To Me, Somewhere in the World #46
何にもしない、をする1泊2日
Contributed by Yoko
Trip / 2022.09.28
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。
#46
福岡から壱岐に来た。
壱岐はフェリーで1〜2時間で行ける島だ。
壱岐島、勝本港。
福岡と札幌はよく似ていると形容される気がするが、あえて気候以外の違いを挙げるとするなら、それは島との近さだと思う。
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外灯にイルカ。
いつもは「何かしたい」から旅に出るけれど、今回は「何にもしない」と決めてみた。
何にもしないと決めていれば、主要な観光地に行かなくても、待ち時間がどれだけ発生しても、別に良い。気にならない。
車がないと不便な離島で、公共交通機関だけを頼りに訪れた壱岐。有名な観光地には行っていないし、きっと見ていないものはいっぱいあるのだけれど、それで良い。
だって、何にもしない、をする旅だから。
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芦辺。チリトリ自由食堂。
博多港から郷ノ浦港へ2時間ほどの船旅。
宿のあるエリアまでバスで直行するのも勿体ないので、芦辺港を経由する。気になっていた定食屋さんの雰囲気が想像よりもよくてテンションが上がった。レトロな雰囲気は、長野にも通ずるものがある気がする。
でも港町にいるはずなのに、マスクのせいか海の香りが強くはないのが不自然で不思議だった。
芦辺。橋の上から。
少し街をうろうろしたあと、重たい荷物を背負ったまま、30分ほど目的のバス停まで歩く。バックパックはやはり重たい。平地なのに登山のような時間を経て、カフェで休憩。目的もなくイオンでふらふらしつつ小1時間バスを待ち、ようやく宿のある勝本港へ。
勝本。LAMP壱岐。
ISLAND BREWERY.
居酒屋らんぷ。
着いた途端、やや天気が悪くなってテンションが下がる。でも問題ない。泊まる宿の雰囲気が外観からよくて、満たされたから(結果、内観もよかった)。サウナと魚が売りの宿でサウナも魚も楽しまなかったけれど、問題ない。宿目の前のブルワリーで飲み比べしたイチゴ味ビールのがとてつもなく美味しかったから。居酒屋の雰囲気もよかった。
何にもしない、をする、と決めていると、小さな発見や喜びでいつも以上に満たされる。
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辰ノ島クルーズ。
翌朝は雨。行こうと思っていた辰ノ島クルーズ、止めとこうかなと思ったけれど、一応チケット売り場に立ち寄ってみる。流れでチケットを買ってしまったので乗船。そうしたらだんだん晴れてきて、島の海岸ギリギリまで寄せてもらった船から見る、海の底の透き通る綺麗さと対面できた。
勝本城跡から。
勝本の街並み。
下船後は山の上まで少し散歩をして、イルカに会える施設に行くのは止めて、そのままランチへ。
店の看板メニューの壱岐牛バーガーをいただくか迷ったけれど、おそらく名物も地産も何も関係がない食事を選択。大多数の人がする選択とは違うのかもしれないけれど、美味しかったから問題ないし、何にもしない、をする、と言っている割にはすでに十分すぎるくらい満足しているから無敵。
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郷ノ浦への帰り道。
帰りも郷ノ浦港から。フェリーを待つ数時間も、何にもしない、を継続。
誰かとする「何かをする旅」も良いけれど、自分とする「何にもしない旅」も悪くない。
そしてどんな過ごし方でも、離島は楽しい。
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Yoko
長野在住、北海道出身。世界一周予定が新型コロナウイルスの影響で中止に。東京から葉山、長野へと拠点を移しつつ、国内外を自由に旅している。レバンガ北海道(#11)とアイスが好き。フリーランスのWebライター・編集者。