ブルーの扉

Gloomy day All day #3

ブルーの扉

Photo & Text: Aya Ueno

Trip / 2023.02.17

フォトグラファー/ライターの上野文さんが、過去のイギリス留学の様子を綴ったContainer WEB人気連載『Greenfields I'm in love』。全74回の連載を終え、今回からは2021年の冬に過ごしたロンドンでの2週間をお届けします。大好きなロンドンでの、小さな「きっかけ探し」の旅。

#3

ロンドンに到着し、数日間お世話になるきょんちゃんの住まいに着いた。
トランクを開けて、頼まれていたカートンのタバコや、日本のお土産を渡した。きょんちゃんもお土産を用意してくれていた。彼女のベッドの上はお土産でいっぱいになった。

冬のロンドンはあっという間に日が落ちる。辺りは真っ暗になって、私たちは夜ごはんを食べに外へ繰り出した。



イーストロンドンの方まで、きょんちゃんの家から歩いていける。きょんちゃんおすすめのピンク色のネオンが光るバーへ行った。ここはお酒しか出ないから、なんと外の食べ物を持ち込んでいいんだって。私たちは近くにお店があったピザ屋さんでホールピザをオーダーして二人でシェアした。




ピザを手にしたきょんちゃん


ファーストドリンクは、カンパリをオーダーした。イギリス人はカンパリ好きな人が多いと知り合いが言っていたのを思い出したのだ。

きょんちゃんは息をする暇もない勢いでおしゃべりする。表情を次から次へと変えて話す彼女はかわいい。


あやちゃんをここに連れていきたかったの!ときょんちゃん。


次の日。きょんちゃんは朝から学校へ、私は彼女の学校が終わるまで一人であそぶ。ロンドンは日本よりずっと寒い。部屋にある小さなボイラーはじんわり温かい程度で、布団から出るのが億劫だ。重い腰を上げて顔を洗いに行くと、昨日のバスタオルはまだ乾いていなかった。



きょんちゃんはサンドイッチを作ってくれた。


きょんちゃんが作ってくれたサンドイッチはラップに包んで持って行くことにした。彼女と一緒にお家を出て、バスには乗らず、ショーディッチまで歩く。しばらく歩けば、寒さも気にならなくなってきた。まだ朝の8時過ぎ。前に好きだったコーヒー屋さんへ行って、今日のプランを立てよう。

そのコーヒー屋さんは、なんという名前だったか、ぼんやりした土地勘とブルーのドアだったことだけを覚えていて、わたしはその曖昧な記憶を辿ってカフェを目指した。

途中、アトリエを見つけて、ふらっと入ってみた。


素敵なTO DO LISTが黒板に書かれていた。


アトリエのオーナーが、色々と案内してくれた。そして彼は、そういえば君、これはなんて読むんだろうと聞いてきた。



ワークショップの部屋のドアには、静けさと書いた木片がかけられていた。生徒の一人が作ったもので、意味を知らなかったけど、きっといい意味だろうと思ってたんだって。わたしは、calmとか、silenceという意味で、綺麗な言葉だと思う、と言った。

アトリエにはアンティークのインテリアも展示されていて、私はそれらをみてまわったり、またおじいちゃんとおしゃべりをしたりしてしばらくそこに滞在した。
またね!とその場を後にする時、お土産に版画で刷ったような可愛いデザインのマップをもらった。

ずんずん歩いていると、私の知っているブルーの扉が目に入った。気のせいかもしれないけど、前はもっと濃い青色だった気がする。


CLOSED



営業時間的には空いてるのに、そこはシャッターが降りていた。残念、、、肩を落としていたら



シャッターが空いた!笑


嬉しくて厚かましく外で待っていたら、女の子が扉を上げて、入っていいよと言ってくれた。

そのカフェは、Paper and Cupという名前だった。以前可愛い机や席が並んでいた小さな店内には、ヴィンテージクローズやアクセサリーが並んでいた。店員の可愛い女の子の名前はTeddyといった。「コロナで経営が難しくなって、カフェ兼ヴィンテージショップになったの。かわいいし、サステナブルでしょ」といった。




「ひまわりが大好きなの」



店内には椅子がひとつもなかったが、私はコーヒーが飲みたかったから、テラス席に座ることにした。寒い空気が、逆に心地が良かった。



ノートの上にあるのが、さっきアトリエでもらったマップ。



しばらくゆっくりして、きょんちゃんに作ってもらったサンドイッチを食べる。体がしっかり冷え切った頃お店を退散した。このカフェにまた、来れて良かった!




つづく!


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