Lukas Jayan Geneser

Interview File #01

Lukas Jayan Geneser

Contributed by Haruki Takakura

Trip / 2023.02.24

留学支援、就職支援があるなら、ギャップイヤー支援があってもいいじゃないか。
そんな想いから、様々な*ギャップイヤーの形を伝えるインタビューファイル。

Interview File #01 Lukas Jayan Geneser



Self Introduction



ルーカスです。周りのみんなは、ルーカスやジャイアンと呼ぶことが多いね。笑
デンマークのコペンハーゲンに住んでいます。今は、社会福祉士になるために4年制の大学に通っている2年生です。


ーありがとう。ルーカスは今の学校に入学する前にギャップイヤーを取ったんだよね。

実は二度ギャップイヤーを経験していて、一度目が高校卒業後で二度目が今の大学への入学前。


正直、高校を卒業した時点で、大学で何をしたいかがわかっていなかった




ーどうしてギャップイヤーを取ったの?

ぼくは、2015年に高校を卒業してから、約1年間のギャップイヤーをとって、そのあとに介護専門学校に2年間通ったんだ。正直、高校を卒業した時点で、自分がこの先の人生で何をしたいのかわかっていなかった。もっといえば、自分は何が好きで何が嫌いかすらわかっていなかったんだ。だから、まだ将来進む道を決めるには、準備が全然できていないと感じて、ギャップイヤーを取ることにしたんだ。


ー大学入学前から自分の将来について考えていたんだね。

そうだね。だって、そもそも大学という選択肢は「必ずしも」通らなければいけない選択肢では無いからね。特別にしたいことがあればその専門学校だとか、いろいろな選択肢があると思ったんだ。





ー疑問が2つあるんだけど、答えてくれる?ルーカスやデンマークの人たちにとって
・ギャップイヤーという選択肢は一般的なの?
・大学はどういう場所と捉えられている?


もちろん。


ーまずは、デンマークでのギャップイヤーについて。

デンマークでは、ギャップイヤーはとてもコモン(一般的)な選択肢だと思う。僕の周りの友人たちもそうだし、両親ともギャップイヤーをとっているね。
そして、多くの人が1~2年くらいの期間を選んでいると思う。みんな、海外旅行や働く経験を通して、自分の好きなこと、嫌いなこと、したいこと、したくないことについて考えるんだ。

さっきも言った通り、大学は必ずしも必須ではないし、幸せに繋がるわけでは無いからね。ただ、大学に行くメリットはいくつもある。だからこそ、本当に大学に行くのが一番幸せなのか、はたまた、大学では何を学ぶのが一番幸せなのか、などを考えるためにギャップイヤーを取るんだ。


ーなるほど。大学に行く前にしっかりと自分の意思を確認するんだね。そもそも、デンマークでは大学はどういう場所だと捉えられているんだろう?

これは、デンマーク全体としての答えというより、個人的な意見になるけど、ソーシャライジングを学ぶ場所、つまり、色々な社会を知って、色々な人との付き合いを通じて様々なことを学ぶ場所かな。
そして、大学で過ごす数年間は、ちょうど大人になるという自覚を持つ年齢くらい(18~20歳)に経験する貴重な数年間の機会だと思う。だからこそ、その機会を無駄にしてはいけないという思いはあるね。


ー貴重な機会だと捉えているからこそ、大学入学前にギャップイヤーを取る学生が多いんだね。

やっぱり中には、世間一般の流れで、高校卒業後に大学に行って、「自分は何がしたいんだっけ」という風になって、ドロップアウトしてしまう学生もいる。この貴重な期間をうまく活かすためには、ギャップイヤーを使って自分の人生としっかり向き合ってから大学に入るのでも、決して遅くないと思う。

ギャップイヤーの期間は、人生の休憩だったりと、色んな意味合いを持っているし、自分のペースを作ることができる機会になる。

もちろん、「皆んなより遅れちまったなー、、、」とも思うかもしれない。でも、実際には全く遅れていないことにも気づかなきゃいけない。


ゆっくりと自分を理解したギャップイヤー




ールーカスは、ギャップイヤー期間に何をしていたの?

