれた。その後、休業のいきさつや、深山そばへの想いなどを聞きたいとワガママを口走ったら、「それは僕よりも創業からやっている母が適任ですよ、来週またお電話ください」とお言葉をいただき、大変ありがたいことにインタビューまでさせていただけることになった。
この日の森戸海岸@葉山は波が強かった。
2.吉村製麺所インタビュー
吉村製麺所創業者の奥様との対談について綴る。
一色海岸の風景@葉山
Daijiro(以下、D):この度はこのようなお時間をいただいてありがとうございます。深山そばが本当に好きで好きで、発作的に電話してしまいました。今日は宜しくお願いします。早速ですが、吉村製麺所はいつ、どのような経緯で始まったのですか?
吉村製麺所現代表のお母様(以下、お母様):もう38年やっています。きっかけは、奈良県黒滝村の過疎化対策で、村からの紹介だったんです。製麺所やりませんか? と。東吉野とか近くの村でもやっていましたからね。三輪そうめんとか有名ですよね。
D:なるほど! 吉村製麺所は素麺も作ってますもんね。以前いただいて、すごく美味しかったことを覚えています。
お母様:ありがとうございます。すでに素麺作りをされている方が周りにいたので、修行にも行かせてもらいました。すごく細い素麺を作るところから始めました。
D:スタートは素麺だったんですね。いつからお蕎麦づくりが始まったんですか?
お母様:三輪そうめんはすでに世の中に知れ渡っているので、何か独自で素麵以外のものできないかな、という主人の発想で、始めました。最初は素麺を買っていただいている方にサービスで渡すところから始まったんですよ。今では蕎麦の方が全国的に知ってもらっている気がしますけどね。
D:そうだったんですね。少し突っ込んだお話になるのですが、休業されていたのはどんな理由だったんですか?
お母様:実は、創業者である主人から引き継いだ2代目の長男が交通事故にあってね。。。
D:そうでしたか、、大変でしたね、、、。
お母様:38年やってきて、色々あったし、長かったような短かったような期間でしたけど、まさか長男が亡くなるなんて、本当に信じられませんでした。もうやめとこうかって話しにもなったんですけどね。次男が再開を進言してくれたんです。すごく嬉しかったです。今は次男を中心にやっていますよ。
D:そうでしたか。美味しいお蕎麦が再度食べられて、感謝しかありません。ちなみにお蕎麦屋さん泣かせなくらい美味しいなっていつも感動するのですが、なんでこんなに美味しいんですか?
お母様:よくそのようなお声をいただくんですけど、正直これというのは思いつかないんですよね。あるとしたら、素麺づくりからきているから上等な小麦粉を使っているというところかな、と主人とは話していました。
D:なるほど。言われてみたら、素麵のようなのど越しがあるように思います。
お母様:あとは作り方ですかね。手延べに近いやり方でやっています。全部機械でやっているところはビシッと均一の大きさになるけど、うちのお蕎麦がバラバラになってるのはそうゆうことなんですよ。
D:なるほどですね。ちなみにですが、おすすめの食べ方はありますか?
お母様:これからの時期は温かいおつゆにてんかすとか、にしんとかを入れていただいてシンプルに食べてもらうのが良いと思います。暑い時期はざるそばですね。おつゆに大根おろしを添えて食べてもらうのもいいと思います。いずれにせよ、アレンジしすぎずにシンプルに食べてもらうのがおすすめです。
D:ありがとうございます。僕はシンプルにおつゆだけか、肉そばにして、いただくことが多いです。お蕎麦だけでいただいても本当に美味しいって思います。
来客者おもてなし用、DAIJIRO秘伝の肉蕎麦。
D:今後の展開についても教えてください!
お母様:しばらくはお蕎麦でやっていこうと思っています。素麺も再開する可能性はあるけど、まずは深山蕎麦を待ってる全国の色々な年代の方々に届けたいと思います。子供から大人まで美味しく食べてもらえると思うので、ご注文、お待ちしていますよ!
D:私個人としては、あまり知られたくないっていうしょうもない気持ちが正直ありますが、お母様がどんどん注文して! とおっしゃるなら応援させていただきます! 今度コロナが落ち着いたら、製麺所にご挨拶に伺っても良いですか?
お母様:是非いらしてください!
後光がさしている@森戸海岸
神奈川県立近代美術館@葉山
3.倍うまい
作り手の想いをかみしめながらいただく食事は格別。今では一口ごとに吉村製麺所の思いを味わい深く感じる。強い思いで後を引き継いだご子息や、今回インタビューに応じてくださったお母様の想いを噛みしめて、最高のお蕎麦を召し上がってほしい。元々最高にうまいけど、吉村製麺所の皆様の想いに触れてみて、倍うまい。注文するか、我が家に食べに来てください。
==注文先==
吉村製麺所
〒638-0233 奈良県吉野郡黒滝村長瀬161
0747-58-0063
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葉山富士
一式海岸の夕陽@葉山
葉山の夕陽の前では万物が映える。
初めて食べ物のことを書いたけど、改めて、どんな高級品よりも、生産者の想いを噛みしめながら食べるご飯を食べるときが最高に幸せなんだって思った。出逢いに感謝。
Life is a journey!
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Daijiro Inaba
1986年川崎生まれ、東京育ち。葉山在住。趣味はSUP、ウクレレ、サウナ、フットサル、ワイン、BBQ、逆光アート、愛犬と過ごすこと。 オンラインサロン「大二郎酒場」主宰、教育系DAO「DSK」主催。