雨上がり、ノロッコ号で湿原を進む

To Me, Somewhere in the World #33

雨上がり、ノロッコ号で湿原を進む

Contributed by Yoko

Trip / 2022.06.29

「世界一周がしたくて、思い切って会社をやめた」
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#33

いつもの宿、道東・阿寒町に1週間滞在してみた。大好きな場所に1週間もいると、さすがに暮らしている気がしてきて、いろんなことを再発見できて面白かった。

雨上がりの阿寒町。



天気も。雷が響くほどの雨の日から、東南アジアばりの晴れ&スコールの日まで、とにかく雨が続いていて、ほとんど町から出なかった。だからこそいろんな人と話せた気がする。それでも、いつもなら必ず車で行く道を今回は電車で行ってみようと決めていて、観光列車を予約していた。雨上がりの晴れの日を選び、釧路まで出てからいざ出発。

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くしろ湿原ノロッコ号



観光列車・ノロッコ号に乗れた日は、本当にここまで、と言いたくなるくらいに突然天気がよくなった。釧路駅から塘路駅まで、途中で釧路湿原駅や細岡駅などの釧路湿原の中にある駅を通過する、つまりは釧路湿原を突っ切るルート。車だと途中で湿原から逸れたルートにいかなければならないので、電車でしか見られない景色がそこにある。ノロッコ号が通るルートは普通電車と同じルートだが、ノロッコ号だと左右が吹き抜けになっていて景色が見やすかったり、乗車証明など観光列車ならではのサービスがあったりするので人気があり、乗りたかったのだ。

乗車証明書。



3人がけの、窓に一番近い指定席。



市街地を抜けて遠矢駅を通過すると、いよいよ湿原が見えてくる。どこまでも続く緑と青い空。この日は天気がよくて滞在していた阿寒町の山々まで見えた。自然の動物たち、野生のシカにも数頭出会う。タンチョウには出会わなかったけれど、タイミングがよければ見られるそうだ。

水辺。



途中で、黒に近いほど茶色い水路に出会う。車内アナウンスによれば、雨上がりの日は余計に茶色く見えるとのこと。とても綺麗とは言えない水路だが、ここをカヌーで進むのが気持ち良いらしい。道東10回目にして遂にカヌーには乗らなかったが、カヌーの一団には出会えた。手を振り、振られる一瞬の出会いも、ここまで天気が良いと本当に気持ちがいい。

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塘路駅手前。



行き帰りの乗車証明。



湿原を抜けて、終点の塘路駅に着いたら30分もせずに折り返す。帰りも手を振り、振られながらのスタート。そして行きと帰りでもらえる乗車証明書が微妙に違っていて芸を感じる。案外ちょっと嬉しい。

風に吹かれながらの、電車での道のり。何も考えずに進む片道1時間弱の旅。いつもは車で体感する湿原も、電車でしか進めないルートから見える景色は全く違うものだった。気持ちよかった。美しかった。そういえば電車でも湿原を通過したことはあったのだけれど、普通電車だと気を抜いて寝てしまうので記憶にないのである……。(笑)

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ゲストハウス コケコッコー前で。



それほど飲めないはずなのに、北海道ではなぜかロング缶も飲める。



そして湿原を体感して帰ってきたら、宿の前でBBQが始まっていた。夏だ。みんなでワイワイして長い夕方を楽しんでいると、街の人もどんどん立ち寄って、たくさんの人と挨拶をする。途中で足りなくなったビールをほろ酔い気分でスーパーまで買いに行き、また話して食べて飲んで、疲れたら中で寝るという贅沢。(笑)

北海道を出て10年以上が経つけれど、BBQといえばいまだに北海道のイメージだ。少ない夏日を狙い、すきあらば外でご飯を食べている気がする。北海道の短い夏を心から楽しむなら札幌もいいけれど、道東や道北、道南、道央など、より田舎の地域がとってもおすすめ。


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