2回ギャップイヤーがあったから、順番に説明するね。
一度目のギャップイヤーは大学に入学する前。そこでは、半年間の老人ホーム勤務と半年間の*フォルケホイスコーレでの生活を経験したんだ。この期間では、自分が何をしたくて、何をしたくないのかを学んだね。

例えば、日本語を学べるフォルケホイスコーレに行ったんだけど、僕は言語をメインで勉強するタイプではなく、何かを学びながら趣味で言語を学ぶ方が性に合っていると思ったんだ。
だけど、ホイスコーレのプログラムで過ごした2週間の日本での生活は、とても自分に合っていて、改めて日本が好きだと思った。特に、馴染みのない言葉が溢れる日本で、その時は愛知に行ったんだけど、1人でホームステイをした経験はとても印象的だったね。いつか、ここに戻って来たいと思えた経験だったよ。





二度目のギャップイヤーは、介護専門学校を卒業して、実際に介護士として働き出して2年経った頃かな。その時には、フォルケホイスコーレで行った日本のことが忘れられず、ワーキングホリデーを使って、日本に行くことにしたんだ。
そこでは、『本当に自分がしたいことが何か』という問いに向き合えた気がする。もちろん、日本が大好きだという気づきも改めてあったよ。笑

ただ、日本で介護士として働く経験を通じて、日本で介護士として働くのは少ししんどいように思えた。そもそも、介護士が自分のしたいことではないかもしれないと気づくことができたんだ。働く準備は十分に出来ていたんだけどね。

だけど、介護士という仕事に対しては、どこか「違うかもしれない」と思うところがあったんだ。そんな時に日本で介護士の経験をして、自分には専門的な職務だけではなくて、もっと勉強して知識を増やすことが必要だということに気付けた。だから、帰ってから大学に行くという決断をしたんだ。いくつか選択肢があった中、自分の幼少期の経験などから、分野は社会福祉というフィールドを選んだんだ。

これは、完全に『自分の意思』でした納得のいく決断だったね。


ーなるほど。日本で働いた経験で、その業界のマイナス面もプラス面も知って、自分の進むべき道が決まったんだね。

そう。だから、1年間あったワーキングホリデー期間を切り上げて、半年でデンマークに戻ったんだ。もちろん、本当にこれが正しい決断だったのかってすごく悩んだけどね。

でも、今はあの時の決断に後悔は全くない。あの時に向き合った自分の意思のもと、学びたかった社会福祉に携われているのは本当にいいことだね。
ギャップイヤーをとって日本に行ったことは、ハルキ(インタビュワー)との出会いにも繋がる本当に大きな経験だったしね。笑

あの時の決断がなければ、今の自分は居ないよ。周りの声を聞くだけだったら、、、ね。
自分の選択にこれまで以上に自信を持てる様になったのもこの経験のおかげかな。


今後の目標




ー今後は何かプランがあるの?

まずは、今とっている学位をしっかり取り切ることだね。笑
そのためには、職場体験もしなきゃいけないね。その先は心理療法士・セラピストになるために学校に行くことも今のプランでは考えているよ。でも、いつプランがどう変わるかなんてわからない。もちろん、国境が開いたら日本に行きたいしね。笑

でも、今は18歳〜30歳くらいの心に病や苦しみを抱える人たちを、教育機関や職場に戻してあげる支えをするために、セラピストになることを第一に考えてるんだ。色んな人の良いところ・悪いところを気付かせてあげて、自分が支えてあげるんだ。


*ギャップイヤー(Gap year )とは
自ら作り出す空白の期間のこと。
この期間に、留学・海外旅行・ワーキングホリデーなど、普段の大学生活や社会人生活ではできないことに挑戦することができる。
現在では、大学入学前/在学中の休学/卒業後も含めて、空白の期間をギャップイヤーと呼ぶことが多い。

*フォルケホイスコーレ
大人の学校とも呼ばれる、北欧独自の教育機関。
試験や成績が一切なく、民主主義的思考を育てる場である。
加えて、全寮制や学費の一部を国が負担してくれるなどの特徴もある。

(この記事は、2021年に行われたインタビューをもとに作成しています)


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