Couch Surfing Club #23
西海岸ロードトリップ編
God Rays
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2023.01.05
#23
今日はアルケータ市内にあるコミュニティフォレストにやってきた。
自然公園にトレイルコースがあって、森のど真ん中で森林浴を楽しめる。
ハイキングをして吸い込む空気が新鮮で、自分も光合成してるような気分になれた。
マウンテンバイクでトレイルライドを楽しむ人や、乗馬、ハイキング、駐車場の横の芝生のスペースではランニングをしたり、遊具もあって子供も遊びに来れる。
今日はギターの練習をしている若い子たちがいた。
今年からポリテックに力を入れ始めたという、フンボルト州立大学の学生さんかな。
写真を撮っていたら気づかれちゃった。
振り向いた彼女が少し笑ってくれたので、もう一度シャッターボタンを押して手を振った。
村上春樹の翻訳者で作家のレイモンド・カーヴァーやスポンジ・ボブの作者、ステファン・ヒーレンバーグもここの卒業生。
スポンジ・ボブが好きな甥っ子の話を友人にしていたら教えてくれた。
どうやら、アニメーターになるまで海洋資源や生物学の研究や教鞭をとっていたらしい。
なんでそこからアニメへ? って思ったけど、気になったのでネットで調べてみたら海洋研究の経験を経て、フンボルト州立大学を卒業したのち、カリフォルニアの美大でアニメの修士号まで取得したという徹底ぶりだ。
スポンジ・ボブの原案は海洋研究所に勤めていた頃、留学生向けの学習資料として描いていたコミックが元になっていたらしくて、記事を読みながらそんな先生好きすぎる! って思った。
携帯をしまって、樹齢何十年にもなるレッドウッドに囲まれたテーブルを見つけた。
見晴らしの良いリモートオフィスに良さそうなロケーションだ。
今度ここで絵を描けたら気持ちいいだろうな。
「ちょっとこれ見て、わたしたちみたい」
「あはは本当だ」
「キャップを被っているのはわたしたちだけど」
トレイルのサインに落書きがしてあって、犬に帽子が被せてあった。
沢を2つ、橋を4つ、上り降りを何度も繰り返して頂上にたどり着く。
三叉路に分かれた道を来た道から見て左に曲がる。
これがスタート地点に戻るルートになるらしい。
どこの入り口からも一番遠い距離にある頂上付近、木がよりうっそうとそして高く高く密生していた。
木漏れ日の中でここまで涼しく歩いていたいたけれど、目の前に突如鋭く差し込む光が現れて
「God Rays」
友人がそう言った。
初めて聞いた表現だったけど、それ以外に当てはまる言葉はないんじゃないかと思った。
昔から、人々は自然界のある一定の条件に出くわしたとき、今のわたしたちと同じような神聖な気持ちになっていたのかなと思いを巡らせた。
日本語でも神の見えざる手や、神の御業や根拠はないけれど、超越的な存在や説明がつかない出来事を表す言葉がある。
時々こうやって使う言語は、違くても表象される概念や理念は国を超えて共通することがあるとわかると少し嬉しくなった。
犬はどう思っているかわからないけれど、写真を撮りたくて立ち止まっていたらこちらに気づいて振り向いた。
車まで戻り、スマートバンドのステータスを確認した。
11,601歩。
高低差があったせいか、歩数は思ったより少ないが心拍数は180以上。
ジムでランニングしている時より心拍数が高く、カロリーは700kcal以上消費したらしい。
「帰り道Wildberriesに寄ろうよ」
わたしの大好きなアルケータのオーガニックスーパーだ。
まだマスクをつけて入店。
目当ての列に直行して
「あった!It’s it!」
my mochiを食べてからアイス欲が高まっていたわたし。
このチョコミントクッキーアイスが食べたくて仕方なった。
一度溶けかけたIt’s itを冷凍庫にしまって、夕食後のデザートに備えておく。
友人とシェアしたアイス、うつわにスマイルを残して消えていきました☺︎
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Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。