Golden Bear

Couch Surfing Club -西海岸ロードトリップ編- #41

Golden Bear

Contributed by Yui Horiuchi

Trip / 2023.05.11

海外へ何度行ったって、旅慣れなんてない。旅で出会う全ての人にフランクに接し、トラブルだって味方につける。着飾らず等身大で、自分のペースで旅を楽しむアーティストYui Horiuchiさんが、サンフランシスコからポートランドまでの旅の記録。

#41

家を出発してから1時間、海岸沿いを北上していく。
4つのラグーンを通り抜け、カリフォルニア、フンボルト郡の最北端まで来た。



「ここら辺にアメリカで二番目か三番目に大きな木があるんだけど聞いたことある?」
「いや、全然知らないけど、言われてみれば確かにありそう」

レッドウッド国立州立公園の入り口にはたくさんの車が停まっていた。
州立公園一帯は樹齢200年前後の手付かずの赤杉群生地帯が広がっている。

サイクリングを楽しんでいる初老のカップルや、トレイルの入り口でルート確認をしている家族連れなどアメリカ内でも有名な観光地のよう。
平日の午前中にもかかわらず賑わっている。



駐車場から溢れる車列を通り過ぎ

「実はここにも秘密のスポットがあるんだよね、確かここら辺なんだけど…」

どうやら大きな木の所在は多くの人にアナウンスされていないらしい。
対向車も減ってきたレッドウッドの並木から溢れる木漏れ日の中を進んでいく中、友人が車を停める。

「きっとここだったはず」

シダが密生する道なき道を勘を頼りに下っていった。

「ここで本当にあってるのー?」

興奮して先を小走りで行く友人の姿が遠くなっていく。

「あったよーーー!」

茂みを抜けるとせせり立つ巨木が目の前に現れた。
枝別れしている木の枝がもはや普通の木のサイズ。
大きすぎてカメラを広角にしてもリアルには伝わらない。



「ポカホンタス見たことある?」
「あるよ、だいぶ子供の頃だけどね」
「こういう木の精霊が出てきて色々教えてくれるんだよね、まさにこのくぼみみたいなところにおばあさんの顔があるの」
「確かにそんなキャラクター出てきたかもしれない」

立派な幹の根本を一周して足元にせせらぎを見つけた。
一時期、長距離トラックの運転をしていた友人。

「よくここら辺でデリバリーしてた時は、このせせらぎに立ち寄って水行を楽しんでたんだよね。当時は気がつかなかったけど、人の声が聞こえたことがあって川の1mすぐくらいのところがトレイルだって最近知ったんだよね」
「ほんと裸で川に入るプロだね」
「あの時はさすがにバレたらやばいなとは思ったよ」
「見つかったらみんなびっくりしただろうね」



「アメリカで一番大きな木って安全のために所在が公式に公開されてないんだよ」
「へえ、保全のため?」
「そう。公開したらすぐに観光地化してとんでもないことになると想定してるんだろうね」
「でもなんでその木が北米最大って、知ってる人は知ってるの?」
「テレビのドキュメンタリーとかでは見るんだよ、研究者の人たちしか分からないように編集されてるんだけどね」

車中に戻りそんな話をした。
州立公園を抜けるとすぐにカリフォルニア州海岸沿い最北端のデルノルト郡だ。
州旗にデザインされてるカリフォルニア・グリズリーベアの金の彫刻が設置されている橋を抜けてカリフォルニア州最北の郡へ。



「Good Bye Golden bear A**!」


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