Vive les vacances ! ~Time to spare Heart to spare~ #11
lockout!
Contributed by Mizuki
Trip / 2023.01.25
バカンスを生きがいにし、「暮らし」や「人生」に豊かさを求めるフランス人の生活を表す言葉。そんなフランスに留学中の大学生Mizukiさんが、現地から仕事やお金に執着せず、日々の生活をどう楽しむか、豊かな暮らしを送るヒントをシェア。
#11
マルシェに出かけた日曜日の午後、天気も良いので外を散歩することにした。しかしあるハプニングが、、、。
散歩に出かけるだけなので、お財布と携帯だけを持って部屋を出た。部屋を出ていつも通り外から鍵を閉めようとした。すると部屋の中に鍵を置き忘れたことに気づく。すぐに部屋に戻って鍵を取りに行こうとするがドアが開かない。
“Mince!”(しまった!)と思った。
寮のドアはオートロック式になっていて、一度ドアを閉めると鍵がない限り外から開けることはできない。
フランスに来て早々閉め出し(笑)
平日であればロビーの管理人さんに言えばすぐ解決するのだが、選りに選ってこの日は日曜日。入寮時にもらった管理人さんの連絡先は部屋の中だし、寮に入ったばかりでまだ近所の連絡先すらも知らない。
でもスペアキーがあるのはロビーの受付。誰かいるかも?という僅かの可能性を信じて一階に降りた。でもやっぱりロビーは “Fermé”(クローズ)だった。
ちょうどその時、寮の外庭で作業をしている男性を見つけた。どう見ても寮の事務とは関係なさそうな人だったが、一か八かで助けを求めることにした。
事情を説明すると、申し訳なさそうに「僕は鍵を開けることはできない」と言われてしまった。でも「心配しないで、一緒になんとかするから!」と言って他の同僚も呼んでいてくれた。
すると、幸いにも彼の同僚がたまたま受付内にアクセスできる鍵を持っていたのだ!本来であれば、鍵を持っていたとしても管理人以外が受付に入ることは許されない。それでも「僕たちだけの秘密だからね」と言ってスペアキーを素早く持って来てくれた。
「助かった!」と思った。
早速鍵を試しに部屋の前まで戻った。すると鍵がなかなか刺さらない、、、
もう一度確認すると、 違う棟の私と同じ部屋番号の鍵を持って来ていたことに気づいた。なので再びロビーに戻り正しい鍵を探しに行こうとした。
すると、男性が受付用の鍵が手元にないことに気づく。気づかずそれを受付のドアに刺したまま出て来てしまったのだ。私がやった事と全く同じことだ。
これによって部屋に戻れない可能性が更に高まってしまった。私にとってはもちろんそうだが彼らにとってはもっと重大な事件だ。なぜなら、本来の決まりであれば彼らが受付を開けることは禁止されているからだ。勝手に受付に入ったことがバレたら大変だ。
私のウッカリで彼らまで巻き込む結果になってしまった。
彼らに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。そして謝ると、“Ne t’inquiète pas” (心配しないで、大丈夫だよ)と言ってくれた。
そう言ってしばらくすると、2人は工事の作業で使う木や鉄の棒を持ってきた。なぜなら、受付のガラス張りにほんの僅かな隙間を見つけたからだ。そこから棒を使って鍵を取り戻そうというのが彼らの戦略だ。正直、その小さな隙間からドアノブに刺さった鍵を取り除くのは不可能だと思った。しかし普段の工事作業で鍛えられているのか、棒を素手で折り曲げたりして工夫を凝らしながら鍵の回収に努めたていた。
その結果なんとドアノブに刺さった鍵を取り外すことに成功した。でもその勢いですぐに鍵が床に落ちてしまった。もう外からはどこに鍵があるかほぼわからない状況になってしまい事態は更に深刻に。それでも彼らはめげずに鍵の救出を続けた。
この日はもう部屋に戻れないことを覚悟した時、「チャリン」と音がした。
鍵の回収に成功したのだ!
ハプニングの連続だったが、やっと部屋に戻ることができた。全ては彼らのおかげ。私のウッカリで起きてしまったことなのに、私を責めることなくむしろ親身になって全力で助けてくれた人達。そんな人達に巡り会えて私はラッキーだ。思い切って話しかけてよかった。
せめてお礼に何か渡したい!そう思って日本から持ってきた「柿ピー」をプレゼントした。なぜ「柿ピー」か?それは前回の留学で評判が良かったから。フランスでは “Apéritif” (アペリティフ)と言って食前にお酒 (食前酒) とおつまみを楽しむ文化がある。「柿ピー」はそののおつまみに最適なのだ。フランスに留学予定人がいたら是非参考にしてほしい☺︎
リヨンに来て早々のハプニングでヒヤヒヤしたが、悪い思い出ではない。むしろ良い経験だったとも思う。
もう鍵は忘れない!(笑)
締め出しになる前 (笑)マルシェで買ったフルーツ。
À bientôt!
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Mizuki
東京の大学に通う21歳。純ジャパフレンチガール。生まれも育ちも日本、フランス語経験もゼロだったが、16歳でフランスへ留学。大学生となった今、再びフランスに留学中。慌ただしい日本の生活とは異なり、時間がゆったり流れる「バカンス大国」=フランスならではのライフスタイル、人生の楽しみ方、について留学体験と共に発信中。趣味は食べること、ダンス、ボクササイズ、ワイン(詳しくなりたい)。