ビールとウーバー #33
手っ取り早く日常特別にしたいの
Contributed by Kaito Fukui
Trip / 2022.02.21
#33
「なんかさ、手っ取り早くこの日常を特別にしたいの」
夜9時、スーパーの値下がりしたお惣菜を買い
自転車に乗って家に帰る途中。
うどん屋さんの前を歩くカップルの声が聞こえた。
手っ取り早く特別にしたい。
凄いこと言うな。
突然、彼女にそんなことを言われた彼氏は大変だろうな。
しかも、恐らく2人はスーパーからの帰り道
そんな超絶日常の時間の中で、彼女は何を思ってそんな事言ったのだろうか
その言葉の裏に何を込めたのか、5日ほど経ったが僕は今でも考えている。
今夜は2人でラブラブしようね。
の合言葉なのか…とか
ちょっとさ、同棲してさ、デートとか行かなくなってない? どっか連れて行ってよ。
なのか…? とか
スーパーでお惣菜を見ていてなんか、この景色毎日見てんな…
と、思ってしまったのか。
など、彼女の言葉を考える反面
彼氏のことも心配でならない。
「え、ちょ。どう言う意味よ」
と、僕なら思うだろう。
「やべ、どうする。今月めっちゃ服買っちゃったし…結構金欠だし」
とか、彼にも事情はあるはず
どうする、彼氏。
「3日猶予をちょうだい」
と伝えて何か、ラベルが映えるワインを買ってみるのおすすめかも。
そうして
「今夜はさ、オシャレにワインとか飲んじゃう?なんかさ映えのさラベルのさ、ワイン買ったからさ2人で空っぽにしてインスタ載せちゃう?」
なんて、言ってみてはどうだろう。
手っ取り早く日常特別にしたいなんて
そんなの、普通にめちゃくちゃやん。
2人の今後が気になるけど
彼女が凄い美人だったから、さっさと別れてしまえ。
と思ってしまった。
いや、でもな
凄い可愛くてもな、突然手っ取り早く特別になんて、めちゃくちゃわがままかもしれないよな。
こんなこと、何日も考えているなんて
どんだけ暇なんだよ。
ビール飲んで忘れようとしてみたけど
やっぱり、面白すぎて全然忘れられない。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!