失踪したくない? 台湾で

To Me, Somewhere in the World #75

失踪したくない? 台湾で

Contributed by Yoko

Trip / 2023.04.19

『“今”の心地よさを一番大切に』
未知なモノすべて知らないことを知りたい、自分に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#75


1か月ほどの北海道滞在、その合間で3度目の台湾にやってきた。今回は台北。


人っこ一人いない瞬間もあった新千歳空港。


新千歳からの直行便を利用してみたら面白かった。福岡の時も思ったが、地方空港からの海外旅は割と便利だ。人の絶対量が少ないので快適なのである。


日影ロード。



齊文藝室(コワーキングスペース)。


いつものごとく気乗りするようなしないような、悩んだ末の渡航ゆえ、ほぼノープラン。事前に予約を入れておいたアクティビティは一つだけで、結局、九分も十分も台中も台南も高雄も猫空も行かなかった。

では何をしていたかと言うと、ただ自由に街をぶらぶらしていた。ホステルからホステルへ移動する合間に街を歩いて、ご飯を食べたり、コワーキングスペースに入ってみたり、タピオカを飲んだり。街中の建物はどこもひさし部分が大きくて、ずっと日影みたいな通り道だった。


反対側の通りに見えた「北海道」。


小さなことで幸せを感じられるようになりたい、というのは最近のテーマだ。旅先での一つひとつの喜びは、「住んでいる」と思っている場所で同じことをしてもなぜか同じように思えない。

海外みたいな日本みたいな看板の数々で溢れる台湾でさえ、台湾でなら、ほんの些細な発見や一つひとつのコミュニケーションが「来てよかった」と思えるくらいに嬉しかったのに。Day0は深夜にホステル着だったのだが、夜勤のお兄さんが「疲れたでしょ?」と日本語で声をかけてくれてびっくりしたし、和んだ。


李製餅家のパイナップルケーキ。20元。



6食たべてダントツ美味しかった天天利美食坊。


街を歩いて、買い食いして食べる小さなパイナップルケーキ。ひたすら探し求めた魯肉飯。外国の子供の「謝謝」に全力で返す食堂のおばちゃんたち。「北海道」や「札幌」の看板。マッサージ中に、日本語と中国語で同じ意味の言葉を教えてくれるおじちゃん。マッサージを受けたあとの「疲れ取れた?」「最高?」「うん」のやり取り。親切なコンビニのお姉さん。そしてたまに本気で言葉では通じ合えない人たちとのコミュニケーション。

そういう全てにくすりとする。


バスで北投温泉に。普通に乗降できた。



日影を歩く。


そして会った人はほぼみんな、初見は中国語で話しかけてくるけれど「わからない(ごめんよ)」の顔をすると日本語/英語どちらかで返してくれた。そんな対応に嬉しさを感じつつ、でも果たしてこちらは同じことができるのだろうか(いや、できない)と考えて、やや複雑な気持ちになった。

与えられてもらってばっかり、と思うけれど、彼らにとっては日常なわけで、さらに考えさせられてしまった。


このおにぎり美味しすぎた。


それほどSNSに行動をアップせずに過ごした6日間。SNSとつながらなくても日本とつながったままのような台湾で、ぼーっと心地よく過ごすのは難しくない。あたたかい人たちがたくさんいるから。



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