Vive les vacances ! ~Time to spare Heart to spare~ #21
Beauty is pain ~high heels on a rainy day~
Contributed by Mizuki
Trip / 2023.05.17
バカンスを生きがいにし、「暮らし」や「人生」に豊かさを求めるフランス人の生活を表す言葉。そんなフランスに留学中の大学生Mizukiさんが、現地から仕事やお金に執着せず、日々の生活をどう楽しむか、豊かな暮らしを送るヒントをシェア。
#21
2022年9月下旬
太陽のまち=マルセイユからリヨンに戻ると、急に寒くなっていた。旅行に行っていた三日間で気温がぐんと下がったらしい。つい最近までは半袖一枚で歩き回っていたのに、もう上着がないと肌寒いくらいになってしまった。きっと秋の訪れだ。冷房のないフランスのきびしい夏を考えると、暑い夏の終わりが見えて嬉しい反面、なんだか寂しさも感じる。でもこの時期は暑すぎず寒すぎずで、ちょうど良い気候だった。半袖に軽くジャケットを羽織るくらい。
この日は金曜日。いつも通り朝から授業のために学校へ。でもみんなはもうすっかり週末気分で、週末の予定を聞き合ったり、“Bon week-end!”(良い週末を!)と言い合う姿が印象的だった。
私もある友達とそんな会話をした。イギリスからの留学生 Alin(アリン)。彼女とは同じ授業を取っていて、グループワークなどを通して仲良くなった。教室ではよく隣同士で座る仲。
授業中、隣からひそひそ声で「今日の夜何してる?」と聞こえてきた。それに対して特に予定はないと伝えると、「一緒にオシャレしてお出かけしよう!」と、そんなキュートな提案をしてくれた。このような感じですんなりと夜の予定が決まった!
放課後早速出かける準備をしていると、アリンからメッセージが届いた。「今夜何着ていく?」、「決まったら写真送って!」と。また、「一緒にヒールを履いて出かけない?」と提案してきた。ヒールは持っていたものの履くことは滅多にない。またすぐに足が痛くなるのでなるべく履きたくない。なので答えはNO。でもどうしてもヒールで出かけたいと言うので、結局OKした(笑)
なんか高校生に戻ったような気分になった。服の系統を合わせるとか、何か特別なことがあるわけでもないのにヒールを履いて出かけようなんて。そんな彼女の無邪気で可愛いところが好き。
待ち合わせ場所に着くと、私が写メしたグリーンのワンピースにマッチングした、グリーンのジャケットとヒール姿のアリンが待っていた。会った瞬間 “You look pretty”(素敵だね!)とお互いを褒め合った。
ディズニープリンセスの「ジャスミン」のようなアリン
ちゃんとオシャレして街を歩くのは久々だったので気分が上がった。とは言ってもヒールで長時間歩くのは不可能なので Vieux Lyon(リヨン旧市街)にあるバーに入った。そこでは「恋バナ♡」を中心にした。彼女は遠距離恋愛中の彼氏がいる。彼との出会いや馴れ初めなど、全て詳細に聞かせてもらった! 遠距離の難しさはあるが、それでも頑張っている二人。素敵だな。なんと言ってもそれを語るアリンのキラキラした目が「恋をしている目」でかわいかった。
ちょうどその時、同じクラスの Karl(カール)から近くにいると連絡があった。他のクラスメイト何人かで飲んでいるという。なので彼らに合流することにした。カールはクラスのムードメーカーで、出かける度にクラスのグループチャットで居場所を教えてくれる。人を選ばずクラス全員を誘う。そんな心の広いフレンチボーイ。クラス単位で遊びに行けるようになったのは彼のお陰と言っても過言ではない。
店を出ると、まさかの雨が降っていた。旧市街地は石畳になっているため歩きにくい上、雨で滑りやすくなっていた。だから二人で腕を組みながら一歩一歩小股で進んで行った。
そんな中、「せっかくオシャレしたから写真を撮ろう!」とアリンが言った。その時もう足は限界だったが、せっかくなのでそんな無茶振りにも応えた。
途中まで迎えに来てくれたカール
雨だったということもあってヒールを履いてきたのは完全に良いアイディアではなかったかもしれない。だってスニーカーで歩き回る方が断然楽だから。
でも、”Beauty is pain”(直訳:美しさには痛みがある)とアリンは言った。
確かにそうだな。
「痛くなる」ことだけを考えてしまっていたが、それを犠牲に誰かに「素敵だね」と言ってもらえたり、何よりも自分自身の気分を上げたりもできる。実際、私のカメラロールは素敵な写真でいっぱいになった!
たまにはヒールもいいかも。
そんなことを気付かされたフライデーナイトだった。
À bientôt!
アーカイブはこちら
Tag
Writer
-
Mizuki
東京の大学に通う21歳。純ジャパフレンチガール。生まれも育ちも日本、フランス語経験もゼロだったが、16歳でフランスへ留学。大学生となった今、再びフランスに留学中。慌ただしい日本の生活とは異なり、時間がゆったり流れる「バカンス大国」=フランスならではのライフスタイル、人生の楽しみ方、について留学体験と共に発信中。趣味は食べること、ダンス、ボクササイズ、ワイン(詳しくなりたい)。