
Mamma mia! #126
幸せが詰め込まれたスーツケースと共に、
ただいまっ、東京
Contributed by Aco Hirai
Trip / 2022.09.20
#126

私の目に映る東京タワー。
美しいこの景色を眺めながら走る首都高が好きだし、数ヶ月前からこの景色を眺めるのを心待ちにしていた。
キラキラした夜の東京が高揚感を、
BGMのような友人の声が安心感を与えてくれる。
ただいまっ、東京。

日本への一時帰国が楽しみすぎて、ロンドン経由だった約19時間のフライトもあっという間で、気づけば羽田に着陸していた。
3年ぶりの日本、そして東京。
空港内でのPCR陰性証明も不要になったこともあって、待ち時間もなく20分ほどで外へ出られた。
なんてスムーズなの!
ただ問題だったのは、私の預けたスーツケースがヒースロー空港での乗り継ぎに間に合わず、置き去りになってしまったこと。なので、税関検査の書類だけ申請してスーツケースは後日ホテルへ届けてくれることになった。そしてこんなことは過去にもあったので、実は慣れっ子だったりする(笑)。
ちなみに、ロストバゲージはクレジットカード会社の保険対象になる可能性が高いけど、たかが遅れたぐらいのディレイドバゲージでは保険の対象になるクレジットカードはかなり限られていて、当てはまる人は少ないのだとか。こればっかりは残念。

それならそれで、ホテルへチェックインする前に着替えと下着を調達しにユニクロへ行くことに。
こんなトラブルがあっても、人は優しくて、居心地も良くて、怒りを覚えることなんてなかったし、航空会社のJALも高対応でびっくりすることの連続だった。
そんなふうに思えるのも(いい意味で)3年間のイタリア生活のおかげかも(笑)。
日本にいたら当たり前だったサービスやホスピタリティも、今の私にとっては「素晴らしい心遣い」なのだ。

そして、ホテルに届けられた自分のスーツケースを見ていると、出発前の感情が蘇ってきた。
「これで3年間過ごしたんだな」
今思い返せば、私のイタリア生活は「半年」計画だった。
だから、必要最低限のものだけをスーツケースに詰め込んでサクッと飛行機に乗ってやってきたのだ。
でも、世界中がパンデミックの波に飲まれて、帰れないというネガティブな気持ちと、もう少しイタリアを楽しみたいというポジティブな気持ちが合致して、気づけば3年目に突入していた。
もちろん買い足したものもあるけど、スーツケース1つで過ごした3年間。
これは、人生において必要なものが、いかに少ないかということを、改めて私に教えてくれた気がする。
執着すること、
所有すること、
それが私にはそこまで大事なことではなかったようだ。
スーツケース1つでこと足りるのだから。

だからこそ、旅に出るときは限られた荷物の中に自分を笑顔にしてくれる「とっておき」を詰め込みたい。
そんなアイテムが詰まったスーツケースならどこへ行っても
満足度の高い幸せと、価値のある笑顔に出会えると思うから。
今回のイタリアみたいに。
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Aco Hirai
2004年オーストラリア移住、2005年帰国、2019年マルタ島留学、2020年イタリア移住。 海外で活躍する日本人を取材したImhereマガジンを不定期で発信しています。(インタビュイー募集中)












































































