数日間の冬と太陽のキス

Between the waves #48

数日間の冬と太陽のキス

Contributed by Miki Takatori

Trip / 2022.10.17

ひとつの場所に留まることが苦手で、さまざまな国を転々と旅してきた高取美樹さん。それぞれの場所で、暮らすように旅を続ける彼女が切り取る、何気なく、そして特別な瞬間。

#48

冬は来ないと思っていたバリに冬がやってきた。

朝起きて、ドアを開けるとツーンとした冷たい空気が部屋に流れ込んできた。

寒っ!

思わず声が出てしまうほどの寒さ。

太陽の光もまだ弱く、朝一番のサーフィンに行くのが億劫になった。

ウェットスーツなんて縁がないと思っていたから、ビキニ以外持ってきていない。

バックパックの奥底からスプリングスーツとも呼べない薄いトップスを出して腕を通した。



ビキニサーフィンに慣れていると、これを着るだけでも窮屈に感じる。

こんなことを言っていると「オーストラリアの冬はどうやって乗り越えるつもり?」と友達にいつも笑われる。

“I’m made to live in tropical place”

私の身体は暖かい場所で暮らす仕様になってるの! といつも言い返すわ。笑

だけどここ数年、夏を追いかけて生きてきたから23℃で凍えるほど寒く感じる。

外に行くにもシャツを羽織らないと冷える天気。



海の中で会う人たちとも「今日寒いねー!」と言いながらみんな見慣れないスプリングスーツを着ていて、なんだか季節の変わり目を感じた。

こんな寒い日に元気なオーストラリア人のおじちゃんサーファー、Craigは上半身何も着ずにパドルしてきたから笑ってしまった。

リフレッシュできてすごく良い気温だね! と笑いながら波に乗っていった。

やっと太陽が出てきた水曜日、久しぶりにワンピースで海に行くと肌に照りつける太陽が気持ちよかった。

「ありがとー!太陽!」なんて叫びたくなるくらい太陽が恋しかった。



調子が上がって、サーフィンもここ一番の波に乗れた。

やっぱり太陽の存在って偉大。


Miki


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