新しい街 heiligensee

Flohmarkt am Wochenende!! #12

新しい街 heiligensee

Contributed by Kyogo Hidaka

Trip / 2023.10.30

日本から飛び出したくて2週間後に行くと決めたドイツ・ベルリンの街。肌で感じた現地の“mood”、そこには自分が知らずに求めていた“余白と自由”があった。フォトグラファー・Kyogo Hidakaさんが今でも大切に持ち続けている、あの頃の色褪せない記憶たち。

#12


ベルリンに来て1年のうちの2/3以上が経った頃、僕は少し中心部から離れた田舎の方へ引っ越した。前回お話ししたweddingの家は風通しの良い正方形の大きな窓と12畳ほどある部屋に置かれたクイーンサイズのベッドが特徴的で、伸び伸びと心地よく過ごすことができた。バスルームもけっこう気に入っていたし、リビング側のテラスは通りに面していて、朝食を食べながら朝の通りを歩く人を眺めていると、通りを挟んだ向かいの家からコーヒー片手に寝巻き姿の男性が出てきて挨拶をするという素敵な日常があった。

街自体の活気もあって部屋も綺麗で広く、中心部から近かったのもあって、とても生活しやすい環境だったがその分家賃は高くついてたためベルリン生活の後半は郊外の街で生活費を抑えてのんびり過ごそうと思い、引っ越しを決めたのだ。





新しく引っ越した街はheiligenseeという湖の側にある小さな街で、電車は通っておらず、近くの駅からバスに乗り換えて20分ほど林の中を進んだ先にある。





高い建物もなく、周りは自然に囲まれており庭付きの一軒家が立ち並ぶ通りがいくつかある。僕の家は通りの奥の角にあって一軒家の2階にある屋根裏のような部屋で、斜めの天窓の下にベッドが置かれた前回よりもかなりコンパクトに収まった部屋だった。






近くにスーパーもなく、最寄りのバス停の側にガソリンスタンドと街の人が集まる飲食店が一店あるくらいののどかな街だった。
家の隣は林になっていて部屋の窓から自然を直に感じることができる。雪の降る夜はベッドに寝転びながら天窓に落ちる雪を眺めることができ、早起きした朝は外に出ると目の前の道路が霧で靄がかっていることもあった。
数週間が経つころには郊外の生活を思いの外楽しんでいる自分に気づくことができた。






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