リスボンをめぐる

Greenfields I'm in love #61

リスボンをめぐる

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2022.06.17

兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。

#61

リスボンの街並みは、登ったり降ったり、傾斜が多くて忙しい。スキップするように進む私たちの足取りは、きっと側から見たら今にも転げそうだったに違いない。街にはあちこちにタイルが敷き詰められている。「タイル」は、こっちでは「アズレージョ」というんだって。いろんなタイルがあるけれど、そのほとんどは手書きで絵付けされていた。

朝ごはんは、壁一面にアートブックが並ぶ『Hello, Kristof』という可愛いブランチ屋さんへ行った。オーダー中は、そんな壁から本を持ってきて席で読む。ロンドンでもよく見ていた本も多かった!

ヨーグルトボウルとオープンサンド。



アズレージョを撮る男性。ポルトガル人のファッションはシティとバカンスが融合した感じ。

ごはんを食べた後は、電車に乗ってシントラという街に向かう。ポルトガルに来て、欲しかったものといえば食器だ。昔からキッチン雑貨には目がない。お皿が可愛いと、料理やお酒はもっと美味しく感じる。ポルトガルには有名な陶器のブランドが多くあって、それらはイギリスでも日本より安かったけど、発祥の地ではもっともっと安かった。私は、ポルダロのスイカとパイナップルのお皿を何枚か買った。(ちなみにシントラが発祥なわけではない)

街並みは柔らかい色合いが多くて可愛い。



シントラでは、レガレイラ宮殿へ訪れた。分かれ道ばかりの迷路みたいな洞窟、小さいけど背の高い宮殿、落っこちたら間違いなく死んでしまうような深い深い井戸、、、おとぎ話を再現したかのような場所だ。

背の高い塔があちらこちらにあって、こんなシュールな写真が撮れてしまう。てっぺんにいるのが私。



木々の生い茂った庭園のあちこちにこうしたインパクトの強い建造物に出会い、気分はエルマーの冒険!(小さい時、よく読んでた本)
建物だけじゃなくて、道には大きなハープを奏でる女性もいた。音色はもちろん、彼女の歌声がとても素敵だった。私とななこは立ち止まり、暫くうっとり聴いて、帽子にチップを入れた。こうして道端で出会うアーティストが好きだ。道端でも、地下鉄でも、ついつい足を止めて聞き入ってしまう。

ハープの音色って、本当に素敵。



リスボンに帰ると、パリからやってきたまりかが到着していて、私たちはモールで待ち合わせた。わたしとまりかはパリ以来、つまり三日ぶりの再会だ。大きなモールの中をみんなで巡った。それこそポルトガルでなくても行けるようなお店ばかりだけど、こういう時間も楽しくていい。
家に帰ると、大きくて素敵なエアビーにまりかもとっても喜んだ。久々の3人での再会に、今日シントラで買ってきたコップを使って乾杯した。ごはんを食べに行く前に、少し息をつこうと思っていただけだったのに、結局遅くまでお家で寛いでしまった。さっきモールに入っていたお店で買って帰ってきたエッグタルトは、シナっとしててちっとも美味しくなかった。日本にもあんまり美味しくないラーメン屋さんがあるように、ポルトガルだから必ずしも美味しいエッグタルトがあるわけではないよね。


次の日はポルトガル首都、ポルトへ。出発するリスボンの大きな駅の近くにはビストロが2店並んでいて、私たちはそこで郷土料理だというお惣菜をちょこちょことテイクアウトした。今度こそは…! と、エッグタルトも。ポルトまで電車で3時間。長い道のりだ。

ロンドンのお店で手に入れたフィルムカメラ。



今日も絶好調のななこ。




車内で食べるごはんはワクワクしてよりおいしく感じる。エッグタルトはまたも期待外れだったが、魚介がたくさん入った惣菜はとても美味しい。2日前からいる私とななこは、エッグタルトはエッグタルトの専門店で買った方が美味しいのかもとそろそろ気がつきはじてめている。かわいそうに、昨晩から来たまりかは、美味しいエッグタルトにまだ巡り合えていない。

リスボンに着いて早々、向かったのはMajestic Caféという来年で創業100年を迎えるカフェへ行った。内装はアールヌーヴォー様式で床一面が大理石、格式高くて緊張してしまいそうなところ、少し古びた純喫茶のような雰囲気が心地よさを生み出す。

フランセジーニャ、練り物を揚げたもの、フライ。



新しい土地へ行ったら、何よりも楽しいのが食だ。ポルト発祥と言われるフランセジーニャをオーダーした。いろんな種類のお肉が挟まったサンドイッチが乗ったお皿に、トマトを使った濃厚なソースがかかっている。これらのお食事はどれも全部美味しかったのだけど、中でもほんとにほんとに、本当に美味しかったのは、フレンチトーストだった。美味しくて嬉しいなんていう感動を飛び越え、え! と声が出てしまうような衝撃。特別クセがある独特な味付けをされているわけではなく、どちらかと言えば正統派。フワッとしてるのに、外の薄い表面だけがカリッとしているトーストも、その上にとろっとかけられたソースも、私が今まで口にしてきたそれとはまるで違った。
カフェの居心地は良かったけど、今度こそ確実においしいエッグタルトが食べたくて、MANTEIGARIAというエッグタルト専門店へ行った。先日シントラで買ったお皿と同じく、このお店もポルト発祥ではないけど、そこでは目の前で作っている光景が見られた。1つ1つ、可愛い箱に入れてくれたけど、我慢できずお店の外へ出たと同時にパカっと開けて食べ始める。やっぱり専門店のエッグタルトはパイがサクッとしているし、中身もとっても濃厚! また、ここのものはシナモンがきいていて、とってもおいしかった。
なんでポルトへ来たかと言えば、雑誌で見たそこはあちこちに壁絵があってとっても可愛かったからだ。でも、この日は霧が濃くて、地面も濡れていて、なんだか思っていた光景ではなかった。

“ポルトってこんな感じなの?”



外は一気に暗くなり、私たちはお買い物に専念することに。歩いてあちこちの雑貨屋さんやお店を巡った。

ここは、Ó! Galeríaというななこが見つけてきたアートギャラリー。



世界中のアーティストの作品が、レコードショップのレコードのようにたくさん並べられていて、私たちは一枚一枚覗きながらお気に入りを探した。

何を考えたのか、レジの前に逆向きのソファがあり、こんな滑稽な体勢でお会計をしないといけない。



リスボンまでなんせ3時間もかかるので、私たちはギリギリまで観光して、夜ごはんは行きと同じくテイクアウトして電車で楽しむことにした。細かく刻まれたケールの入ったスープや、パンに牛肉が挟まったビファーナというハンバーガーなど、いわゆるB級グルメが多い。

明日はポルトガル最終日! 拠点としてるリスボンをめぐる。


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