空港を行ったり来たり

Greenfields I'm in love #60

空港を行ったり来たり

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2022.05.06

兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。

#60

パリからロンドンに帰った次の日。一息つく間もあまりない、日本からななこという友人がやってくる。
小さい頃からいつも一番近くにいた、大好きで大事な親友だ。先日フランスへ行った時、空港にねるやまりかが来てくれて、とても嬉しかった。今度は私も、ななこを迎えにヒースロー空港に行こうと決めていた。
イーリングの家からヒースローまで、ピカデリーラインで一本、目と鼻の先だ。空港で待っていると、程なくして体と同じくらい大きなトランクをかかえた小さいななこが歩道の奥に現れた(トランクが大きいのと、ななこ自体も小さい)。
8ヶ月ぶりの再会。就活を終えて、少し大人っぽく、そして元々華奢な上にまた少し痩せていた。

明日からポルトガルへ行くため、この日は束の間のロンドン滞在だった。ななこにはロンドンに住む友達がいる。ロンドン芸大に通うまおちゃんだ。
彼女とななこの出会いの場はマガジンハウスの編集部だ。彼女はロンドンの大学へ通いながら、日本で一時帰国した夏休みにそこでインターンをしていて、それがたまたまななこと一緒だったそう。せっかくだからと、3人で会うことになった。

island pokeというポケ屋さんで一緒にごはんを食べた。まおちゃんは噂通り、大人っぽくて芯がある。そして、うるつやのロングヘアーがとってもキュートだった。

次の日は朝早くからスタンステッド空港へ向かう。朝早いフライトに間に合うか心配でドキドキする。なんてったって今回ははじめて、ななことわたしの二人っきりの海外旅行だし、私たちは一緒にいると、神戸にいたって変なハプニングがよく起こるからだ。慎重に慎重に、でもきっと起こるであろう想定外の出来事を密かに楽しみにしている自分もいた(いいハプニングであることの祈る)。
ポルトガル、リスボンに着いて、エアビーの家までウーバーを使った。リスボンの石畳みの道はボコボコとしていて、その上を走る小さな私たちのウーバーは、スキップするようによく揺れた。
程なくして車が止まったのは、高台の景色が良いところだ。素晴らしい景色が見渡せる絶景スポットの隣にある建物、これが今回の私たちのエアビーらしい。



中に入ると、その敷地は予想よりずっと広々としていた。大きな半円型の窓から差し込む太陽の光に、この暖かさは、ロンドンでは長らく味わっていなかったなと思った。少し休憩して、近くを散歩した。街中に溢れるポルトガル語は当然聞き取れず、読めもしないけれど、時折英語と似たそれらの意味を推測しながら、旅の始まりを早くも満喫した。
夜ごはんは、私たちが前々から電話しながら作った、行ってみたいリストから選ぶ。海に面したリスボンで絶対に食べたいのは海鮮だ。安くて美味しいと評判の、地元の食堂のようなところを見つけ、そこへ向かうことにした。散歩がてらに歩いて向かおう。ディナータイムの手前に着くと、私たちは一番乗りだった。

窓の奥を覗き込む。私たちの後に、次々と列ができていった。

なるほど、メニューもみると、確かにロンドンでは叶わない物価だった。選んだのは白身魚と肉のワンプレートを一つずつ。そしてハートボトルの赤ワイン。

ポルトガル料理にじゃがいもは欠かせないらしい。

隣には、日本人であろう男の人が座っていて、気づいたら机をひっつけて仲良くおしゃべりしていた。彼の名はたいちさん。大学卒業後就職はせず、世界一周の旅をしながら現地で出会う子どもたちに夢を聞いてまわっているそう。日本に残した彼女に申し訳ないけど、と肩をすくめて、でも楽しそうに、嬉しそうに話してくれるエピソードの数々は、彼が人を助けたり、または彼が助けられたり、愛があって、聞いているだけで心が温まるものばかりだった。彼にはたくさん夢があるけど、次の夢は、旅路で聞いた子供たちの一つ一つの素敵な夢をテーマにした絵本を作る事なんだそう。

彼は帰国後、本当に絵本を出版し、その利益でカンボジアに井戸を一つこしらえた、という幸せな知らせをつい最近SNSでみかけた。
コロナがはじまった中、日本にいながら遠く離れた地に井戸を作るのは大変な道のりであったに間違いない。けれど彼のことだから、助けられながら、一つ一つていねいに頑張ったんだろうな。あの笑顔を想像すると自然と頬が緩んだ。彼はこれからもずっと、わたしだけではなく、たくさんの人の心をほかほかさせ続けるだろう。わたしもそんな人になりたい。


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