Clam Beach

Couch Surfing Club #27
西海岸ロードトリップ編

Clam Beach

Contributed by Yui Horiuchi

Trip / 2023.02.02

海外へ何度行ったって、旅慣れなんてない。旅で出会う全ての人にフランクに接し、トラブルだって味方につける。着飾らず等身大で、自分のペースで旅を楽しむアーティストYui Horiuchiさんが、サンフランシスコからポートランドまでの旅の記録。

#27

友人と二人、コロナ陽性からは無事に回復したものの、わたしの諸症状がまだ落ち着いてなかったのでティッシュが手放せない生活は未だに続けている。
すぐまた旅路につくこともできたけど、免疫が弱まってそうなので大事をとってもう1週間友人の家に滞在しようと話した朝。
わたしも賛成だ。
ぐずぐず長引かせるようなら集中して鼻水や咳も治してしまって旅中の食事やエンタメも万全なコンディションで満喫したかった。

そんな話し合いの末。
「今日はどこに散歩に行こうか」
「Clam beachまだ今回行ってないよ、天気もいいし行かない?」
「いいアイデアだね、そうしようか」
「じゃあお昼食べたら出かけよう」
「オッケー、お昼何食べたい?」
「あーなんでもいいけど軽めがいいかな」
「わたしは気分的にパッタイ食べたいんだけど、どう?」
「いいね、そしたら麺少なめにしてくれると嬉しい」
「了解!」

わたしがパッタイを作る時の個人的なこだわり。
①パッタイの麺は絶対水で戻さないで茹でるに限る
②麺の水分を飛ばすのに炒める時は具を避けて油をしき直す
③すぐ食べる時しか作らない(時間が経つと麺がくっついて大きな団子状態になってしまう)


こうするとだいたい美味しく出来上がる。


今回の滞在で日本から持ってきてとてつもなく重宝したのが、キクラゲ、どんこ、充填豆腐。
自炊はアジアン料理の方がレパートリーが多いので具材に使える幅が広くて助かった。
豆腐は片栗粉をつけて軽く揚げておいたので揚げ出し豆腐のように衣にソースが絡んで美味しい。
高野豆腐も持ってきてたけど自主隔離中に作り置き惣菜として使い切ってしまった。
乾物類はひじきや米粉麺などパッキングした時嵩張っても軽いし、なんだかんだで持ってってると胃腸が疲れた時に持ってきててよかったと心底思うことが多い。
一度の滞在期間が長い旅行スタイルなので余計素朴な味付けの家庭料理が恋しくなるのかもしれない。

仕事部屋にいる友人に聞こえるように大声でキッチンから
「LUUUUUUNCH!!!」
と叫ぶ、気分は食堂の女将さんだ。

昼食を済ませ、念のため羽織りとジャケットを持って家を出る。

フンボルト郡は地域的に年間を通してずっと同じような気候で、極端に暑くなったり寒くなったりしないとは友人からよく聞いていた。

平均的に涼しいといった方がいい気温で体調さえ良く慣れてしまうと夏の格好もできる。

移動の90%が目的地まで車移動がメインのこちら。
行きや帰りは少し肌寒くても羽織やスウェットを車に放り込んでおけば大抵困ることはない。

少し息の上がるハイキングや汗をかくほどの運動をするのには非常に適した環境だと思った。



アルケータ空港の脇に伸びる歩道を駐車場からビーチに向かって歩く。
「今日は想定歩数何歩?」
「確か去年8000歩くらいだったんだよね、それくらいかな」
厚めの霧が空を覆っていた。
海からあがってきた蒸気が山風で冷やされて滞留してるのだろう。

陽に当たると暖かくて、クリスピーな海風が肌に当たって気持ちよかった。
一旦馴染んでしまうと東京の夏をどうやって過ごしていたのか思い出せないくらい快適である。



ビーチの入り口が見えてきた。
海側ははっきりと霧が晴れているようだ。

水は嫌いだけど砂浜が大好きな犬も喜び勇んでビーチ目掛けて走っていく。



それでも気温30度を超える日が夏場に1日、2日はあるらしい。
そういった日に初めてビーチの駐車場が満車になるくらい海水浴にくる人がいるそうだ。

Hillar Parkから見えていたMad River が海と交わる入江で海水と淡水が対流を起こして太陽光を反射して煌めいている。
ここがいわゆる塩水湾 - salty water bayだろう。



大きく浸食されて削られた湾岸を隔てて中洲が広がっていた。
壮観な眺めを前にサイクリング中の男性も立ち止まり、わたしと同じように写真を撮らずにはいられなかったようだ。



中洲の川側には日光浴中のアザラシたちが無防備に腹を出し寝っ転がっている。
思えばいつも同じ一帯で休んでいるようだったけど、なんで中洲の海側や真ん中じゃなかったんだろう。
外敵から身を守りやすいとか人間の目には見えない自然界のルールが存在しているようだった。

犬も好き勝手に砂浜の探索をして楽しんでいた。




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