Today’s the day

Couch Surfing Club #24
西海岸ロードトリップ編

Today’s the day

Contributed by Yui Horiuchi

Trip / 2023.01.12

海外へ何度行ったって、旅慣れなんてない。旅で出会う全ての人にフランクに接し、トラブルだって味方につける。着飾らず等身大で、自分のペースで旅を楽しむアーティストYui Horiuchiさんが、サンフランシスコからポートランドまでの旅の記録。

#24

渡米して二週目の朝。
ようやく陰性反応、晴れて自由の身!!



今度こそは正真正銘(?)はっきりとした一本線を確認した。
15分30秒経って確信を持ってから皆に報告。

ただし、旅の相棒はまだ陽性反応。
三日遅れで陽性になったことだから、今回も三日遅れで陰性になるのかもしれない。

まだ外食には行けないけれど、家でお祝いしようって話になった。

わたしは犬を連れて家の近所へ散歩へ。
40分も闊歩して散歩している間、突然通り過ぎたトラックの運転席の窓から
「リッジバック!!!!!」
散歩中の犬の犬種を叫ばれた。
声のする方へ顔を上げると、運転席の男性がサングラスごしの満面の笑みでこちらを見えていた
「ああ、そうそう!」
交差点で一時停止したままの彼は、笑ったままの顔をこちらに向けて後部座席を指差した。
無音で後部座席の窓が降りていき、まるで舞台の幕が上がった時のような登場で一匹の犬が現れた。

毛もふさふさでより色が茶色く、わたしが一緒にいる犬より2倍近く大きい顔がこちらをただただ凝視していた。
見ただけでオス犬だと分かった。

「あーー!!リッジバック!!」
わたしも後部座席に向かって大きな声をあげる。
車中の飼い主が満面の笑みになる理由もわかった。
「おとなしくリードつけてお散歩してお利口だね〜」
「あはは」
「いい一日をね!」
「あなたも!」
陰性になりすでに素晴らしい1日だ! なんて思っていたのに、これでさらにハイになった。



共通点を見つけて交わした短い会話と出来事は、散歩中の楽しい出来事だった。

『いま別のリッジバックに会ったよ』
そう外出中の友人にテキストする。
すぐ既読になった。

返事が来る前に
『natural food storeでわたし達をピックアップしない?』
『もちろん、5分後に』
『いいね、じゃあ駐車場で』
わたし達が交差点で信号待ちをしている間に、友人の車が目の前を通り越して行った。
『どこ?』
『わたし達のこと通り過ぎて行っちゃった』
Uターンしてくるタコマの中でこちらに手を振る友人。
結局わたしが先に店に着いて友人の車が再到着するのを待っていた。

目的の精肉コーナーに立ち寄り厚切りのステーキ肉を吟味。
そばで黄色に黒のドット柄のワンピースを着た女の子がくるくる回っていた。
スカートが体を軸にバレリーナのチュチュのように広がって輪を描く。
「周りの邪魔にならないようにしなさいよ」
「オッケー!」
そう言った瞬間、通路のど真ん中を占領してくるくるし始めた。
「くくく」
パン売り場のコーナーに押しやられたわたし達は1lbのNew York Wagyuを片手に、付け合わせの野菜のコーナーに行くまで女の子にぶつからないよう通路の端の方を歩いた。
「あっはっは、超おかしかった今の子、お母さんに周りの邪魔にならないようにって注意された途端、オッケーって言いながら自信満々に真逆のことしてたね」
「ほんとだね、あ、家にクミンがあるからオーブンでノンフライポテト作ろうよ、じゃがいもこれでいい?」
「うん、だいたいこれで1lbくらい、ちょうどいいと思うよ」
そのほかにもスナックエンドウやグリーンオニオンを買った。



今日は友人が昼食を準備してくれるそうだ。
二週間ほぼ毎食自炊をして、誰かが作ってくれるご飯はとてもありがたかった。
そして旅の疲れも相まって牛肉なんてとても食べられそうにもなかったけど、今は自他共に回復を認めて高級US和牛を贅沢に食べ切る自信がある。
わたしも張り切って、スープとサイドディッシュを用意した。



100点満点◎
あとは旅の相棒の回復を待つのみだ。


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