Gloomy day All day #10
クリスマスにはシュペッツレを
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2023.07.28
#10
犬のジョージの散歩から帰って程なくして、クリスマスイヴのディナーが始まる。私が以前ステイしていた部屋から、みさちゃんという女の子が出てきた。以前はいつもわたしの他に3人くらいの留学生が住んでいたけど、いまはみさちゃんだけらしい。
みさちゃんは、ラスホリ(ワーキングホリデーに応募できる最後のタイミングで来ていること)で少し前にこっちに来た日本人だった。とっても綺麗で、優しくて謙虚な方。海外に住んだことはなく、英語もまだそんなに話せなかったけど、とにかくジェスチャーや翻訳機、あらゆるものを駆使してたくさん話していた。心のこもったみさちゃんの英語は、あったかくてちゃんと相手に伝わる。
ともかく、ディナーが始まった。ラ・フランスにジャムを塗ったアペタイザーから。こっちのラ・フランスは甘すぎず瑞々しいしいから、甘酸っぱいジャムとよく合った。
メインディナーは、シュペッツレというドイツの伝統料理。お昼すぎからウィルとカトリンが2人で協力して作っていたものだ。小麦粉と卵と塩しか使わないパスタで、縮れた柔らかい麺。これにビーフのワイン煮をたっぷりかける。
サイドにはお馴染みのボイルドポテトとブロッコリー。このおうちでは、小さなポテトや芽キャベツがいつもあった。いかにもドイツの家庭って感じだ。
とっても美味しくてお代わりした。
夜はみんなでサンタさんのスナックを用意した。ミンスパイとミルク、トナカイ用に、にんじん。お皿の端に、オーツ麦。何でオーツ? とウィルに聞けば、雨が降っている時はオーツ麦を添えるんだと言った。これを書くのを機に調べてみたけど、そんな記事はどこにも上がっていない。どこの文化なのか、このお家だけなのか、謎はあるけどなんだか可愛い。
この家では、クリスマスイヴに家族から、そしてクリスマス当日は親戚とサンタからプレゼントがもらえる。今年、クリスマスイヴにリリーとポーリーはついに、ウィルたちのお古の携帯をもらった。さっきからうんざりするほど、早く欲しいと言っていたのはそれだった。携帯は、wifiを入れないと使えないsimが入ったものだけど、やっと手にした携帯を2人は大切そうに握り、すぐに二階へ行って友達とチャットしたり、Snapchatを送り合ったり、お電話したり。リリーの部屋でその電話をずっと聞いていたら、かったるそうに、しょうもない愚痴を話している。あまりにもどうでもいい内容なのが返って笑えちゃって、多分わたしはずっとニヤニヤしてた。
夜は長く、大人はいつまでもお酒を飲みながらおしゃべり。わたしは1時くらいに退散したが、みさちゃんはもっと長い間ウィルとおしゃべりしていた。
明日はついにクリスマス! たのしみだ。
つづく!
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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